2025年12月13日、14日に吉本興業所属のボーイズグループであるOWVとOCTPATHによる連動型2DAYSワンマンライブ『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』が横浜BUNTAIにて開催された。
ここでは「OWVとは、なんたるか」「吉本ドルとは、何たるか」を証明してみせた、12月14日に行われたOWVがメインとなった公演のレポートをお届けする。
1曲目から示された覚悟
12月13日、14日に開催された連動型2DAYSワンマンライブ『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』は、「OWVとは、何たるか」「OCTPATHとは、何たるか」を提示するとともに、「吉本ドルとは、何たるか」を証明した日になったのではないだろうか。
タイトルの『TWO THRONE』に込められた意味は、“二つの王座=両者が主役”。各日程のOWV・OCTPATHそれぞれを主軸にした演目で、各グループの個性を煌めかせるとともに、2組がどのように交差して自分たちの道を歩んでいくのかを、映像とセットリストで創造してみせた。
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OWVを主軸に行われた『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE-FORCE-』は、いうならば「OWV is FORCE」をまざまざと描き出したような一夜だった。大きく分けてライブは、“これぞOWVのステージ”を濃縮して魅せる前編と“OWVのストーリー”を表した後編の二部構成。長い活動を見据えた上で追及している“ダンスに依存しすぎないライブ”の現在地を鮮やかに示していた。
SEが鳴り止むと、玉座に腰をかけた4人がステージ2階に出現。何者にも屈しない堂々たるオーラは、別々の国に君臨する帝王のようだ。そのまま「BLACK CROWN」を投下し、力強くエモーショナルなOWVワールドへ巻き込んでいった。
吹き上がる炎、息の合ったダンスブレイク、強気な視線。1曲目の時点で、すでに「これでもか」というほどにOWVらしさ満点。雄々しさと色気を絡ませて吐息だけでも魅了してしまうのだから、積み上げてきた人生経験は伊達じゃない。「SLEEPLESS TOWN」では<今夜 眠らせない>とオーディエンスを焚きつけ、「Gamer」では<I’m a WINNER>──俺たちがTHRONE(王座)に着く存在だ、と刻む。息つく間もなくたたみかけ、怒涛のオープニングを駆け抜けていった。
4本柱で描くOWVの色彩
まずは、OWVのアイデンティティを余すことなく見せていくターンへ。「OWVの色ってなんだろう」と話し合いを重ねて生まれた「CHASER」、5周年を迎えたOWVの意志表明である「Supernova」を通して、逆境にも負けることなく栄光をつかむその日まで走り続ける生き様を表現。
誰がセンターに立ったとしても、OWVたる色彩がブレないのは彼らの特色のひとつだろう。どんなフォーメーション、どんな楽曲であっても、彼らは常に4本柱で光続けるのだ。
また、大人なラブソングもOWVを語る上で欠かせないポイントのひとつ。制御できない感情に戸惑いながらも君にハマっていく「Caution」、すれ違う恋をドラマチックに描写した「Last scene」によってアダルトなグループならではの深みを香らせていく。時としてネックに捉えられてしまう年齢だって強みに変換し、武器として最大活用するのがOWVの流儀。ふたつの側面から「OWVとは何たるか」を、オーディエンスの五感に焼きつけた。
MCを挟んで誘われた「Better Day」では、優しく語りかけるように言葉が紡がれていった。柔らかな声が空気を震わせ、温かな想いで場内が満たされていく。<La-la-la-la-la>と広がっていくシンガロンの多幸感たるや。彼らの優しい人柄が音楽を通して、観客一人ひとりの中へ流れ込んでいった。心臓の鼓動のようにサイリウムが弾む「TALK TALK TALK」、エネルギッシュな歌声にハンズアップが揺れる「EASY」と、曲を重ねるごとに会場の一体感も増していく。
ここの流れで印象的だったのは、彼らが常々口にしている「ゆくゆくは、立っているだけでかっこいい、踊らなくても成り立つグループにしたい」という想いが、しっかりとステージに落とし込まれていたことだ。どの曲においても、激しく踊るよりも歌や表情、動作でバイブスを伝えることに重きが置かれ、末永い活動を見据えたOWVのスタイルへ、着実に向かっていることがパフォーマンスで体現されていた。
“カンカンカン”の3カウントに合わせておちょける浦野が定番になっている「PARTY」では、この日限りの『カンカンカン争奪ゲーム』が行われた。メンバーのレース動画を見ながら、“カンカンカン”を担当してほしい推しを応援するというトンチキ企画なのだが、予想外の大盛り上がりとなった。結果として浦野が優勝し、本田が「しょうもな!」と一蹴する流れまで込みで、お笑いにも全力なOWVらしい展開となった。




自分だけの道を切り開くストーリー
別々の場所で個性を放っていた4人が集結し、力を合わせて未来を切り開いていく物語を彷彿とさせるVCRを経て、ついにライブは後半パートへ。<自分だけの道を作れ>と吠える「Sound the Alarm」をきっかけに“OWVのストーリー”を紡ぎ上げていく。
まずは、OCTPATHのデビュー曲「IT’S A BOP」のカバーとOWVのデビュー曲「UBA UBA」を投入し、グループの始まりを暗示。ヒリヒリとしたムードにまっすぐな心意気を乗せ、5年前と変わらぬ熱量をこれでもかというほどに放出していった。
さらに追い打ちをかけるように、刺激的なサウンドのEDMチューンを連投。<呆れるほど踊ろう>と煽る「Tararam」を筆頭に、「Fanfare」「SORENA」「What you waitin’ for」と休む間を与えないセットリストを展開していく。オーディエンスがぴょこぴょこと上下に揺れるフロアの様子はクラブさながら。<それな!>の特大コールでぶちあがり、ラストスパートへ向けて一段とギアを踏み込んだ。
OCTPATHとの出会いを示唆するVTRを挟み、総勢12人で熱いパフォーマンスを繰り広げていく「TWO THRONE」へ。前日にもまったく同じメンバーで披露したが、主軸となるグループやセットリストが変わることにより違う印象が見えてくるのもおもしろい。一列に並んで魅せる佐野が考案した振りもバチバチにかまし、吉本ドルの矜持を誇示したのだった。
再び流れたVCRでは、OWVとOCTPATHが出会い新たな力を手にした上でそれぞれの道へ進んでいく様子が映し出される。そして、新たな世界へ来たことを想起させるかのような演出でOWVがステージに登場。
ここで「一期一会」につながれるのも、なんとも粋だ。まるで『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』が<“ぶつかり合う”トキにはMission>なのだと謳っているかのよう。仲間との邂逅を越え、向かう先はもちろん王座。
「TRVCKSTVR」で<ダークホースから大本命へ>躍進していく覚悟を噛みしめる。すでに最終局面だというのに、彼らのエネルギーは留まるところを知らない。生き様を音楽に乗せ、声や踊りで「これがOWVだ」と表明していく。オオトリに全力で「BREMEN」を披露する姿なんて、「俺らが本物だぞ」といわんばかりの説得力。今あるすべてをぶつけきって、本編を結び上げた。
最高の景色を見るために
4人が去ったあと、すぐさま巻き起こったOWVコールを受けて、アンコールに突入。あれだけ全力のステージを作り上げたにもかかわらず、「Time Jackerz」を歌い踊る4人はまだまだ余裕を感じさせる面持ちである。
最後のMCを迎えると、彼らはひとりずつライブの感想を語っていった。中川が「一年を通して今日が一番楽しかったといえる日にしようと思って作った」とセットリストに込めた想いを語れば、浦野は「(ドーム公演を実現させて)『PARTY』のカンカンカンが、ふぉわー!ってなる日まで見届けてよ」と瞳を輝かせ、佐野は「ボーイズグループ戦国時代と言うてますけど、本当に戦国時代だとしたら、勝者はたくさん敵を倒したやつとか武器をいっぱい集めたやつじゃなくて、最後に立ってるやつだと思うので」と真剣に未来を見据える。
そして、本田は「俺らは絶対、今応援してくれてるみんなやこれから応援してくれるみんなに最高の景色を見せてあげるから。それまで応援しててくれるかい?っていうか、俺らが離さないから。俺らが君たちの心を奪ってあげるから。もっと好きにさせてあげるから。俺らと一緒に最高の景色を見ようぜ」と宣言。「世界を奪える一曲持ってきました!」と告げ、「LOVE BANDITZ」を誘う。あまりにも生々しく人間味あふれるステージングのなんと美しいことか。全身全霊の熱量をパフォーマンスに注ぎ込み、世界を獲りに行くという信念をさらに強固にしたのだった。

“吉本ドル”としての未来
彼らが本公演を通じて伝えたかったこと。それは「どんな楽曲であっても、OWV色に染め上げること」、そして「OWVが自分だけの道を切り開き、最高の景色へ連れて行く」といという決意なのではないか。そう感じた。
前日の『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE-GRACE-』と併せて考えてみても、各グループが自身のカラーを色濃く反映し、決意が露わになるセットリストで臨んでいたことは明白だ。なおかつ、その行為自体が「吉本ドルとは、何たるか」をありありと物語っていた。
吉本興業がビジョンとして掲げる「『笑い』を中心としたエンタテインメントによる社会貢献と、 『誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会』の実現」を胸に抱き、自らの手で線を引き、色を塗り、目指すべきアーティスト像を作り上げていく。トライ&エラーだって、ご愛嬌。本人たちの志がビビットに注ぎ込まれたクリエイティブで、未来を切り開いていく存在こそ“吉本ドル”なのだと。
2日間連続でワンマンライブを観ることによって、それぞれの個性と「吉本ドルとは、何たるか」をハッキリと体感する時間を『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』で作り上げた2組。
OWVは5周年、OCTPATHは3周年といった節目を迎え、さらに才能に磨きがかかってきた両グループ。彼らが王座を手にするその日が、今から楽しみでならない。

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