IS:SUEを作り上げた“原点”とは?「aikoがきっかけ」「アニメが大好き」影響を受けたカルチャーたち【『IS:SUE THE BEGINNING』場面写真あり】

2024.11.23

文=岸野恵加 撮影=佐々木康太 編集=高橋千里


ビジュアルも、性格も、好きな音楽もそれぞれ違う。そんな彼女たちの「原点」とは、いったいなんなのだろうか? 『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』から新たに誕生し、今年6月にデビューしたIS:SUEにインタビュー。今まで影響されたカルチャーを聞くと、これまでの生き方が見えてきた。

「母が車でかけていた、aikoの曲がきっかけ」

──みなさんがアーティストの道を志すにあたって、一番初めに「音楽」というものを意識して好きになったのはいつごろでしたか?

NANO 私は、母と乗っていた車の記憶が強いです。お出かけするときに、母が車でよくaikoさんの曲を流していたんですね。お風呂でもaikoさんの曲を歌っていたし、aikoさんの影響で音楽を好きになって、「歌うことって楽しいな」と感じました。

──NANOさんといえばダンスの印象が強いですが、まず歌うことが好きになったんですね。

NANO たしかにそうですね! 習ったことはないけど、まず歌を好きになり、歌って踊るアーティストさんに憧れてダンスを始めたという順番でした。ほかに小学生のころはmiwaさん、YUIさんが好きでよく聴いていたし、AKB48さんの曲を学校で友達と踊っていましたね。一世を風靡していた「神7」がいたころです。

──YUUKIさんは過去のインタビューで、幼いころからビヨンセさんやブルーノ・マーズさんに憧れていたと語っていましたね。

YUUKI そうですね。でもそうした方々を、小さいころはまとめて“洋楽”として認識していたと思います。ダンスをずっとやっていたので、音楽を聴きながらも視覚的にダンスの動きを意識している部分が大きかったんですが、最初に「こんなに素晴らしい音楽があるんだ」と純粋に感動したのは、中学1、2年のころに出会ったONE OK ROCKさんでした。初めてロックに触れて、すごくカッコいいなと思って。

そのあと邦ロックに傾倒したわけではないんですけど、自分から最初に開拓した音楽はロックで、RADWIMPSさんやSUPER BEAVERさんなどもよく聴いていましたね。

──RINOさんも、お姉さんに憧れて始めたというダンスが入口でしたか?

RINO いろいろと記憶をたどってみると、カラオケが原点にある気がしてきました。母も姉も歌うことが大好きで、幼いころから休みの日に家族でカラオケによく行っていたんです。

母に憧れて、同じ曲を入れてどっちが高得点を取れるか勝負してみたり。JUJUさんやMISIAさん、『アナと雪の女王』とかのミュージカル音楽が多かったかな。そこから歌の楽しさを知って、いろんな音楽を聴くようになったので、母の影響は大きいと思います。

アニメは「自分の心を強く動かしてくれる存在」

──素敵な思い出ですね。続いては、音楽以外で自分が影響を受けたカルチャーについて、それぞれ教えていただけますか?

NANO 私はマンガかな。小さいころは『ちゃお』を毎月愛読していて、特に『極上!!めちゃモテ委員長』という作品が大好きでした。毎回おしゃれなアイテムを紹介してくれるんですけど、ファッションが好きになったのはそこが始まりだった気がします。

家族みんなマンガが好きで、父と弟の影響で『ONE PIECE』『NARUTO』などジャンプ系の作品もよく読んでいます。最近も「『呪術廻戦』のあの話、読んだ?」「これめっちゃおもしろいから家に仕入れたよ」と、連絡が来ましたね(笑)。最近はマンガよりアニメのほうがよく観るかな。RINOもアニメが好きなので、よくふたりで話してます!

RINO (目を輝かせて)アニメ、大好きです! 最近もNANOちゃんが『ダンダダン』を観ようか迷ってるというので、「おもしろいよ!」って熱弁しました。

NANO 『怪獣8号』も勧めてくれたよね。『呪術廻戦』はふたりとも大好きで、RINOはTシャツも持ってるよね。

RINO (『呪術廻戦』に登場するキャラクター・五条悟の“領域展開”のポーズをして)大好きです! 学生時代は、横浜ビブレのアニメイトによく行ってました。

NANOちゃんは家族の影響と言ってたけど、私は気づいたらアニメ好きになっていたんです。もとは小さいころ、『名探偵コナン』が大好きで、土曜の夜は絶対に観ていたし、劇場アニメも毎年観に行っていて。でも『コナン』は自分の中ではアニメの一部という分類ではなく、あくまで『コナン』で、明確にアニメ全体を好きになったのは、ここ数年、アニメがブームになってから。

私、すごく影響を受けやすいんです。アニメに限らず映画などでも「ひとつのものに向かってがんばる人たちってすごいな。自分ももっとがんばろう」と思わされることが多くて。アニメは自分の心を強く動かしてくれるな、と感じています。

──YUUKIさんはどんなカルチャーに影響を受けましたか?

YUUKI 私は高校生のころ、映画を毎日のように観ていました。観た映画とその感想を記録するInstagramのアカウントを作っていて。特に洋画が好きで、映像美が素晴らしくて、穏やかな雰囲気を持っている作品に心を癒やしてもらっていましたね。

ラジオも好きなんですが、同じ部分に惹かれていた気がします。ゲストの方の人生観を垣間見たり、人の会話を盗み聞きしている感覚が大好きでした。

──9月に放送された『IS:SUEのオールナイトニッポン0(ZERO)』も、みなさんすごく楽しそうでしたね。

YUUKI みんな生き生きしていましたよね。深夜テンションで大騒ぎして(笑)。

RINO 深夜4時に生歌を披露したり……(笑)。

NANO あれは最高だったよ! ラジオ、またやりたいねって話していました。楽しかったなあ。

クリエイターとのコラボで、表現の幅が広がった

『IS:SUE THE BEGINNING』#3より

──MUSIC ON! TV(エムオン!)で放送中の番組『IS:SUE THE BEGINNING』では、3回にわたって写真家、映像作家の方とコラボレーションを繰り広げてきました。印象的だったことは?

YUUKI 最初にアーティストの方々とコラボすると聞いたときは、「自分がそこに値するだろうか」という不安も少しあったんです。みなさん美学を持たれているだろうから、世界観をしっかり表現できるかな?と。

でも写真家のARISAKさんやTakahashi Hikaruさん、映像作家のかとうみさとさんは、全員「IS:SUEが表現したいものは何か」を聞いてくださって。想像力と魅力にあふれた方ばかりで、すごく楽しんで取り組めました。

『IS:SUE THE BEGINNING』#3より

──番組を観ていて、IS:SUEも積極的に意見を出していたことも印象的でした。

YUUKI みなさんがコミュニケーションを取りながらいろいろな提案をしてくださったので、アイデアがどんどん湧いてきました!

NANO それぞれ撮り方に個性がにじみ出ていて。私たちもそれを感じ取りながら「どうしたら相手が求めているものに近づけられるか」を考えながら臨むのがとても楽しかったですね。

『IS:SUE THE BEGINNING』#3より

──番組で得た経験は、今後の活動にどのように活かせそうですか?

NANO #3の映像撮影はMV撮影に近くて。やればやるほど見せ方もうまくなるし、自分の映り方を把握してブラッシュアップしていけたので、今後撮影するときは撮られ方をよりいっそう意識できるんじゃないかなと思っています。

『IS:SUE THE BEGINNING』#3より

YUUKI 「自分はこう見せたい」という主体性を持って取り組む経験を積めたので、今後の撮影ではどんどんアイデアを出せるといいなと思いました。

RINO 自由に動いてその瞬間を撮っていただく経験が初めてだったので、「こう動いたらこう見えるんだな」「この角度も意外と悪くないな」と、発見することがたくさんありました。普段挑戦できないことにチャレンジできたので、自分の表現力の幅が広がった気がします。

『IS:SUE THE BEGINNING』#3より

グループ名に込められた“異種”の意味

──IS:SUEというグループ名には「常に注目や話題性(ISSUE)を持って人々を魅了する、魅力的で”異種”な存在」という意味が込められていますよね。“異種”と聞いて、どう捉えましたか?

YUUKI 最初は若干「ほかの人たちとは違う、レベチな女の子たち」というイメージを感じたんです。でも楽曲の歌詞を読み込んでパフォーマンスしていくうちに、自分たちが特別なのではなく、一人ひとり違う魅力があって、“みんなが異種で、みんな魅力的なんだ”というメッセージを感じて。今は“異種”の意味合いをそう捉えていて、そのメッセージ性を伝えていきたいという思いですね。

IS:SUE(イッシュ)『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』のファイナリストだったNANO・YUUKI・RINO・RINの4名で結成されたガールズグループ。取材時点(2024年11月1日)では、RINは活動休止中

──まさに最新曲「THE FLASH GIRL」の歌詞にもそうした意志を感じます。メンバー間で“異種”の捉え方について話すことも?

RINO 改まって話すことはなくて、こうした取材のときにお互いの考えを聞いて「ふむふむ、そう思ってるんだ」と思うことが多いです(笑)。でも口に出さなくても、みんなが心の奥に抱いている思いは一緒な気がします。

NANO 「THE FLASH GIRL」の「居場所がないなら 自分で見つけるわ」というフレーズにはすごく共感しました。孤独を感じたり、置かれた環境に自分が合わないと感じたとしても、ならば自分がいやすい場所を作って、過ごしやすい人と一緒にいたらいい。

自分たちの曲からそうしたマインドを受け取ってどんどんポジティブになり、前より自信を持ってステージに上がれている気がします。

12月11日発売『Quick Japan』では、IS:SUEが思う「自分らしさ」をさらに深掘り!本誌限定の撮り下ろし写真も

自分の好きなものを発信することをためらってしまう。ネガティブな自分が嫌い。「自分らしくいる」って難しくない? ──これまで、そんな葛藤を抱えていたというIS:SUE。

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  • 『IS:SUE THE BEGINNING』

    MUSIC ON! TVで9月から3カ月連続でオンエア。“異種”とのコラボレーションを通して、これから大きなステージへと飛躍していく彼女たちの姿を追う“はじまり”の物語。個性あふれる魅力を毎回さまざまな角度から切り取りお届け。
    ・#3:11月24日21時~
    ・#1〜3一挙放送:12月10日22時~

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岸野恵加

(きしの・けいか)ライター・編集者。ぴあでの勤務を経て『コミックナタリー』『音楽ナタリー』副編集長を務めたのち、フリーランスとして2023年に独立。音楽、マンガなどエンタメ領域を中心に取材・執筆を行っている。2児の母。インタビューZINE『meine』主宰。

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