OCTPATH、八者八様の個性で目指す“王座”

2025.12.30
OCTPATH/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)

文=坂井彩花 編集=森田真規


2025年12月13日、14日に吉本興業所属のボーイズグループであるOWVとOCTPATHによる連動型2DAYSワンマンライブ『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』が横浜BUNTAIにて開催された。

ここでは「OCTPATHとは、なんたるか」を証明してみせた、12月13日に行われたOCTPATHがメインとなった公演のレポートをお届けする。

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逆光の先に立ち上がった“攻めのOCTPATH”

12月13日、14日に開催された連動型2DAYSワンマンライブ『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』は、「OCTPATHとは、なんたるか」「OWVとは、なんたるか」を提示するとともに、「吉本ドル(吉本興業所属のアイドル)とは、なんたるか」を証明した日になったのではないだろうか。

タイトルの『TWO THRONE』に込められた意味は、“二つの王座=両者が主役”。各日程のOCTPATH・OWVそれぞれを主軸にした演目で、各グループの特色を煌めかせるとともに、2組がどのように交差して自分たちの道を歩んでいくのかを、映像とセットリストで創造してみせた。

OCTPATHを主軸に行われた『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE-GRACE-』は、いうならば「OCTPATH is GRACE」をまざまざと描きだしたような一夜だった。大きくわけてライブは、“グループとしてのOCTPATH”を魅せる序盤、“個々の魅力と重なり合う個性”を提示する中盤、“覚悟を刻みOWVと手を組む”終盤の三部構成。ところどころでキーセンテンスになるナンバーを挟みながら、ひとつの壮大なメッセージを届けていく。

ショータイムは、“攻めのOCTPATH”で幕開けだ。逆光の奥から姿を現すと、必殺曲のひとつである「Carnival」をドロップ。真紅の炎が吹き上がるなか、強気な視線を飛ばして、かっこよさを色濃く打ち出していく。間髪空けずにつながれた「OCTAVE」でも、その勢いは止まらない。ダンスブレイクにも抜け感があり、「まだまだこれから」と言わんばかりの心意気がヒシヒシと伝わってきた。

「Showtime」へバトンが渡されると、メンバーはパァッと笑顔に。<Are you ready?(Okay)>のコール&レスポンスが繰り返されるたび、会場の熱もどんどん上がっていく。このまま盛り上がりルートに入っていくのかと思いきや、なんと色気で惹きつける「Playboy」を投下。ふいに妖艶な表情をのぞかせたものだから、あまりの振れ幅に卒倒しそうになった観客も多かったことだろう。OCTPATHはクールさでも、ハイテンションでも、セクシーでもオーディエンスを沸かせられるのだと、オープニングで示したのだ。

「Sweet」を皮切りに、ふたつ目の“チアリーダーたるOCTPATH”のセクションへ。メンバーはステージの四方八方に散らばり、客席に向かって手を振ったり、目を合わせたり。希望に満ちた面持ちで、一人ひとりと気持ちを交わしていった。「Hands Up」が封切られると、「ここからもっと盛り上がっていくぞ」とでも言いたげにさらにギアを踏み込む8人。ダンサブルなビートに重なるステップは軽やかで、まだまだ駆け抜けていける余裕を感じさせた。

OCTPATH/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
OCTPATH/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)

エールを束ねて──TWO THRONEスペシャルメドレー

古瀬直輝の「ここからは『TWO THRONE』スペシャルメドレーです!」という宣言によって、OCTPATHからのエールが濃縮された特別メドレーに突入。<のんびりマイペースで行こう>と心をほぐす「VIVID」、<この場所でまた夏に帰ろう>と懐かしさで抱きしめる「また夏に帰ろう」、<気楽にいこう>と緊張を溶かす「our Good Time」、<君は君のスタイルで>と語りかける「Adolescence」。まっすぐに飛んでくる言葉と想いは、2ndアルバム『Present』期から“伝えること”と真剣に向き合ってきた彼らの軌跡を感じさせる。曲に込められたメッセージが、祈りのようにオーディエンスの心へ響いていった。

たとえMASHUP LIVEであっても、OCTPATHならではのポップな演出は忘れない。街角に雪が降っているVCRとともに、ステージ中央にはクリスマスツリーが登場。毛布のような温かな声色で、「Daydream」を柔らかく歌い上げていく。曲が終わるやいなや、急いでトナカイやサンタのカチューシャを装着する8人。

スクリーンにはキューバン(OCTPATHのマスコットキャラクター)が姿を現し、「Present」のイントロに乗せてTHme(OCTPATHのファンネーム)と一緒にメンバーの名前をコールする。サインボールがOCTPATHから“プレゼント”されるサプライズもあり、ひと足早いサンタクロースの到着にフロアは大いに華やいだ。みんなで「メリークリスマス!」と締めくくると、いよいよ前半のキーセンテンスとなる「prism」へ。

壮大なサウンドとソリッドなビートに乗せ、OCTPATHが持つ力強さや優美さを遺憾なく発揮していく。そればかりか、センターに立つ人が変わるたび、曲の空気や色をクルクルと変化させていく。さすが『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』を意識して作られたナンバーとでもいうべきか。この一曲で「これが今のOCTPATHだ」と明言するとともに、攻めの一面もチアリーダーたる一面もOCTPATHとしての魅力なのだと、堂々と誇示したのである。

OCTPATH/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
OCTPATH/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)

次の扉を開くために

後編は“個々の魅力を伝えていく”ユニットセクションからスタート。『OCTPATH Showcase 2025 ~à la carte~』で磨き上げた一人ひとりの強みを、あふれ出るほどに開放していく。

トップバッターを飾ったのは、古瀬と高橋わたるによるユニットダンスだ。高橋がダークな美しさで心をつかめば、古瀬はクリーンな華麗さで圧倒。天使と悪魔を彷彿とさせる対比や意味深なラストなど、作り込まれた世界観は圧巻だ。

続いて、海帆と西島蓮汰が「Love Me(Kohjiya, Shurken Pap & MUD)」をカバー。しなやかな海帆と鋭い西島、異なるフロウと声色を持つふたりのかけ合いは、「こういうクルーって存在しそう!」と思ってしまうほどにしっくり。音に乗せてハンズアップも巻き起こり、観客は心地よさそうに揺れていた。

太田駿静・栗田航兵・小堀柊の3人は、たくさんの想いを詰め込んで「クリスマスソング(buck number)」を歌い上げる。太田が切なさに声を震わせれば、栗田はまっすぐに感情を乗せ、小堀は切なそうに視線を落とす。三者三様の表現は、歌をがんばってきた彼らの現時点での集大成と言っても過言ではない。

そして、ユニットセクションのトリには、四谷真佑が「むちゅー♡あいどる」を投入。本来であればひとりでパフォーマンスする楽曲なのだが、なんとこの日は海帆も参加。ファンから「愛してる!」の口上が届くと、ふたりは満足そうに口角を上げていた。

古瀬直輝(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
古瀬直輝(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
高橋わたる(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
高橋わたる(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
海帆(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
海帆(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
西島蓮汰(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
西島蓮汰(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
太田駿静(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
太田駿静(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
栗田航兵(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
栗田航兵(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
小堀柊(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
小堀柊(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
四谷真佑(OCTPATH)/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
四谷真佑(OCTPATH)/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)

MCタイムを経て全員の衣装チェンジが完了すると、センターステージで向かい合う8人。古瀬が「また横浜BUNTAIに帰って来られたっていう感謝の気持ちも込めて。メンバーにもそうだし、THmeにもそうだし、QWV(OWVのファンネーム)さんもそうだし、今日初めて来てくれたみなさんにも心を込めて一曲歌いましょうか」と告げると、「Car Stereo」が導かれた。

お互いの歌声に耳を傾けながら、それぞれの気持ちを受け止め合う表情は穏やかだ。曲が進むにつれ、ひとりまたひとりと歩き出し、円は次第に外向きに。メンバー間で交わしていた感情を、今度は場内のオーディエンスへ手渡していく。あまりにも澄み切った声色は「時を経ても色褪せない音楽や思い出がある」と謳うかのようだった。八者八様のアイデンティティが根幹ではひとつに結ばれていることを、音楽を通して伝えた。

「To open the next door. You collaboration with them this require.(次の扉を開くには、彼らとの協力が必要です)」というアナウンスが流れ、OWVとタッグを組むべく雄々しさに磨きをかけていくターンに。

「IT’S A BOP」「Wild」「Bump」「Lip Service」からなる進撃のOCTPATHメドレーを誘い込み、アクセルは一気にフルスロットル。息つく間もなく、新制OWVのターニングポイントとなった「BREMEN」をカバーし、さらに畳みかけていく。8人、いやOWVも含めた12人で「みんなを最高の景色に連れて行く」という決意を刻んだ。

そのまま「Run(TWO THRONE ver.)」へと雪崩れ込み、いよいよライブはラストスパート。ステージ2階で一列に並んだスタンドマイクの前に佇み、真っ赤な照明を背負う姿は、まさに新たな時代を切り開いていくヒーロー。吹き上がる炎、頭上を突き刺すレーザービーム、ヘビーサウンドにも負けない歌声、すべての要素を重なり合わせながら、最後の瞬間まで本気で命を燃やしていく。

OCTPATH/『OWV・OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)
OCTPATH/『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE』2025年12月13日の公演より(撮影=山口比佐夫)

“TWO THRONE”12人で奪いにいく栄光

OCTPATHがOWVと邂逅するVTRを挟み、本編のラストを飾る「TWO THRONE」へ。OWVも合流して総勢12人でのステージになると、パフォーマンスはさらに大迫力。クオリティでぶん殴りに来るような一体感もさることながら、直前の「Run」で「ついてきなよ輝く玉座」「王冠へ導くさ」と歌われていたと気づいたときには、思わずゾクッとした。

OCTPATHは終盤セクションを通して、グループの進化を描くと共に、「この12人で『栄光のTWO THRONE!!!』を奪いにいく」という意志を記し、OWVが主役となる『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE-FORCE -』へ華麗にバトンを渡したのだ。

本編が終了したあとも“ショータイムはまだ終わらない”。次第に大きくなっていくアンコールに呼び戻されたメンバーは、最新リリースの「スターライトランデブー」で晴れやかなムードへオーディエンスをアテンドしていく。リリースイベントを通して磨き上げられたステージングは、まだリリース前だというのにすでに完成度がピカイチ。ブライトでクリーンなエネルギーを、これでもかというほどに振り撒いていった。

<Oh-oh>のシンガロンが響く「Perfect」になると、OWVのメンバーも再登場。OCTPATHと協力して、さらにラストスパートをかけていく。最後には「FUN」でタオルをブンブンと振り回し、希望で場内を満たし、『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE-GRACE-』を結んだ。

彼らが本公演を通じて伝えたかったこと、それは「OCTPATHが固定観念に捉われない変幻自在のグループであること」、そして「8人のメンバー、さらにはOWVと個性をかけ合わせながら、頂点を目指していくという決意」なのではないだろうか。

果たしてこの推測が正しかったのか、翌日の『OWV OCTPATH MASHUP LIVE 2025 TWO THRONE-FORCE-』と内容を重ね合わせながら考えていきたい。

【4K】OCTPATH - 「スターライトランデブー」Official Music Video
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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験ののち、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャー..

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