2024年9月に第一子を出産し、韓国人の旦那と子育てに奮闘中のピン芸人・本日は晴天なり。連載「バツイチアラフォーの幸せだけじゃない日常」では、家族と過ごす日常の中での喜びやイライラを綴っている。
日本ではまだ取得しづらいイメージがある男性の育児休暇。1年間の育休をした旦那とツーオペで育児をする筆者は、改めてそのメリットを実感しているという。
育休を取得することで得られる貴重な時間
子供が生まれて3カ月が過ぎたころ、毎日ゲームばかりしていてどうしようもなかった旦那に「このままだとあなたのこと嫌いになっちゃうかも。どうしたらいい?」と真顔で相談すると、離婚歴のある私のこの言葉はかなり効いたようで、憑き物が落ちたかのようにまともになった。
友人に旦那が育休を取得していることを話すと、必ずといっていいほど「素晴らしい旦那さんだね!」とベタ褒めされる。ゲームや飲酒による前科が多すぎるので、育休を取ればいいってもんではないが、いないよりは、ましだった(メンタル面だけでいうと、いないほうがストレスが溜まらずに済んだかもしれないけど……)。
育休制度が導入されている会社でも実際は取りづらい男性の育休。長期間休むことでキャリアに傷がつくかもしれないと不安になったり、ほかの人に仕事のしわ寄せが行くことを心配する人も多いだろう。
申請自体も手続きが複雑で、二の足を踏む原因のひとつになっているように思う。旦那の申請書類に目を通したが、これ育休取らせる気ないだろ!!と思わずツッコんだ。まるで、子供とのかけがえのない時間を過ごしたければこのくらい複雑な申請も乗り越えられるよな?と試されているかのようだった。
日本人の私が見てもちんぷんかんぷんだったが、韓国人の旦那はそんなハードルをなんとか乗り越え、1年間の育休を取得した。最初は半年のつもりだったが、生まれたばかりの娘と接するうちに、「やっぱり1年取る!」と言い出した。
給料は約6割に、半年過ぎてからは5割になる。しかも、金額には上限があり、満額をもらえるわけではない。何があるかわからないこのご時世、娘の将来のために1円でも多く稼いでおくべきでは!?と、収入ほぼゼロの私の口からは、とても言えなかった。
また、旦那は長期育休の事例をひとりでも増やすことで、ほかの男性でも育休を取りやすくなるような意識改革をするのが責務だと考えるようにしたそうだ。
娘が産まれてからの二度と戻ってこない貴重な時間は、お金があっても得ることができない。うちの旦那は初めてのお風呂、初めての離乳食、初めてのハイハイ。娘の初めての瞬間、すべてに立ち会えている。だから、いつか人生を振り返ったときに、「何にも代え難い宝物だった」と言ってもらえる自信があった。
「初めての子育て」は父親も母親も一緒
初めての子育てにおいて、父親と母親の間に育児に関する知識の差はほぼない。だから、うちの場合はなんとなく関わっているではなく、旦那にも自分の責任で積極的に動いてもらうために、あれもこれもママに任せておけばいいやという考えはぶっつぶした。
SNSで「育児に関わっていないパパは子供の今の体重、かかりつけの小児科、次の予防接種日は答えられない」というポストを見かけたので、まったく期待していなかったが、試しに旦那に聞いてみるとすべて答えることができた。
旦那は娘につきっきりで、抱っこもなかなか私に譲らない。旦那に抱っこされるとよく笑うので、新生児のころは、オンマ(ママ)よりアッパ(パパ)のほうが好きなんだ……旦那に娘を取られる!どうしよう!と焦るほどだった。

今では、おむつ替え、寝かしつけ、抱っこ、離乳食。ほぼすべてをやってくれるので、私はただ授乳するためだけの人間ドリンクバーと化しており、旦那はたまに私のことを「パブ(ご飯)」と呼ぶようになった。
おむつ替えに関しては、以前、うんちをしたときに「オンマじゃなきゃだめだって〜」と言われたことをかなり根に持っており、「アッパに替えてもらおうね!」と娘に話しかけることで、旦那に圧をかけてやってもらっている。
睡眠時間も確保できる
乳幼児子育ての悩みのひとつとして必ず上がるのが、睡眠時間の確保である。特に新生児期は3時間に一度は授乳しなければならない。その間隔は2時間だったり1時間だったりもする。長いと30分以上授乳して、ようやく眠ったと思ってベッドに寝かせたとたん、目覚めたりするので、継続して横になれる時間は盛りなしでせいぜい1時間だ。
せっかく眠った子供を起こしたくなくて、膝の上に乗せ座ったまま眠ることもあった。子育てを終えた同世代の友人に、「座り寝できるならいいじゃん!余裕!余裕!」と言われたが、「あなたはそのときは20代だったから座り寝で回復できたかもしれないが、こっちは41歳初産でやらしてもらってますけど!?」と、言いたかった。
夜中の授乳は睡魔との闘い。終わりのない時間にも感じ、頭をぐらんぐらんさせながら、「やまない雨はない……終わらない授乳はない……」と、ぶつぶつ唱えていた。そして、極限を迎える朝方、旦那が起きるので、バトンタッチ。起き上がる旦那の背中からは後光(ただの朝日)が差しており、「救世主の起床……」と崇めた。
ちゃんと見てくれる人がいる安心感を抱きながら、まとめて2時間眠るだけで驚くほど回復できる。日中でもどうしても眠いときは「ごめん、30分だけ眠っていい?」と、2時間昼寝をするのが我が家のあるあるになっている。
睡眠時間を確保することで、かなり心の余裕が生まれていた。ワンオペ育児だったら気が狂っていたかもしれない。
離乳食作りは旦那の仕事
売れていない芸人の私だが、月に何度かお笑いの仕事がある。産後4カ月ほどで復帰したが、芸人仲間には「誰に預けてるの?」「近くに両親でも住んでるの?」など、昼間から出歩けていることを不思議がられる。
いろんな作業をふたりで手分けして行っているが、離乳食作りは完全に旦那の仕事だ。メニューだけ指示すると用意してくれるので、私はミルクの作り方をはじめ、哺乳瓶の洗い方、フードプロセッサーの使い方など一切知らない。
母からLINEで離乳食の様子を尋ねられた際、「旦那が全部やってくれている」と伝えると、いつも旦那を君づけで呼んでいるのに、急に様づけで呼び出した。うちの父は私が赤ちゃんだったころ、「うんちのおむつ替えは絶対しない!」と宣言する、昭和育児タイプだったので、母からすると離乳食をすべて準備してくれる旦那は、思わず様づけしたくなるほどの存在なのかもしれない。


育休中の旦那と過ごしていると毎日が日曜日のようで、訳がわからなくなる。ゴミの日がいつなのかわからなくなり、ただでさえおむつのゴミが増えたというのに、出し忘れが続きとんでもない量のゴミが廊下に溜まってしまったことがあった。
どこかに出かける際はしっかりカレンダーを確認し、土日を避けるようにしている。せっかくなので、大混みしそうなレジャー施設も育休中に行っておきたいところだ。
ワンオペ育児は想像できない
旦那は、「こんなに仕事を休んで以前の生活に戻れるのか怖い……仕事行きたくない……」と、すでに弱音を吐いており、AIチャットに「なんとかして6年くらい育休取れる方法はない?」と真顔で尋ねていた。
娘のため、家族のためにしっかり稼いできてほしい反面、復職してほしくない気持ちは、私にもある。ワンオペ育児がまったく想像できない。たまに数時間だけ娘とふたりきりになるが、トイレもまともに行けなくなる。
離乳食の準備も旦那が復帰するまでに覚えなくてはいけないし、どうシミュレーションしても、ひとりでお風呂に入れさせることなんてできなかったので、ひと足早くママ芸人になった石出奈々子ちゃんにワンオペでお風呂に入れる方法など伝授してもらった。
私は40代で育児をスタートしたため、親族をはじめ、まわりから心配されることも多いが、「案外、余裕です!」と返答できているのは、紛れもなく旦那が育休してくれているからだ。積極的に育休を取得するお父さんが増えることで、男性の育休がより身近なものになってほしい。
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