写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
自分なりの美しさ
第146回。
渋谷センター街の速い流れから気づかれないように抜け出し、立ち並ぶ雑居ビルの隙間をのぞく。
そこには人間がごまかした無数の痕跡があった。

色とりどりなゴミもここまで集まるとどこか新鮮味を帯びて、この光景にひとグラムの好感を持ってしまった自分はいったいなんなのかと少し落ち込んだ。
人が隠したい感情のかたまりを見た気がしてどこかリアルを感じたのか、そしてそれに安堵したのか。
渋谷の各ビジョンに映る表面的な声色と嘘のような表情が飛び交う未来展望論者たちに嫌気が差していた自分には、この生々しさがちょうどよかった。
映画『バケモノの子』では異世界に通じるはずの隙間だが現実では到底歩けそうになくて、それにも少しホッとした。
きっとまだこの不完全でみじめな世界が好きなのかもしれない。
そんな感情を抱きながら自分なりの美しさにすがってシャッターを切る。
人間ってなんだろな。

NAOYA(ONE N’ ONLY)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、蒼井嵐樹が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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