にじさんじ・不破湊が“バンドの技術”よりも大事にしていたこと【『Quick Japan』vol.179「2時だとか」表紙&60ページ特集】

2025.8.16

アートワーク=ムラヤマカズヤ

文=生湯葉シホ 編集=高橋千里


8月8日(金)に発売された『Quick Japan』vol.179では、にじさんじ発のバーチャル・バンド「2時だとか」を60ページで特集。VTuberとして活動するメンバーの一人ひとりの音楽への愛や、グループとしてのバンド活動への意気込みを徹底取材している。

QJWebでは本特集の中から、不破湊のソロインタビューの一部を抜粋。「2時だとか」発起人でもある彼に、念願のワンマンライブを終えた感触やバンドにかける思いを尋ねると、不破らしい独特の空気感で率直に語ってくれた。

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「シンプルに仲がいい」で集めたメンバー

──「2時だとか」は不破さんの発案で生まれたバンドですが、当初はどんな目標やビジョンを据えていたんでしょうか?

不破 「長く続ける」「空中分解しない」というのをまずは目標にしてましたね。だから、ビジョンとかは全然なくて。自分の中ではバンドっぽい曲をやりたいなとは漠然と思ってたんですけど、ほかの3人が今までやったことのあるジャンルとか、好きなジャンルとかも全然知らなかったです。どういった曲をやるバンドになるかは、正直マジで未知数でしたね。

──もともと関係値のあるライバーに声をかけたとのことですが、渡会(雲雀)さん、ローレン(・イロアス)さん、イブラヒムさんの3人だったのは何か決め手があったんでしょうか?

不破 もう、技術とかってよりは、シンプルに仲がいい人たちですね。すでに仲よかったし、もっと仲よくなれそうだなっていう思いで集めたメンツです。

──では不破さんとしては、「にじさんじ内で新しいプロジェクトがスタートした」というよりも、「友達とやってみたかったことを実現した」という感覚のほうが強いですか?

不破 完全にそうです。最初はまあ、プロジェクト的になんかおもろいことができたらなとも思ってたんですけど、そのあとに思ってたより仲よくなったというか……。

──バンドの練習を通して仲が深まったんですか?

不破 というかもはや、練習せず遊んでましたね。練習はみんなで合わせる機会よりも個人練が多かったので、みんなで集合するときはそのままメシ行ったり。もともとオフでは会ってたんですけど、オフで遊ぶ機会がもっと増えた感じです。

──では結成当初は、ライブハウスでワンマンライブをやるようなバンドになるとは想像していなかったですか?

不破 そうですね。ワンマンライブなんて機会がいただけるとはさすがに思ってなかったです。ワンマンの開催のお話が来たときも、自分としては「メンバーみんながやりたいならやるか」という感じで。

──友達同士で組んだバンドだからこそ、各メンバーの意思は尊重したかったと。

不破 もともと声をかけたのは自分なんで、ちょっとリーダー的な目線もあって、練習が大変すぎるようだったら別にやらなくてもいいなとは思ってましたね。ワンマンとなるとやっぱりたくさん練習しなきゃいけないんで、忙しすぎてダリぃってなっちゃうようなら違うかって。自分はまだ学生のころから楽器をやってるから曲も覚えやすいほうだと思うんですけど、普段から楽器に触ってないと覚えるのはかなり大変なので。

──とはいえ豊洲PITでのライブでは12曲演奏されていましたが、演奏面の完成度も非常に高かったですよね。

不破 意外にも、練習の最初のころからわりと仕上がってた感じはしました。まあ、俺ら今ドラムがいなくてプロの方に入っていただいているので。やっぱりドラムが安定してるだけで完成度高く聞こえるっていうのはあるっすね。でも、思ってたよりワンマンライブがほんとにおもしろくて、メンバーみんなすごい達成感があって。

──不破さんは特に、ワンマンライブ中、メンバーや客席にも目を向けながら本当に楽しそうにギターを弾かれていましたよね。演奏中はどんなことを考えていたんですか?

不破 練習はしたつもりだったので、本番はもう、どんだけ楽しめるかってことしか考えてなかったですね。緊張とかも感じずとにかく楽しんで、決めるとこはちゃんと決められたらいいなって。特に1曲目の「READY STEADY GO」(L’Arc~en~Ciel)はギターソロがいい感じに決まりました。

──冒頭30分の『マリオカート』パートやシャッフルタイムなど、2時だとかならではのライブ演出もおもしろかったです。

不破 ありがとうございます。『マリカー』パートは自分が発案したんですが、途中に挟むよりも、最初に入れたほうがなんかいいかなって。

──豊洲PITという会場はいかがでしたか? ライブハウスとしては大きめの規模でありつつも、会場の熱気はしっかりと伝わってくるサイズ感ですよね。

不破 そうですね。やっぱりROF-MAOとかではかなりデカめのところでやらせてもらう機会が多いので、豊洲PITもデカいんですけど、やっぱりお客さんとの距離はめっちゃ近いなって感じました。ライブハウス感もかなり味わえて、それはほんとよかったっすね。

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「2時だとか」表紙/『Quick Japan』vol.179より

『Quick Japan』vol.179は現在大好評発売中。表紙はオリジナルの撮り下ろしカットを使用。特集では、ワンマンライブの撮り下ろしレポート、初ライブを終えた直後のメンバー4人による座談会、個々の音楽遍歴やバンド活動への思いを掘り下げるソロインタビューを掲載している。

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生湯葉シホ

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生湯葉シホ

1992年生まれ、東京都在住。WEBメディアを中心に、エッセイやインタビュー記事の執筆を行う。『大手小町』にて隔週でエッセイを連載中。 ブログ『湯葉日記』