名ゼリフ「血が出るなら殺せる」ってそういう意味か!ミリしらで観た『プレデター』は驚きの連続だった「シュワちゃん軍団、あまりに強すぎる」(石野理子)
2023年よりソロ活動を開始し、同年8月にバンド・Aooo(アウー)を結成した石野理子。連載「石野理子のシネマ基地」では、かねてより大の映画好きを明かしている彼女が、新旧問わずあらゆる作品について綴る。
第17回は、『プレデター』(1987年)。これまでは石野自身が“心を動かされた”作品を中心に取り上げてきた本連載だが、今回は少し趣向を変えて「名前は知ってるけど、観たことはない」名作に初挑戦。アーノルド・シュワルツェネッガー=“シュワちゃん”の代表作として語り継がれる一本を、石野は今改めてどう観るのか?
『プレデター』あらすじ
宇宙から襲来した凶悪エイリアンと米国特殊部隊の死闘を描いたSFアクション。ダッチ・シェイファー少佐(アーノルド・シュワルツェネッガー)率いる特殊部隊は、ゲリラ部隊の捕虜となった政府要人を救出するため南米某国にやって来る。ジャングルの奥地へ入り込んだ彼らは、皮膚を剥がされて木に逆さ吊りにされた米軍兵士たちの死体を発見。部隊はゲリラのアジトを襲撃し壊滅させることに成功するが、光学迷彩技術で姿を隠した異星人プレデターが、隊員たちを襲っていく。
※本稿には、作品の内容および結末・物語の核心が含まれています。未鑑賞の方はご注意ください
いざジャングルへ
シリーズものって、どうしてこうも腰が重くなってしまうんでしょう。話題の新作や、目の前にある最新コンテンツの誘惑に負けて、ついつい後回しにしてしまいます。マンガやドラマも完結済みならまだ飛び込めるのですが、単発で観たいものが無限に増えていく映画界において、シリーズ作品の完結を待ってから……なんて言っていると、いつまで経っても辿り着けません。
そんな私の数少ない例外がMCUでした。まだ完結もしていないのに、『アベンジャーズ/エンドゲーム』までの十数作を一気見してしまいました。あのときのような未知のシリーズに飛び込む高揚感をもう一度味わいたくて、今回、ついにあの名作に手を出しました。

『プレデター』です。 知識としては「光学迷彩を使うエイリアンが出てくる」ことしか知りません。
そう、あのシュワちゃんこと、アーノルド・シュワルツェネッガーの伝説を決定づけた初期の代表作です。シュワちゃんが、いかにして「シュワちゃん」になったのか。その功績をしかと見届けるべく、シリーズ第一作目のジャングルへと足を踏み入れました。
序盤からツッコミどころ満載
あらすじをざっくり読んだだけで再生ボタンを押したため、序盤は「若き日のシュワちゃん」の顔が認識できないところからスタート。慌ててネットで当時の写真をチェックし、なるほど! このピチピチの赤い服を着たマッチョがシュワちゃんか!と合流に成功。
物語は、ダッチ(シュワちゃん)率いる人質奪還部隊がヘリで密林へ降り立つところから始まります。 「久しぶりのスリルだ」なんて軽口を叩きながら進む精鋭たち。……が、さっそく自前の飲み物が尽きたかのようにココナッツウォーター的なもので喉を潤すダッチ。まだ何も始まっていませんが、すでに数日過酷なサバイバルを生き抜いたかのような貫禄を出しており「え、水持ってきてないんだ!?」と、そのシチュエーションがジワジワおもしろくなってきます。装備はあんなにゴリゴリなのに、水分補給に関しては現地頼み。そのワイルドすぎる初動に、冒頭から心をつかまれました。
しれっと出てくる“あの”セリフ
しかし、ジャングルを突き進むと、剥き出しの臓器や皮を剥がされ、木に逆吊りにされた無残な遺体が現れ、それまでのなんちゃってミリタリーアクションの空気が、一気に不穏になります。さらに、突然差し込まれるサーモグラフィーのような赤外線視点のカット。何者かが、確実に彼らを獲物として見つめていました。
物語の中盤、ダッチの部隊はコテージを占拠する武装集団を強襲します。 ここからは、圧巻の爆発と銃撃祭り。 正直、誰がどこにいて、誰が敵なのかも判別できません……。人が吹き飛び、炎が上がる。もはや局地的な戦争です。シュワちゃん軍団、あまりに強すぎる……!! 圧倒的な殲滅(せんめつ)力で、隙など微塵もありません。
けれど、また例の視点が、武装集団を片付け、脱出ルートを探し始めた彼らを捉えます。
異変は、勘の鋭いビリーが動きを止めた時から始まりました。 武装集団が捕らえた女性・アンナが逃げ出し、部隊の陣形が崩れた瞬間、カメレオンのように景色に溶け込む「透明な何か」が、精鋭のひとりを屠(ほふ)り、深い藪の中へと引き摺り込んでいきます。
ダッチが駆けつけたときには、もう死体はなく、そこにあるのは無残に散った内臓だけ。 彼らは武装集団の仕業じゃないこと、また、自分たちがジャングルに入った直後に見た遺体と同じく、獲物にされたことに気がつきます。
光学迷彩のエイリアンは、葉っぱに蛍光黄色の液体を残しており、それを目撃したアンナが「カメレオンみたいに色が変わる」、「あなたたちが奴に傷を負わせた。葉に血がついてた」と言います。それに対して、「血が出るなら殺せる」と答えたダッチ。
うわ!!!!! これか……!! この名ゼリフ、ここで出たのか!!!! すごいしれっと出てきた〜〜!!! ようやくこの台詞の文脈がわかりました。ちょっとスッキリです。
部隊のメンバーが次々と恐怖に飲み込まれていく中、怯え続けるビリーと、なぜか緊迫した状況で必死に髭を剃り続けるマック。……いや、絶対今じゃないでしょ!!? というか、剃る髭ないじゃん!
頭のなかでそんなツッコミを入れつつ、物語は核心へ。 アンナが古くから伝わる伝承を語ります。「暑い年には、人間の死体をトロフィーにする悪魔がやってくる」と。
追い詰められ、ひとり、またひとりと消えていく仲間たち。 敵の光線に焼かれ、水に飛び込み、命からがら地上に這い上がったダッチは、なぜか全身泥まみれになっていました。 偶然(?)この泥が体温を遮断し、敵のサーモグラフィーから逃れる術になると気づき、ついに反撃の狼煙が上がります。
ついにプレデター登場!そして…
ここからのダッチは、もはや原始の戦士です。 顔に泥を塗りたくり、火を焚き、罠を仕掛け、「俺はここにいるぞ!」と咆哮して敵を煽ります。
ついに姿を現したプレデター(光学迷彩の生命体)は、衝撃のドレッドヘア! さらにご丁寧にマスクを外し、素顔まで見せてくれるサービス精神。そこからまさかの、武器を捨て、肉体と肉体の殴り合いが始まります。
プレデターは、強いくせにどこか気まぐれで、そして意外とドジ……。そのドジさのおかげか、ダッチは間一髪で生き延び続けます。最後、自分が仕掛けた罠に掛かったプレデターに対し、ダッチは一瞬、殺すのを躊躇うような憐れみを見せるのですが……。
その隙をプレデターは見逃さなかった。 腕のスイッチを押し、自爆装置を起動させました……!! 殺されるくらいなら自分で……!というプライドなのか、知能が高いからこその道連れなのか、不明瞭なままエンディングへ。
結局、プレデターという光学迷彩の生命体が何だったのかはわからずじまいでしたが、長く愛されるシリーズの原点をようやく目撃できたという事実だけで、満足度の高い鑑賞体験でした。
シリーズ作品にのめり込む感覚を思い出したので、自分の感性にバチン!とくる出会いを探して、また新たな物語へ足を伸ばしてみるつもりです。
『プレデター』を各配信サイトでチェック!
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