SKY-HIが候補者たちにアドバイス「人間性ってまわりに伝播するし、それがグループの人間性になる。まず自分を愛してあげて」【『No No Girls』レポート#9】

SKY-HIが候補者たちに アドバイス「人間性ってまわりに伝搬するし、それがグループの人間性になる。まず自分を愛してあげて」【『No No Girls』レポート#9】

文=奈都樹 編集=森田真規


YouTubeの総再生回数は5億回を超え、若い世代から絶大なる支持を得ているラッパー/シンガーのちゃんみな。そんな彼女が、SKY-HIが主宰するレーベル/マネジメント「BMSG」とタッグを組んで始動したオーディションプロジェクト『No No Girls』。

「今までいろんなNoって言われてきた人たちを救いたい」と、本オーディションのプロデューサーであるちゃんみなは宣言。そして、ここから生まれるガールズグループに所属するアーティストには、以下3つの“No”を求めるという。

No FAKE(本物であれ)
No LAZE(誰よりも一生懸命であれ)
No HATE(自分に中指を立てるな)

2024年11月29日にYouTubeにて配信された『No No Girls』Ep.09では、擬似プロ審査の課題に向き合うAチームの様子が届けられた。

【No No Girls】Ep.09 / 5th Round -Lose confidence-

擬似プロ審査の詳細が明らかに

4次審査の結果発表から1時間後。再び候補生の前に現れたちゃんみなから、次の審査の詳細が明かされた。5次審査では、2チームに分かれて擬似プロ審査を行うという。

これは、「プロが作った楽曲をプロのスタイリング・ヘアメイクでプロフェッショナルに歌いこなし、擬似的にプロのアーティストとしてステージに立つ」審査だという。候補生たちはただ歌いこなすだけではない。スタイリングなども含めて自分の理想を考える必要があるのだ。

本審査では課題曲とクリエイティブ曲の計2曲を発表。

課題曲は4次審査のPopsトラックからちゃんみなが作った。タイトルは「Tiger」。これをプロの振付師が作った振り付けでパフォーマンスする。

『No No Girls』のテーマソング「NG」に、候補生がオリジナルの歌詞と振りをつけてパフォーマンスする。審査までに与えられた期間は実質9日間だ。

チーム編成は以下となった。

チームA
KOKO、KOKONA、SAYAKA、CHIKA、FUMINO、MOMOKA、YURI
チームB
KOKOA、KOHARU、JISOO、JEWEL、NAOKO、MAHINA、MOMO

EP.09の配信ではAチームに密着した。

テーマは「自信」に決定

合宿1日目。午前中は合同ダンスレッスンだった。最前列で焦りの色を見せていたのはMOMOKAだ。4次審査の結果発表で、ちゃんみなからダンスの基礎を練習してほしいと言われていた。MOMOKA自身もスキルの差を感じているようで、「まだ全然追いつけていない」と不安を漏らす。

同様にSAYAKAも不安を抱えていた。MOMOKAとともにダンス講師MiQaelに相談しに行くと、「あなたはもっと下半身を鍛えて。軸が軽いから」とアドバイスされていた。

2日目は「NG」の歌詞作り。原曲にはちゃんみな自身がこれまでに言われ続けた「No」への反抗心が、鋭いメッセージとして表現されている。

候補生たちはもともとメッセージ性の高いこの曲に、オリジナルのメロディと歌詞を作らなければならない。メンバーはクリエイティブに悩んでいた。

なかなか先に進めずに考え込んでいると、スタッフが部屋にやってきた。すると、「今日明日である程度仕上げるぐらいの気持ちでやらないと、このあとのスケジュールがヤバイかも」と警告が。早く完成させるため、まず歌詞を考えてから振り付けをつけていくことに。

そして、曲のテーマは「自信」となった。

同じパートのCHIKAとFUMINOは一緒に歌詞を考えていた。CHIKAは「けっこう自信ある。殻が破れたりさ、自分の表現が広がったって思っとるけん」と話す。候補生の中でも特に自信のなさが目立っていた彼女も、また少しずつ変わろうとしている。

そんな彼女が書いた歌詞には、自信の中にも切なさがにじむ。

<I am a Good Girl/真面目 top star/完璧主義 からやぶる/Monster/どこにいても残る声 足を止め/天才だからと願って>

メンバーの歌詞は順調にでき上がり、次は振り付けへ。そんななか、YURIの表情が浮かない。

メンバーで唯一、歌詞が仕上がっていなかったのだ。Aチームの中で、「(自分は)お荷物だと思ってしまって」とスタッフに話す。そんなYURIを気にかけ、MOMOKAも一緒になって歌詞を考えていた。

沼にハマってなかなか抜け出せないYURIに、MOMOKAは「完璧主義でしょ、YURIちゃん。時には適当も大切だよ」と優しく声をかける。結局この日はいったん歌詞を埋めて、ダンスに取り組むことに。

合宿3日目。ダンス歴14年のKOKOとCHIKAを中心に振り付けを提案する。しかし、それぞれのイメージが合っていないパートもあるようで、KOKOもCHIKAも互いに気を遣っている様子も垣間見えた。

スタッフインタビューでは、KOKOは「違和感がまったくなかったわけではないんですけど、うまくみんなと混ぜて一緒にできたらいいな」と協調していこうとする意志を述べるが、CHIKAは「これは絶対にかっこいいと自信を持てるほどでもないのに言っていいんだろうか、みんなの時間もあるしとか、私はめっちゃ考えちゃって」と懸念する。

一方、ダンスが苦手なメンバーには焦りがあるようだ。「優しいから丁寧に教えてくれると思うんですけど、時間ないことはわかってるから、自分でなんとかしなきゃ」(SAYAKA)、「振りを覚えて踊るだけで精いっぱいになっちゃいそうだな、と思っているので」(MOMOKA)、「ゆっくりやってくれたのでありがたい気持ちがあります。すごいダンスを作ってくれたので、踊りこなせるようにならなきゃって」(FUMINO)と、それぞれの心境を語った。

りょんりょん先生の指導で急成長を見せる候補者たち

合宿4日目。次は課題曲「Tiger」のレコーディングに向けて練習。ここで存在感を発揮したのが、絶対音感を持つSAYAKAだ。音程が取れずに困っているメンバーにアドバイス。メンバーは自分を助けてくれる、自分も協力してチームに貢献したい、とスタッフに話していた。

レコーディングに向けてボイストレーニングへ。まずFUMINOからチェックへ。裏声になりやすいFUMINOは、ちゃんみなから歌声の種類が一定だと指摘されてきた。

りょんりょん(佐藤涼子)先生はまず、歌声の種類を増やすためのレッスンをする。まるでアニメ声のような発声をさせたあと、そこに抑揚をつけるように指示。するとFUMINOの声は少し変わった。次は実際に曲を歌ってみる。柔らかい歌声だったFUMINOから威圧的な鋭い声が。今まで聞いたことがないFUMINOの声に、ほかのメンバーからも拍手が起こった。

そのあとも独特なりょんりょん先生のレッスンにより、ほかのメンバーも短時間でメキメキと成長。歌唱力と表現力が劇的にアップした。

そんななか、またしてもYURIに“あの”壁が。4次審査でもちゃんみなから「感情が顔に出ない」と言われていたYURI。それが歌声にも表れてしまう。りょんりょん先生は「残念でしたね。聴いてる途中で飽きました」「全部同じ調子で歌ってる」とズバリ。そうなってしまうのはまじめな性格だからという。

けれど、それはけっして悪いことではないと励ますりょんりょん先生。「遊ばないでダンスばかりやってきました、みたいな人に多いんですよ」というと、YURIは図星なのか思わず苦笑いを浮かべた。

ちゃんみなとともに「Tiger」レコーディング

そして、「Tiger」のレコーディング当日。合宿で鍛えた歌声をちゃんみなに披露する日だ。

FUMINOは、さっそく新たに手に入れた表現を駆使して歌い上げる。が、ちゃんみなは「もうちょっとFUMINOっぽい感じがいいかな」と指摘。そのあとも、「もうちょっとFUMINOっぽい感じで」「一番FUMINOらしさを出さなきゃいけない」など“らしさ”を出すように指示される。FUMINOらしさを残したまま表現のバリエーションを増やす、という新たな課題が立ちはだかった。

ほかのメンバーたちにも、どんどんアドバイスしていくちゃんみな。殻を破ろうと表現してくるメンバーにちゃんみなも高ぶっているのか、細部に至るまで歌い方を注文する。メンバーが注文どおりに歌ってみせると、ちゃんみなはそのたびに大絶賛。メンバーも恐縮しながらもうれしそうだ。

りょんりょん先生から厳しい指摘を受けたYURIはどうだろうか。

時に気だるく、時に力強く、時にセクシーに……YURIは歌声にさまざまな顔を見せていく。新たな一面を見せつけられたちゃんみなは、「Nice, girl!」と反応。ラストでは「めちゃくちゃセクシーフェロモンムンムンでお願いします」とちゃんみなが指示すると、それもYURIは完璧にこなす。

思わず「フー!」と歓声を上げるちゃんみな。さらにカメラ目線で「男性陣、耳ふさいでくださーい」とひと言。大絶賛だった。

表現力に悩んでいたYURIは、ちゃんみなの反応に思わず顔をほころばす。あとからスタッフに、「今まで見せられてなかった部分が見せられたかなっていうところはあって、緊張というよりも楽しめた」と話していた。

SKY-HI「これから大事なのは人間性」

合宿7日目。この日はレッスンに、りょんりょん先生とちゃんみなが登場。Aチームは初めて「NG」を披露した。パフォーマンスを観たちゃんみなは、「プロ並みなコレオ(振り付け)だったよね」と高評価。

一方、個別の歌唱レッスンでは、CHIKAにユニークな表情の研究について、FUMINOには威圧感の出る歌唱法についてアドバイス。語尾を押すだけでも威圧感は出せるという。

ヤンキーの怒鳴り方もそうだとか。ちゃんみなが試しに「なめんじゃねぇえぇぞぉおぉ!!!!オォォォオイ!!!!」と手本を披露する。たしかに威圧的だ。あまりの“本物”感に、隣にいたりょんりょん先生も思わずパチパチと拍手する。

すると、ちゃんみなはスケジュール上ここまで。代わりに、SKY-HIがレッスンを見ることに。

続いてMOMOKAの歌唱について、りょんりょん先生は「もう顔の表情だけですね」とコメント。続けてSKY-HIは、「リリックはもうじゅうぶん強くてかっこいいんで、自分のリリックに自分で負けないように、食っていきましょう」とアドバイス。自分のリリックに自分で負けない。これはMOMOKAに限らず、表現者にとって最大の課題なのかもしれない。

合宿8日目。この日は「Tiger」のチーム合同練習。候補生は2日間でものにしなければならない。

腰を激しくくねらせたセクシーな振り付け。イスも使った構成となっており、歌いながら踊るにはかなり難度が高そうだ。ダンスが苦手なFUMINOは、「うまい人が踊ると、できる動きでもできなそうに見えるの、わかります? その現象が起こっちゃって」と不安な様子。

さっそく両チームの振り入れへ。その様子を見ていたダンス講師のGENTA YAMAGUCHIとMiQaelは、両チームの雰囲気の違いを感じていた。Aチームは個人にフォーカスが当たっていて、Bチームはまわりをケアしようとしているように見えたという。

翌日、Aチームはふたりからまとまりのなさを指摘される。見せどころの認識がバラバラになっている、グループで踊っているのにひとりみたい、と言われてしまう。

ダンスのスキルに差があるあまり、メンバー同士の気持ちの違いがあるようだ。

スタッフインタビューで、FUMINOが「私がやれないと、みんなで合わせることすらできないなって思ってた」と言っていたのに対して、CHIKAは「(FUMINOから)『見てください』って何回も言われるけど、私は『もうできとるよ』って。本人は納得いってないから自分が協力できるところはたくさんしていきたい」と話していた。

すぐにチーム内で話し合い、意思疎通を図る。ダンスのスキルは関係なしに思ったことがあればメンバー全員に伝えていこうと話し合うメンバーたち。

そして再びGENTA YAMAGUCHIとMiQaelにパフォーマンスを見せると、ふたりからは「すごい変わった!」と高評価を受ける。話し合ってチームがまとまったことが伝わってきたようだ。

そんななか、SKY-HIから差し入れが。これにはメンバーも大喜び。和気あいあいと差し入れの寿司を食べるメンバーたち。プロ擬似審査が目前に迫る彼女たちにとって束の間のひと時だ。そんな彼女たちにSKY-HIはこんな話をする。

「世の中、歌うまいとか、ダンスうまいとかだったら、もう無限にいるじゃん。これから大事なのは人間性ってよくいうけど、マジでそうだなと思ってて。特に今、チームでやられてると思うので。自分の人間性ってまわりに伝播すると思うし、それがグループの性格とか、グループの人間性になる。まず自分を愛してあげて、そのあと、自分と一緒にやってるメンバーを愛してあげて、スタッフを愛すると、ファンまで愛がやっと届くみたいな順番って絶対あると思うので。大事にしてください」

本番を待つチーム「KINISHY」

本番前日。メンバーは弁当を食べながらチーム名を考えていた。

KOKOは「キニシー(気にしい)ってどんな字なの?」と言い出した。メンバーは軽く吹き出しながら、「おもろい!」「悪くないと思うんだけど」と試しにローマ字で書いてみることに。どうやらなかなかよさそうだ。

「KINISHY」これが彼女たちのチーム名となった。由来は、メンバー全員がまわりに気を遣う「気にしい」だから。

本番を目前に控えているKINISHYに、パフォーマンスの見どころを聞くと、メンバーは口をそろえてCHIKAのパートが好きだという。CHIKAが高音で叫ぶのに合わせて、ほかのメンバーが一斉に脚を上げる場面となるようだ。

「CHIKAちゃんの高音に合わせて私たちも脚を上げます。難度高めのね」(KOKO)、「やばめの振り作っちゃったんで」(CHIKA)、「パワフルな美声とともにパワフルな脚上げをお届けします」(MOMOKA)とそれぞれコメント。

さらにMOMOKAが「みんなが前回もらった課題を、みんなと協力して解決していくような感じでした。本当にありがとうございます」と感謝を伝えると、それに続いてほかのメンバーも頭を下げて互いに感謝を伝える。

それぞれ個を高めながらも、メンバーのことも支えていたのだろう。仲の深まりを感じさせる場面だった。

いよいよ5次審査本番。収容人数800人規模のホールというステージでパフォーマンスを行う。何もかもがプロ仕様となっている今回の審査。ちゃんみなはこう語った。

「衣装を着るのと着られるのとは全然違うし、メイクをするのとされるのとは全然違うから。プロの人たちの手が加わったことで、それをどういうふうに扱うかっていうのは特にガールズグループでは大事だと思うので、そのへんは見たいですね。鎧ですからね、メイクは。女子にとって」

準備が整い、会場に入ってくるメンバーたち。彼女たちのパフォーマンスはどうなったのか……。

次回、Ep.10ではBチームに密着する。

【『No No Girls』Ep.10配信予定】
■2024年12月6日(金)20時~

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奈都樹

(なつき)1994年生まれ。リアルサウンド編集部に所属後、現在はフリーライターとして活動しながら、クオーターライフクライシスの渦中にいる若者の心情を様々な角度から切り取ったインタビューサイト『小さな生活の声』を運営中。会社員時代の経験や同世代としての視点から、若者たちのリアルな声を取材している。

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