芸歴20年目の『R-1グランプリ』新王者・街裏ぴんく。胸に刻んだ“シショウ”のひと言「続けるのもセンス」

2024.3.10
街裏ぴんく

文・編集=梅山織愛


3月9日に行われた『明治プロビオヨーグルトR-1presents R-1グランプリ2024』は、芸歴20年目の街裏ぴんくが優勝。直後に行われた会見ではその喜び、そして漫談を磨いたこれまでの道のりを振り返った。

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20年、辞めずにやってきた

決勝初進出で22代目王者に輝いた街裏ぴんくだが、芸歴20年目と今回のファイナリストの中では最長。「20年、辞めずにやってきてよかったです、本当に……。早くに売れた人から見たら、20年も売れずに続けてるんやって思うかもしれないですけど」と、感慨深そうな表情を浮かべながら、「ザコシ(ハリウッドザコシショウ)さんが『続けるのもセンス』って言ってたんです。自分も20年やってこれたんだから、辞めないセンスがあったのかもしれないですね。20年続けてきて、こうやって(優勝を)つかめたので、いつ願いが叶うかわからないですね。本当にうれしいです」と、改めて優勝を実感。

また、そんな師匠と慕うザコシと『R-1』の舞台で共演し、「お前、カバやもんな」「誰がカバやねん」という、おなじみのやりとりをできたことについても「震えるくらいうれしかった」と話した。

R-1グランプリ2024
優勝が決まった瞬間の街裏ぴんく

賞金500万円は「知り合いに150万、金融会社に50万、親にも100万以上借りてるんで……」と、基本は借金の返済にあてるそうだが、残りの使い道については「嫁さんと結婚して10年以上になるんですけど、一回も旅行に行ったことがないので、落ち着いたタイミングで2泊3日くらいハネムーンに行きたいです。あとは、歯も治したい」と夢を語った。

さらに副賞として、6月23日の深夜には優勝者特番も放送される。「いいんですか!」と笑顔を浮かべながら、「今まで刺激を受けたり、背中を追っかけさせてもらったいろんな先輩とお会いしたいです。それで、生で漫談を聞いてもらいたい」と、さっそくやりたいことを回想。

審査員を務めた小籔千豊も憧れの存在だったため、目の前で漫談をできたことはかなりうれしかったという。ほかにも一度しか会ったことがない「ダウンタウン」や、お世話になった「(笑福亭)鶴瓶師匠」にも漫談を聞いてもらいたいそうで、鶴瓶に対しては、「よくしてもらってたとき、師匠に『ベタもできるようになりや』って言っていただいたんですけど、自分の持ち味を貫きつつ、ベタっていうのはどういうことなんだろうって考えていて。今日はわりと(自分の持ち味を貫きながら)広く笑っていただけるようなことを意識できたかなと思ってます」と、感謝も述べた。

漫談と向き合ってきた

今大会では、ネタ時間が3分から4分に変更された。普段の独演会で10分、15分の漫談をする街裏ぴんくにとってもこの1分は大きかったようで、「1分増えるだけで、全然違いました。3分ってやっぱちょっと窮屈だったので、焦ってたんですよ。でも、4分になっても結局いっぱい詰め込みたかったので、わりと今日も早口でしゃべってたんですけど、やっぱり1分増えたのは大きかったですね」と振り返った。

2004年にコンビを結成するも、3年で解散。そこからピン芸人として活動を開始し、漫談を突き詰めてきた街裏ぴんく。「やり始めたら自分が納得できるとこまでやるタイプ」だそうで、「大阪で漫談を初めたときは事実に対して『なんじゃコラ』みたいに怒りまくる“ぼやき漫談”をやってたんですけど、2012年に東京に来たらそれが怖がられて、まったくウケなくなって。どうしたらええんやろと思って、一回、自分がやりたいこととか得意なことを捨てたんです。東京で何がウケるのかを追求して、漫談でもウケる技術がついたときに、ようやく自分が一番やりたかったファンタジーの漫談をやれるようになりました」と、現在のスタイルにたどり着くまでの紆余曲折を語る。

そうしてたどり着いた「唯一無二の漫談」は、「○○漫談」のような呼び方がまだ定まっていないそうで、呼び名を募集していると話した。

R-1グランプリ2024
マイク一本で優勝を手にした街裏ぴんく

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梅山織愛

(うめやま・おりちか)1997年生まれ。珍しい名前ってよく言われます。編集者・ライター。自他共に認めるミーハー。チョコレートとかき氷が好き。

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