「分解可能&軽量化をテーマに杖を自作しました」放送終了後も根強い人気を誇る『フリーレン』レイヤーたちに聞いた“コスプレのこだわり”

2024.6.7
(左から)オバケのQさん、かいなさん、ひまさん

文・撮影=ソムタム田井 編集=森田真規


世界最大規模のアニメの祭典として知られ、3月23日、24日に開催された『AnimeJapan 2024』で『葬送のフリーレン』のキャラクターに扮するコスプレイヤーたちに、“衣装やメイクに対するこだわりポイント”を聞いたレポートをお届けします。

コスプレイヤーに聞いた“衣装やメイクに対するこだわりポイント”

コスプレイベントといえば会場を彩るレイヤーたちの衣装を通して、その時期に旬のアニメやマンガ、ゲームなどを分析できるところも参加する上での醍醐味のひとつ。2024年も全国各地でさまざまなコスプレイベントが開催され、いずれも大盛り上がりとなっている。

そうしたイベントに興味はあるもののまだ参加したことがないという方に向けて、本稿では春に行われた大型コスプレイベントをプレイバック。取材時に撮影させてもらったレイヤーたちの写真を掲載しつつ、それぞれに聞いた“コスプレに対するこだわりポイント”と併せて紹介する。

ここでピックアップするのは、世界最大規模のアニメの祭典として知られ、3月23日、24日に開催された『AnimeJapan 2024』に参加していたコスプレイヤーたち。

キャッチコピーの「アニメ、新時代。」にふさわしく、屋内外に設けられたコスプレエリアには、新旧さまざまなアニメ作品のキャラクターたち(に扮したコスプレイヤー)が集結。中でも、開催タイミングの直前にテレビアニメが最終回を迎えた『葬送のフリーレン』の人気は高く、同作のキャラ同士で集まり、集合写真の撮影や交流を楽しむグループが各所で見られた。

ちなみに同作は、放送終了後もコスプレイヤーの間では人気が継続しており、『AnimeJapan 2024』以降に開催された『ニコニコ超会議2024』『日本橋ストリートフェスタ2024』『ホココス2024 ~南大津通歩行者天国COSPLAY~』といったイベントにも『フリーレン』のキャラに扮したレイヤーは大勢参加していた。

「イベントの3日前に急遽、フリーレンのコスプレをすることが決まり、急いで杖を制作しました。素材は主に100円ショップで購入できるもので、それらを加工・塗装して作成しています。一番のこだわりポイントは、分解が可能で、持ち運びに便利なようにしている点です。柄の部分には分解可能なデッキブラシを利用していて、そのほかにも暗記シート、編物用の棒針、園芸の支え棒、鍋蓋の取手、ホースなどを使っています。メイクに関しては、フリーレンは童顔なキャラクターなので、丸くて柔らかい印象になるよう工夫しました。チークを丸く入れたり、ウィッグはあえてあごのラインが見えるように調整したりして、顔が丸く見えるようセットしています。それと眉毛は、白い絵の具と化粧下地を混ぜたお手製の化粧品で仕上げました」(『葬送のフリーレン』フリーレン/オバケのQさん)

『葬送のフリーレン』フリーレン/オバケのQさん
『葬送のフリーレン』フリーレン/オバケのQさん

「イベントの直前に、フリーレンとフェルンで併せをやろう!ということになりまして。せっかくなら杖もあったほうがいいよね……ということで、急ぎで制作したのがこちらの杖です。短時間で作ったのですが貧相なものにはしたくなかったので、造形にはこだわりました。また、持ち歩くことを考えて軽めの素材を使ったことと、持ち運びが楽になるように分割できる仕様にしたところもこだわったポイントです。それと、いつもは下まつ毛をつけることで“コスプレしてます”感を強調したメイクをしているのですが、今回はできるだけフェルンの素朴な雰囲気を表現したくて、薄めのメイクにしてみました。ちょうどいいバランスに仕上げるのはなかなか難しかったですね」(『葬送のフリーレン』フェルン/ひまさん)

『葬送のフリーレン』フェルン/ひまさん
『葬送のフリーレン』フェルン/ひまさん

「ウィッグは購入したものですが、想定よりも明るい色味だったので黒い染料を使ってトーンダウンさせました。ポニーテールはあとからパーツをつけ足すのではなく、実際に結い上げて整えたものなので、自然な感じに仕上げられて気に入っています。それとユーベルは目元が印象的なキャラクターなので、やるからにはその雰囲気も再現したかったんです。まずはテーピングで横長に目の形を変えて、下まつ毛にもボリュームを出し、彼女らしい目元の再現をがんばりました。杖に関しては、こちらもなかなか特徴的な形をしているため、型紙を作る際は試行錯誤しています。ウレタンボードを切り出して部分的に樹脂粘土を盛り、滑らかなラインになるようこだわって、塗装においても数種類の塗料を組み合わせることで現状の深みある色に仕上げました」(『葬送のフリーレン』ユーベル/トキワさん)

『葬送のフリーレン』ユーベル/トキワさん
『葬送のフリーレン』ユーベル/トキワさん

「こだわったのはウィッグの色味です。光の当たり具合で微妙に印象が変わるので、できるだけアニメの色味に近づけられるように調整しています。それと髪の長さにもこだわりがありました。アニメ絵では腰のあたりで結ばれていたので、長すぎず、短すぎず、ちょうどいい位置に結び目がくるよう気をつけて。髪型は前髪パッツン+三つ編みハーフアップだったため、二次元を三次元で表現したらどうなるか……といったことも考えながら作成しました」(『葬送のフリーレン』ラヴィーネ/雨晴ゆずかさん)

『葬送のフリーレン』ラヴィーネ/雨晴ゆずかさん
『葬送のフリーレン』ラヴィーネ/雨晴ゆずかさん

「今回のこだわりポイントはメイクと表情の作り方です。ひとりでフリーレンのコスプレをするときはカッコイイ感じのメイクにするのですが、今回はヒンメルが一緒にいるので、いつもよりもかわいらしい感じにして、表情も柔らかくしてみました。“ヒンメルの側にいることで、自分でも気づかないうちに自然と表情が柔らかくなっているフリーレン”を表現できていたらうれしいです」(『葬送のフリーレン』フリーレン/燕さん)

『葬送のフリーレン』フリーレン/燕さん
『葬送のフリーレン』フリーレン/燕さん

「今回のこだわりポイントはウィッグとメイクです。ヒンメルの髪型は襟足が刈り上がっているので、ウィッグで自然に見えるように再現するのが大変でした。それとメイクに関しては、ヒンメルの優しさとカッコよさを表現できるようにあえて女性らしいピンク色のアイシャドウを使って、柔らかい雰囲気と色気が出るように工夫しました」(『葬送のフリーレン』ヒンメル/かいなさん)

『葬送のフリーレン』ヒンメル/かいなさん
『葬送のフリーレン』ヒンメル/かいなさん

QJWebでは6月以降も、全国各地で実施されるさまざまなコスプレイベントに取材参加し、リポート記事を作成していく。連載形式で順次アップする予定なので、こちらもご期待いただきたい。

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ソムタム田井

(そむたむ・たい)ライター兼カメラマン。コスプレ文化の研究家として、『ORICON NEWS』『まんたんウェブ』『WebNewtype』『ファミ通.com』『Movie Walker』など、多数のWEBサイトや書籍に寄稿。コスプレイベントの企画やキャスティングを担当しつつ、世界コスプレサミット『Co..

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