“アスリート芸人”は数多くいるが、お笑いトリオ「モシモシ」のいけは、フルマラソンで3時間切りを達成するほどのスーパーランナー。お笑いと同じくらいの情熱をマラソンに注いでいる。
そんないけが、7月20日・21日に放送される『FNS27時間テレビ』(以下:『27時間テレビ』)の通し企画「100kmサバイバルマラソン」に『深夜のハチミツ』(フジテレビ)代表として出場決定!
本連載では、マラソン優勝までの道のりを、いけ本人によるコラムでお届け。今回は、本番に向けた心の中の葛藤を赤裸々に語る。
テレビの中の主人公になれるかもしれない
人生を変えたい。
月並みだけど、今の僕にぴったりな言葉です。
てっきり僕は、お笑いのビッグな大会の決勝インタビューで、この言葉を言うとばかり思っていました。
お笑い芸人をやっている以上、その舞台を目指すのは当たり前だし、今もその気持ちは変わりません。
だけど僕にとっての「100kmサバイバルマラソン」は、そこに匹敵するくらいの大きなチャンス。そう簡単に巡ってこない、これまでの僕には想像もし得ないビッグチャンスです。
ネタは、テレビに映れて数分です。体感よりもあっという間です。あくまで、ほかの出演者の中のモシモシ、モシモシの中のひとりに過ぎません。
だけどこの100kmマラソンなら、僕が走る姿で、テレビの画面を独り占めできるかもしれない。テレビの中の主人公になれるかもしれない。
テレビを見漁り、テレビの中の世界に憧れた、あのころの僕のように、
わんぱくな気持ちが僕をいっぱいにしています。
優勝して、1秒でも長くテレビに映りたい。
芸人が「笑い抜き」でマラソンに挑むことの葛藤
葛藤はもちろんあります。
無名である僕が、仮に優勝したときの、世間からの目。
気にするなといわれても、人の目を気にしてしまうのが僕の性格。苦しむ未来が容易に想像できます。
そして、芸人である僕が、笑いを抜きにマラソンで真剣勝負をすることはどう受け取られるのか。
まずは芸人としてひと花咲かせてから、別の一面を見たいという思いを寄せられた出演者が出る舞台なのではないか。こう思われてしまっては、もうぐうの音も出ません。
でもそれを凌駕するほどに、変えたい人生があります。
僕の、ただただ強いエゴ。
普段は謙虚なつもりだけど、このチャンスばかりは、こいつを剥き出しにして、なんとしてでも獲りたい。
そう思えるほどに、優勝して、人生を変えたいのです。
まずは、僕の人生を変えたい。
お金お金言うのは嫌だけど、やっぱり今の生活は苦しい。
お金がない、だからできない。
お金がない、だから今じゃない。
たどりたい大事な人生の選択を、先延ばしにしてきています。
それを、ここで変えたいです。
獲得した賞金で、これがしたい!という夢も広がるのは事実ですが、
この舞台が、次につながるきっかけになればいいなと思っています。好きなことでしっかり食っていける人生につなげられるようにしたい。
そして、「モシモシ」の人生を変えたい。
そもそもこの100kmマラソンも、これまで3人で地道にやってきたからこそつかめた舞台です。
ありがたいことに、ちょこちょこテレビにも出させていただけるようになった結成6年目、そろそろ3人でひと花咲かせたいのです。
この舞台は、モシモシという名前を、いつもとはまた違うかたちで広められるチャンス。
僕をお笑いの世界に誘ってくれて、より高みへ連れていってくれるふたりとの人生も変えたい。
小学生時代の記憶が教えてくれた「やる意義」
そして最後に、
これに関しては、まだ自分のまわりのことで精いっぱいなので、うっすら思っていることです。だから話半分に聞いてください。
もしかしたら、誰かの人生を変えられるのでは?ともぼんやり思っていたりします。
僕なんかが人の人生を変えるなんておこがましい話なので、すごく濁していますし、本当に小声で言います。すみません。
僕は芸人になる前、3年間、テレビ番組の制作会社で働いていました。
芸人になることを、当時お世話になっていた先輩に報告したときに、このような言葉をいただきました。
「これから先、うまくいかないことももちろんある。そんなときに踏ん張るためには、芸人としておもしろいことをやるのはもちろんだけど、それともうひとつ、自分の芯となる、“やる意義”を見つけなさい」
やる、意義?
正直、当時の僕にはこの「やる意義」が思いつきませんでした。
ただおもしろいネタを作って売れてやるとしか思ってなかったから。
でもここ最近、ふと思い出した話があります。
僕が小学生のころ、女子クラスメイトの母親から聞いた話で、
その女の子(娘さん)は、おとなしい子で、時々学校に行くのがおっくうになることがあったそうです。
でも僕が授業中に、賑やかしたり、時にはふざけたり、楽しくしてくれるから、学校に行きたくなる、と。
僕が本当におもしろい小学生だったかはさておき、こう思っていてくれた人がいたという事実。
当時は、「ほぅ……」程度に思っていたと思いますが、
今になって染みる、言葉では言い表せない、なんかこう、「これかも……!」という気持ち。それがここ最近になって、急に押し寄せてきました。
自分の何気ない行動が、もしかしたら、その子を救ったのかもしれない。
救ったなんて大げさだけど、心をちょろっと動かせたのかもしれない。
しんどい思いをしている誰かのために。
なんてかっこいい言葉は言えないけど、
僕の「やる意義」は、ここにあったのかもしれません。
全力で走ることを誓います
それは、お笑いはもちろん、走る姿にもいえると思います。
僕の走りを見て、何かを感じ取ってくれる人がいるかもしれない。
ひょっとしたら、誰かの人生の大きな選択の、小さな小さなひと押しになれるかもしれない。
回りくどくてすみません。かすかに感じていることなので許してください。
何はともあれ、僕は僕なりに、
重りにならない程度に背負えるものは背負って、いろんな人生を変えるべく、全力で走ることを誓います。
関連記事
-
-
天才コント師、最強ツッコミ…芸人たちが“究極の問い”に答える「理想の相方とは?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>
Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR -
「みんなで歌うとは?」大西亜玖璃と林鼓子が考える『ニジガク』のテーマと、『完結編 第1章』を観て感じたこと
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
「まさか自分がその一員になるなんて」鬼頭明里と田中ちえ美が明かす『ラブライブ!シリーズ』への憧れと、ニジガク『完結編』への今の想い
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由
吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR