アルコ&ピースがMCを務めるテレビ東京のゲームバラエティ番組『勇者ああああ』。リズムネタの得点とダンスゲームのスコアを競う、番組の人気企画「リズム-1グランプリ」が4月30日に惜しまれつつも最終回を迎えた。
3回開催されたコーナーの優勝は、いずれもサシャナゴンという名のお笑いコンビ。彼らが起用された理由と「リズム-1グランプリ」の裏話を、番組の演出・プロデューサーを務める板川侑右が語る。
番組史上最低の視聴率を記録した人気企画
『勇者ああああ』の人気コーナー「リズム-1グランプリ」がついに先日最終回を迎えた。リズムネタの得点とダンスゲーム『DANCERUSH STARDOM』の合計スコアで芸人たちが競い合う「新・お笑い賞レース」として始まったこの大会、過去2回の視聴率はどちらも好調で視聴者からも「ゲームとお笑いの塩梅がちょうどいい」と評判のコーナーでもある。
そんな人気コーナーならラストと言わずこれからもつづけていくべきという声もある。だが企画は水物、一番大事なのは引き際だ。盛り上がりがピークに達しているときに惜しまれつつ消え去るのが最も美しい。そんなスタッフの思いを込め、最終回となる第3回大会は「さよならリズム-1グランプリ」というタイトルで2週にわたって放送された。 しかしその「さよならリズム-1グランプリ」の放送翌日、会社から送られてきたメールの一文に僕は目を疑った。
「さよならリズム-1グランプリ」0.2%(過去最低)
0.2。視力の話ではない。視聴率の話である。いや視力にしても相当悪いけど。国民の多くが「STAY HOME」しているはずの世の中でこの数字はさすがにマズイ。
ちなみに番組MCである酒井も番組の放送中に「矢部さんの説教、めちゃくちゃ痺れるわ」と裏番組『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の感想を僕にLINEで送ってきていたのでたぶん観ていない。視聴者にもMCにもまったく惜しまれることなく「さよなら」することになった「リズム-1グランプリ」。番組を支えてきた人気コーナーの最期にしてはあまりにも「可哀想さん」である。
ということで今回は企画への哀悼の意を表す意味で「リズム-1グランプリ」の絶対王者と呼ばれているあのコンビをキャスティングした経緯について書いていこうと思う。先日の放送を観ていなかった99.8%の皆さんにはまったく興味のない話かもしれないが今回ばかりは許してほしい。
「リズム-1グランプリ」の絶対王者サシャナゴン
2018年9月。六本木・テレビ東京の一室で開かれた第1回「リズム-1グランプリ」キャスティング会議。ディレクターと構成作家がリズムネタを持つ一発屋芸人の名前をひたすら挙げていく「山手線ゲーム」形式の会議の末、最終的に以下の3組の芸人の出演が決まった。
- 永井佑一郎(アクセルホッパー)
- ジョイマン
- クマムシ
いずれ劣らぬ実力派の一発屋芸人ばかり。キャスティングもサクサクと進み、あとは収録を待つばかりという段階になったとき、ひとりのスタッフがこんな声を上げた。
「これ、ただの『エンタの神様』になってません?」
確かにエンタ出身芸人が多過ぎる。ここに同じく一発屋のですよ。か、0発屋のデッカチャンあたりが入ったら、それはもう完全に『エンタの神様』だ。一応、お笑い番組の端くれとしてキャスティングにもう少しオリジナリティを出したほうがいいのでは。そんな議論になりかけたときに構成作家の岐部昌幸からこんな提案が飛び出した。
「大トリにサシャナゴンを出すってのはどうですか?」