東京吉本の若手芸人が所属する「神保町よしもと漫才劇場」から、今押さえておくべき芸人を紹介する新連載『レコメンド神保町』。前途有望な若手芸人が日々、切磋琢磨しているこの劇場の中でも注目の芸人とは。
第1回は、結成から約半年で劇場所属メンバーに加入し、4月6日(土)に初の単独公演を控える家族チャーハン。歳を重ねてからお笑い芸人を目指したふたりの結成までの秘話も聞いた。
家族チャーハン
大石(おおいし/1993年1月15日生まれ、東京都出身)と江頭(えがしら/1990年6月24日生まれ、大阪府出身)によるコンビ。ともにNSC東京25期出身で、2023年1月にコンビ結成。『ネタパレ』(フジテレビ)の「ニュースター勝ち抜きパレード」では、3代目チャンピオンとなった
家族チャーハンの武器は「ギャップと伸びしろ」
──まずは家族チャーハンのアピールポイントをお聞きしたいのですが、自分たちの武器はどんな部分だと思いますか。
大石 コンビのというか相方の紹介になっちゃうんですけど、とにかく彼は目につくので、ライブでも先輩方からイジられやすいんですよ。なんていうか……見た目は“コワモテ”だけど中身は“テレカワ”というか……。
──テレカワとは!?
大石 照れくさくて、かわいいです。あんまり聞いたことないんですけど、たぶん異性といるときとか、そういうタイプなんじゃないかなと思います。
江頭 気持ち悪っ(笑)。
──ギャップがあるということで。江頭さんから見た大石さんの魅力はどんな部分でしょうか。
江頭 伸びしろですかね。これまでの人生でがんばりきってないので、この先は芸人として本当にがんばると思うんです。持ってる力を全部発揮してくれたら、最終的には松ちゃん(ダウンタウン松本人志)とか(千鳥)大悟さんみたいになれるんじゃないかなと期待しています。
大石 今はいいところがないの(笑)? でも、がんばることを嫌ってきた人生ではあるか~。
──どんな人生を歩んできたんですか。
大石 養成所に入るまではニートみたいな生活をしてましたね。まず大学受験のとき、私立大学の3科目すら勉強するのをめんどくさがっていたら、英語しかできなくなっちゃって。それで、入試が小論文と英語だけのところしか受からなかったんです。そのあと留年もしたし、卒業してからもぶらぶらしていて、気づいたら本当にできることがなくなってしまって……。それで唯一、小学生からずっと好きだったお笑いをやってみるしかないかって思いました。一応、まわりを笑わしてた記憶もあったんで(笑)。
──江頭さんが言うように、今はこれまでの人生で一番努力できていると思いますか?
大石 どうですかね。がんばってるなって思える瞬間はありますけど。
──そう思える瞬間があれば、じゅうぶんだと思います。江頭さんはどんな経緯でお笑い芸人に?
江頭 僕も学生のときからずっとお笑いは好きだったんですけど、本当に好きだったからこそ自分がやるなんてとんでもないっていう感じだったんです。それで、もうひとつの夢だった俳優を目指して、文学座に入ったんですよ。文学座って最初は本科生から始まり、研修科生、準座員、座員ってだんだん上がっていって、最終的に座員になったらそのままずっと在籍できるんですけど、そこにいくまでの5年はそのピラミッドを勝ち残ることだけを考えてやってたんで、いざ最後までいったらこのまま死ぬまで役者やるのか、このまま芸人をやらずに終わったら後悔しそうやなって思い、辞めました。すでに29歳だったので、これが最後かなと。
──珍しい経歴ですね! 俳優としての経験が活きることもありそうですけどね。
江頭 演技を使う場があんまりないので、活かせてるとは思えないんですけど、先輩方から「お前、なんなん」みたいにイジってもらえるのは、文学座で演劇をやっていたのもあって、ほかの人とは違う空気が出ているからなのかなとは思います。
一緒にいてもストレスがない
──そんなおふたりで家族チャーハンを結成されたのは、芸歴4年目のとき。どのような経緯で結成したのですか。
大石 もともと同期だったのでご飯に行ったことはありましたけど、特別仲がよかったわけではなかったんです。だけど僕がルームシェアしてる芸人が、江頭と組んでみたらいいんじゃないって言ってくれて、それで。
江頭 そうですね。でもすでに芸歴も4年目だし、お互い歳もけっこういってるので、もう失敗できないっていうのがあって、3カ月ぐらい慎重に話し合いましたね。
大石 試しにネタ作ってみたりとかね。
江頭 それぞれほかの人とも試しにやったりしてたんですけど、最終的には一緒にいて楽っていうのが大きかったですね。
大石 そうですね。一緒にいてもストレスが少ないです。これから先、ずっと一緒にいるとしたら、しんどくないことって大事だなって。
──フィーリングが合った?
大石 合うというかネタだけじゃなく音楽とか映画とか趣味の話でも、具体的にこれが大好き、これめっちゃいいよなって共感するというより、これ好きなやつはちょっとダサいよな、みたいな感覚が近いです。あと、お互いが好きなものに対して、自分はハマらないけどいいのはわかるみたいな。
江頭 組むまでの間も、これやったらダサいよな、みたいな話はよくしてましたね。そういう感覚は近いんだと思います。
個性あふれるリフレッシュ方法
──ここからはおふたりからおすすめしたいものをお聞きします。今、読者におすすめしたいことはありますか?
大石 自分がやってることでいうと、あんまり行ったことのない駅に行くのがちょっと好きで……。
江頭 『クイック・ジャパン』に寄せにいってない?
大石 え? でも、本当におすすめで、なんか人の地元をのぞいてるみたいな。
江頭 ちょっと気取りすぎやって(笑)。
大石 俺の親父から受け継ぐ趣味なんだけどな。
──大石さん自身もよくやってるんですよね?
大石 本当にやってますよ(笑)。散歩して、よさそうなご飯屋さんとかあれば行ってみたいな。西武池袋線の中村橋とか、なんかよかったですよ。何も用事がなかったら絶対行かない場所に行くだけで、普段と違う感じがしておもしろいんです。
──いい気分転換になるんですね。江頭さんは何かおすすめしたいことありますか?
江頭 僕も自分がやってることになっちゃうんですけど、写経ですかね。
──大石さんとはまた違ったタイプ!
大石 でもひとりで完結するって意味では一緒か。
江頭 無理にこじつけすぎ(笑)。僕は「般若心経」を全部覚えてるので、ふとしたときにひたすら書くんです。座禅とかに近い感覚だと思うんですけど、書いてる間はなんにも考えなくなるんですよ。無でいられるから、リフレッシュできるんですよね。
──なるほど。今回はそれぞれからリフレッシュ方法をおすすめしていただいたということで!
大石 ふたりとも芸人っぽくなさすぎたかも(笑)。
初単独で初主催「どこから手つければ……」
──最後にそんなおふたりが今、本当におすすめしたい、初の単独ライブ『その男、チャーハンにつき』についてお聞きします。ライブではどんなことをやるんですか。
江頭 今回はとにかく新ネタをいっぱいやります。でも、本当に今までネタを作るってなったときは、1本のネタを1カ月くらいかけて微調整していくみたいな作業が多かったので、同時に何本もネタを作るのは大変ですね。
──初の単独ライブですもんね。
江頭 そもそも僕らは劇場に所属してまだ半年ぐらいしか経ってないので、自分たちでライブを催すこと自体、初めての経験なんですよ。だから本当にどこから手つければいいんだか……みたいな感じで。
──普段はどのようにネタ作りを行っているんですか。
江頭 ふたりとも考えるので、お互い持ち寄ってきたものをもとに話し合って作ってます。たとえばタクシーでネタを作ろうってなったら、タクシーの中でどういうことがあるかみたいなボケをそれぞれ持ってきて、それいいんじゃないとかいいながら作ってますね。
──ネタ作りでもあまりぶつかることはないですか。
大石 そうですね。お笑いに対してもこういうのはなんか嫌だ、それをやっちゃうのはダサいよなみたいな感覚は合ってるので、ぶつかるとかはないですね。
──では最後に改めて、『その男、チャーハンにつき』のおすすめポイントをお願いします!
江頭 新ネタをたくさんやるのもそうなんですけど、まずはいろんな人に観てもらいたいので、既存のネタも多少はやろうかなとは思ってます。アーティストの方のライブとかでも新しいアルバムの曲ばっかりやられても……ってなるじゃないですか。B’zさんのライブだったらやっぱり「ultra soul」は聴きたいし。なので、新ネタだけじゃなく、ある程度自信があるネタもやるので、いろんな人に観てもらいたいです。
家族チャーハン初単独ライブ『その男、チャーハンにつき』
2024年4月6日(土)20:45開場/21:00開演
配信チケット:1,200円/(配信開始21:00/配信終了22:00)
※見逃し視聴は4月8日(月)21:00まで
※販売は4月8日(月)12:00まで
詳しくはこちら
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■キャンペーン応募期間
2024年4月5日(金)〜2024年4月19日(金)■キャンペーン参加方法
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