オーイシマサヨシの大ファンであることをデビュー初期から公言している甲斐田。そんなオーイシとの対談がここに実現。今回が初対面となるオーイシと甲斐田はさっそく意気投合し、話題が尽きることはない。
甲斐田自身はオーイシの手掛ける「MANKAI☆開花宣言」の弾き語りや「神或アルゴリズム」の歌ってみた動画などを投稿するなど、その愛は深い。一方のオーイシは、VTuberの中でも随一の音楽スキルを持つアーティストとして以前から甲斐田に注目していたという。
そんな彼らのお互いへの想いや、音楽の楽しみ方など、ここでしか聞けない話題が語られている。

「レジェンドとお話ししている……」
甲斐田 初めまして、甲斐田晴と申します。よろしくお願いいたします。
オーイシ オーイシマサヨシと申します。
甲斐田 うわあ、本物だ……!
オーイシ こっちのセリフや(笑)。いや、うれしいです。噂はかねがね聞いておりまして。
甲斐田 本当ですか? ありがとうございます……。うわ、今、レジェンドとお話ししてる……。
オーイシ そんな扱いなんですか(笑)。僕はこの対談をきっかけに仲よくなれたらなあと思ってますので、よろしくお願いします。
甲斐田 はい! 僕は「君じゃなきゃダメみたい」で初めてオーイシさんを知りまして、そこからオーイシさんの音楽はもちろんなんですけど、配信も拝見してて。ずっと応援しておりました。
オーイシ 甲斐田くんってもともと、アニメがめっちゃ好きなんでしたっけ?
甲斐田 はい。もともとは本当にオタクで、音楽もずっと好きで。『月刊少女野崎くん』をリアルタイムで観てた世代なんですけど、これはとんでもない曲だと思って。
当時僕も楽器を触り始めた時期だったので、オーイシさんのギターをマネしてみようと思ったんですけど……アニメ好きで弾き語りをする人って絶対みんな、一度はオーイシさんをコピーすると思うんですよ。で、難しくてあきらめるってところまでがセットで。
オーイシ あきらめるまでがセットなんだ(笑)。
甲斐田 配信で「ピエロ」を演奏されてたときに、こんなのできたらカッコいいなあって思って僕もコピーしようとしたんです。でもすぐにこれは無理だって気づいて。
オーイシ ていうか甲斐田くん、「ピエロ」を知ってる時点でヤバいですよ。
甲斐田 いや、衝撃だったんですよ、初めて拝見したとき。なんでこんな演奏をしながら歌えるんだ!?って。
オーイシ うれしいなあ。僕が甲斐田くんのことを知ったのが、たしかデビューされたばかりのころに「MANKAI☆開花宣言」を弾き語りしてくれてるのを、うちのファンの方か『A3!』のファンの方に教えてもらって観に行ったのがきっかけだった。あ、VTuberさんの中にもこんなにギター弾きながら歌える人がいるんだ、っていうのがファーストインプレッションでしたね。
甲斐田 ありがとうございます。あれは本当に、オーイシさんが配信でやられてたのを見てパクったといいますか……。
オーイシ せやねん! めっちゃパクってるわと思って(笑)。いや、パクってるというか、すげえリスペクトしてくれてるって感じたんだよね。運指までしっかり見えてくる感じがしたというか、僕に似てる奏法で演奏してくれてたから、本当に研究してくれてるんだろうなと思って。
甲斐田 そうなんです。ファンボーイがマネしただけです(笑)。でもまさか、本人に聴いていただけているとは。
オーイシ シンプルにめっちゃうまいなって思ったけどね。そこからだったかな? 僕のことをリスペクトしてくれてる方がいらっしゃるんだ、甲斐田くんっていうんや、って意識し始めたのは。その後もカバーしてくださるたびにファンの方が教えてくれたり、僕もチェックしたりしてたから、いつか会えるかななんて思ってたんですよ。
甲斐田 僕もお会いしたかったので本当にうれしいです!

オーイシマサヨシと大石昌良
甲斐田 僕、特に「耳の聞こえなくなった恋人とそのうたうたい」が大好きで。イントロのコードの進行がめちゃくちゃいいんですよね。
オーイシ うわ、うれしい! 今、甲斐田くんが言ってくれた曲って「大石昌良」名義の曲なんですけど、漢字の大石昌良って、シンガーソングライターとしてリアルなことをメッセージとして放つときに使うことが多い名義なんですよね。
カタカナのオーイシマサヨシのほうはアニメの作品ありきだから、ある意味、いいフィクションの中で曲を作らせてもらってるという意識なんですけど。だから大石昌良としての曲を褒めてもらえると、なんか心のど真ん中を褒められてる気分になってすげえ照れちゃうんだよね(笑)。でも、すごくうれしいです。
甲斐田 ファンとしても、漢字名義とカタカナ名義でアーティスト性がまったく違う印象を受けてるんですけど、本当に両方大好きです。アニソンのときのオーイシさんの曲って、けっしてうるさいわけじゃないのにグッと前に出てくるパワー感がありますよね。「シンガロン進化論」とかも。
オーイシ めっちゃ聴いてくれてるじゃん!
甲斐田 オーイシさんって、大石昌良名義でほかのアーティストさんに提供された曲のセルフカバーアルバムも出されてるじゃないですか。あれもすごく素敵だし、新しいことをされてるなあって思って。
オーイシ ありがとう。最近はすごく時代の流れが早いから、曲もすぐに消費されがちじゃないですか。でも曲ってやっぱりクリエイターさんが丹精込めて作ってるものだし、何回噛んでもおいしいと思ってるから、できるだけ何回も噛める場所を作りたいと思ってるんだよね。
だから『仮歌』(セルフカバーアルバム)では、提供した楽曲と自分の歌とで2回味がしますよっていう楽しみ方を世の中に提示してみたかったのもあって。曲に対するリスペクトから生まれた企画だったから、そんなふうに褒めていただけるのは本当にうれしい。
甲斐田 いやいや、ありがとうございます。あとやっぱり、ボーカリストの方が作ってらっしゃるからこそ、オーイシさんの曲って歌っててめっちゃ気持ちいいんですよ。たとえば、ロングトーンの末尾の母音が「あ」なのか「お」なのかで、歌ってるときの気持ちよさってすごく変わるじゃないですか。
オーイシ そうだよね。自分としても、ボーカリストが書いてるっていうのは一番の強みだと思ってる。でもさ、甲斐田くんも自分で曲を書いたりするんだよね? そういうとき、憧れてるアーティストさんとかカバーしたアーティストさんの曲に影響受けたりします?
甲斐田 僕、すぐにオンコードを使いたくなっちゃうんですけど、それは完全にオーイシさんの影響だと思います(笑)。あと、上モノ(装飾音)をたくさん入れたくなるのはアニソン編成の影響かもしれないなって自分で思いますね。
オーイシ なるほどね。おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンドってアニソンに多いもんね。
甲斐田 はい。あと最近の曲って、2番でサビに行く前に間奏が入ったりする構成が流行ってるじゃないですか。でも僕は頑なにA→B→サビ→A→B→サビ……って行きたくなるんですよね。平成の音楽を作りたい気持ちがどうしてもあって(笑)。
オーイシ 古のオタクだね~! でもまだ平成アニソンってピチピチしてるもんね。
甲斐田 そうですね。おもしろいのが、ネットの音楽シーンでも、15年くらい前のボカロ曲を再編曲して投稿されるボカロPさんが最近増えてるんですよ。それが若い層にもちゃんと刺さってるみたいで。
オーイシ なるほどね。それって僕の『仮歌』と同じ精神かもしれないね。何回噛んでもおいしいみたいな。
甲斐田 まさにそうだと思います。
オーイシ うれしいな~、そういう意見が聞けるのは。実はさ、アニソンの納期って最近すごく早くなってるんだよ。(アニメ放映の)1年前に納品するとかザラにあるの。
甲斐田 えっ、1年も前だと大変じゃないですか!?
オーイシ そうそう。クリエイター側からすると1年後にどんなサウンドが流行ってるかなんてわからないから、どんなふうにボールを投げたらいいか悩むこともあるんだよね。
でもそんななかで、普遍的な曲のよさって若い世代にもちゃんと伝わるっていうのは、自分としてもめっちゃうれしい話だった。1年後に向けて投げるボールだとしても、ちゃんといい曲だったら響くんだなって確信を持てたっていうか。
甲斐田 よかったです。やっぱり音楽の根本の楽しみ方というか、いい曲はいいっていうのは時代が変わっても同じなんだなと思います。
大石昌良/オーイシマサヨシ
1980年生まれ、愛媛県出身。2001年にバンドSound Scheduleのボーカル&ギターとしてメジャーデビューし、2008年に大石昌良としてソロ活動を開始。2014年にオーイシマサヨシ名義でテレビアニメ『月刊少女野崎くん』のオープニング主題歌「君じゃなきゃダメみたい」を担当し、3度目のデビューを果たす。以降、アニメ『けものフレンズ』の主題歌「ようこそジャパリパークへ」など多くのアニメ主題歌を手がける。
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※「甲斐田晴 ver.」にはローレン・イロアス、3SKMの特集は収録されません
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