『Quick Japan』vol.182(2026年2月発売)の表紙&巻頭特集では、2025年の1年間、ニューヨークに密着取材を実施。なぜふたりが多くの人から信頼を集めているのかに迫った。
そんな特集から半年、ニューヨークが今年も単独ライブを開催することが発表された。約1万6000人を動員した昨年公演を上回り、今年は全国9都市26公演で延べ2万人を動員予定。ともに40代に突入し、初めて迎える単独ライブだが、ふたりの空気はこれまでと変わらない。「なんやかんや毎年おもろいのができてるから、今年もたぶんおもろい」。変わらないまま、変わり続けるニューヨーク特集の続きを聞いた。
お笑いと年齢の関係
──『Quick Japan』では2025年1年間、ニューヨークに密着しましたが、今年も単独ライブを開催されるということで、話を伺いに来ました。
嶋佐和也(以下、嶋佐) いつもありがとうございます。
──密着取材の期間、おふたりには毎日日記を書いてもらいました。そのあとも記録は続けられていますか?
屋敷裕政(以下、屋敷) そうっすね。めんどくさいっちゃ、めんどくさいですよ。でも毎週日曜日にラジオがあるんで、その1週間のことを思い出して話すために土日に書いてます。
嶋佐 僕はもともと書いていたものなので、今もずっと続けてますよ。でも溜めちゃうんですよね。そろそろやんないとなってときにバーッてまとめて書いてる。
──昨年の単独ライブ『将来の夢』もレポートを書かせてもらいましたが、今年も単独ライブの季節が近づいてきていますね。チケットの売れ行きがいつになく好調とのことで。
屋敷 去年よりはいい感じっすかね。でもまだ若干あるとこはあるんで、こうやって取り上げてもらえてありがたいです。
──ふたりが40代になって初めての単独ですね。
嶋佐 たしかになぁ。どんな感じなんだろう。
──冒険家の角幡唯介さんが著書『43歳頂点論』(新潮社)で、「人間の総合的な力(筆者注:肉体的な強さと経験)は四三歳で頂点を迎える。」と書いていました。芸人と冒険家では当然異なりますが、共感するところはありますか。
屋敷 ピンとこないかなぁ。『ラヴィット!』(TBS)で毎週ご一緒にしている川島(明)さんとか、ずっとすごいじゃないですか。(明石家)さんまさんみたいに子供のときから見てる人らも、ずっと元気やし。
嶋佐 芸人の40歳って全然若手みたいなとこあるからなぁ。僕はある程度年齢を重ねてた人のほうがなんかおもしろい感じもしてます。音楽と同じかもしんないです。
──どういうことですか?
嶋佐 自分らが憧れてた上の世代のお笑いとか音楽ってずっと好きじゃないですか。でもだんだん自分の年次が上がってきて、自分らより下の世代のお笑いを観る機会が減ってきちゃうと、今がどうなってるのかなかなか見えづらい。それだけなのかなって。でもYouTubeにゲストで来てくれる若い子たちはしゃべってみたらみんなおもしろいし。別にお笑いに年齢とか関係ないんじゃないですかね。

屋敷裕政(やしき・ひろまさ)1986年3月1日生まれ、三重県出身。写真右
ダサいおじさんにならないために

──40歳という年齢は、特に節目としては捉えてない?
屋敷 たしかにそうっすね。40歳ぐらいだと、まだ「おもろい」に対する感覚があんまズレてないっていうか。50歳以降ってどんな感じなんやろとは思いますね。本当におっさんになったら、感覚が悪くなってまうんかなとは、ちょっと思います。自分でおもろいと思ってること、ダサいって思ってることが、若いヤツらから見たら「いやいやいや……」ってなる可能性があるじゃないですか。今はまだそれがないけど、10年後はさすがにわからん。
──「ズレたくない」という感覚さえ持っていれば、ずっとアジャストできそうですけど。
屋敷 うーん、どうなんやろ。でもさすがにズレてまでやるのはイヤっすね。ちょっと古くなってるとか。どうしても年齢を重ねておじさんになると、偉くなってしまうじゃないですか。だからズレてても誰も何も言えんくなるやろうし。だから慎重にいかんといかんなって。本当にダサいおじさんになっちゃう可能性があるから怖いっすよね。
嶋佐 今はまだ20代の若手って、ネタの感じとかは新しいなぁって感じますけど、自分らと変わらない気がするんですよ。10年後に、その感覚すらまるっきり違う世代がどっと来たら、まぁそのときは僕らが「自分のお笑いが正しい」と思ってても、若い子のほうが絶対正しいっすからね。でも別に僕らが勘違いしてるってわけじゃないんで、そうなっちゃったらどうしようもない。
屋敷 たしかに。
──ふたりは20代前半からずっと一緒にいて、お互いの変化って感じますか?
屋敷 なんやろ……でも今「20代から一緒にいて」って言われてめっちゃ変な気持ちになりました。「ああ、そうか」みたいな。でも嶋佐は変わらんっすね。まわりがどんどん結婚していくなかで、どんどんマイノリティになってるだけで。嶋佐は変わってないだけやのに、どんどん変なヤツになっていく現象がなんかおもろいな(笑)。
嶋佐 いや、そんなヤツいっぱいいるだろ。
屋敷 40歳にもなると変わらんほうが変なんやっていう。こないだYouTubeの企画でsetlogやったんですけど、嶋佐と俺で生活リズムが全然違ってて。コイツの部屋行ったときも、めっちゃ独身やなぁって思ったし。毎日のように仕事で一緒におるのに、めっちゃ違うんやなっておもろかったわ。
変わらないまま、変なヤツになってる
──嶋佐さんは、屋敷さんの変化をどう思われてますか?
嶋佐 まぁでも屋敷も結婚して子供がいてっていうのはあるけど、別に何も変わってないと思うけどな。
屋敷 たしかに。仕事で「コイツ、変わっちゃったなぁ」とかもない。たとえば「昔やったらもっとトガってたこと言ってたのにな」とかお互い一切思ってない。
嶋佐 そうだね。
──同期の芸人たちでもあまり変化は感じないですか?
屋敷 お笑い的なことに関してはマジ思わんすね。たまにライブで一緒になっても、変わってなさすぎてヤバって思う(笑)。
嶋佐 みんな変わってないっすよ。
屋敷 プライベートのことでもホンマに結婚くらいじゃないっすか? 子供生まれて変わるとかっていうのもあんまわからん。
嶋佐 やってることがお笑いだから、よけいそうなるのかな? いや、でも社会人でも結局、学生のころからずっと変わらないテンションな気がするけどなぁ。
屋敷 大学時代の連中と飲んでても、変わってなさすぎてヤバいなぁって思う。でも細かい話聞くと、変わってるんだよ。仕事の話してたら、「そんなに部下おんの!?」ってびっくりする。でもノリは変わらん。……でもワンチャン、俺の前やからみんな変わってない感じ出してんのかなとも今思ったわ。大人の話あんませんようにしてくれてんのかなみたいな。
嶋佐 俺、大学の5人組がいるんですけど、5分の4が独身よ。
屋敷 それはヤバいわ(笑)。
嶋佐 そのうちひとりはバツ2だし、もうひとりは中学の先生っすよ、しかも実家住み。俺よりやばくないですか。気持ち悪いヤツだな(笑)。ちゃんと結婚して子供ができたのはひとりだけ。マジ、ヤバい。

たぶん今年もおもろい

──単独ライブの話に戻すと、去年はいかがでしたか? 全国7都市、全23公演という過去最大規模でしたが。
屋敷 まぁよかったと思いますね。みんな褒めてくださいましたし。ただ、公演数が多くて疲れたな。ボリュームあったなって感じします。
──ゴルフをやっていて、体力もついてると思うんですけど。
屋敷 いやいや(笑)。初日を迎えたあと、1カ月ぐらい体調崩したんで、だいぶダメージでかかったっす。去年の夏はずっと体調が悪かった。
嶋佐 俺も初日の前に注射打ったわ。どうしても初日のタイミングは、ちょっと体調崩しがちなんで。
屋敷 単独ライブは初日が一番大変っすね。ネタ作って、練習して、当日までバタバタなんで。でも初日が最初に売り切れるんですよ。一番クオリティ低いのに(苦笑)。まぁみんなたぶん、一番最初に観たいって思ってくれてるんでしょうね。それはありがたい。
──去年インタビューさせてもらったとき、全国ツアーを経て、スタッフさんたちが仲よくなったのがうれしいとおっしゃってましたね。
屋敷 ああ、たしかになんか仲よかったな、知らん間に、スタッフの女の子同士でキャッキャキャッキャしてた(笑)。
嶋佐 僕らとスタッフさんの距離は縮まってないけど、スタッフさん同士が仲よくなってた。でもそれでじゅうぶんっていうか。
屋敷 でも今年は余裕があったら少し意識してみようかな。俺もスタッフさんと……いや、やっぱめんどいか……(苦笑)。
──スタッフ同士が仲よくなるって、やっぱり嶋佐さんと屋敷さんがピリピリしてなくて、現場の雰囲気がいいからなんだろなって思ったんです。作家の関野樹さんも「ふたりがピリついているのって見たことないじゃないですか。たぶん、吉本のマネージャーはニューヨークさん担当になったら、めっちゃ当たりだと思います」と言っていました。
屋敷 そうなんかな。でも、ホンマに去年の単独は、最後の打ち上げで、スタッフ側のテーブルはどんちゃん騒ぎでしたよ。俺らのほうがしっぽり飲んでた。
嶋佐 全然うれしいっすけどね。僕らのツアーという仕事を通してね、楽しんでくれたら。
屋敷 まぁね、楽しんでくれたならよかった。
──昨年の単独は、漫才の『ちんこ太鼓』とか『タクシー』のネタが新境地でめちゃめちゃ笑いました。“新しいニューヨーク”に、ワクワクしました。
屋敷 ありがとうございます。そう言ってもらえるのが一番うれしいですね。どっかで見たような感じじゃないようにはしたいなって思ってるんで。
嶋佐 いつも「なんか新しいことできないかな」って探してるから。
──ニューヨークは本当に手数が多くて、2時間の単独ライブでもまったく飽きさせないのがすごいなと思うんですよ。
嶋佐 だから大変なんですよ。「これやってもしゃあねえな……」ってボツばっかりになるのは、しんどいっすね。でも自分たちがアイデアに納得いかないまま作り続けてもワクワクしないんで、ネタ作りの最初のところは踏ん張るしかない。
屋敷 テンション上がらんかったら、ネタも書けないですし。
──あと、去年でいうと最後に披露したコント『40年ぶりに再会した同級生』が絶品でした。あれはニューヨークの真骨頂だなと。
屋敷 あんなんも、たまたまできた感じやから難しいっすね。「また『ちんこ太鼓』とか『同級生』みたいなネタ作ろう」って思っても絶対無理っすから。
嶋佐 本当に毎年、ネタの傾向がバラバラなんですよ。決まったコンセプトもないんで、そのとき思いついたことの詰め合わせが単独ライブになる。だから初日までどうなるかわかんないっていう。そこを楽しんでほしいですけど。
屋敷 なんやかんや、毎年おもろいのができてるから、たぶん今年もおもろいやろうなっていう感じですね。少なくとも、「今年いまいちやな……」と思いながらやったことは今まで一回もないんで、そこだけは信じてもらって。
『ニューヨーク単独ライブ「ニューヨークの横からシツレ~します!」』
チケット料金:前売6,000円(税込)/当日6,500円(税込)/高校生以下学生料金3,000円(税込)/配信チケット2,000円(税込)

『Quick Japan』vol.182
2025年2月13日(金)発売
サイズ:A5/並製/144ページ
【通常版】1,650円(税込)
【日記付き限定版】2,970円(税込)
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