CUBERS優が明かす9年間で最高の瞬間「いい空気が流れている感じがあった」

2024.2.23
CUBERS優インタビュー「世界が一変して試行錯誤していた」

文=坂井彩花 撮影=山口こすも 編集=森田真規高橋千里


2024年3月31日をもって解散することを発表しているCUBERSの“これまで”と“これから”が詰まった書籍『CUBERSメモリアルブック ~ポップデジタルタトゥー~』が3月15日に発売される。

メンバー5名のソロとグループで合計5万字以上のインタビューが収録されている『ポップデジタルタトゥー』から、ここでは優のソロインタビューからごく一部を抜粋してお届けする。

※本稿で掲載したインタビューや写真は制作中のものとなり、『CUBERSメモリアルブック ~ポップデジタルタトゥー~』の内容とは一部異なる可能性がございます。あらかじめご了承ください

サイン入りミニカード付『ポップデジタルタトゥー』の先行予約はコチラ

コロナ禍で直面した悔しさとやるせなさ

CUBERS優

 ええ……なんだろう? 活動で一番思い出に残っていること……あ、コロナ禍での活動かもしれないですね。思いっきり(コロナ禍が)直撃したグループなので。そのときの何かっていうより、コロナ禍での活動期間がすごく思い出にあるかもしれないです。「どうしよう」「何をしよう」って、みんなで常に話し合いをしていたから。みんなっていうのは、メンバーもそうですし、事務所とかレコード会社の方も含めてなんですけど。こういうことって、歴史的にもあまりないじゃないですか。だから、世界が一変したことに伴って、どうしていくか試行錯誤していた期間が一番印象には残っているかもしれないです。

 そうなんです。もう、おっしゃるとおりでございます。

 はい、そうなんです。悔しい気持ちもあるけど、しょうがないですよね。誰のせいでもないし、怒りの向け場がない感じ。悔しさをどこに向けることもできないので、やるせないというか。肩透かしをくらったみたいな感じでしたね。「これが悪いんだ!」って思える何かがあれば、逆によかったのかもしれないけど。ぶつける場所もなかったので、「はー……」って感じでした。

 そうですね。ほかのグループの活動状況があまりわからないので、なんともいえないですけど。オンラインとか、わからないなりにいろいろやってみたって感じですね。できることもそれしかなかったですし。

 いつだろう……そのへんがちょっとごちゃっとしているんですよね。明けたと思ったら、もうひと波来たじゃないですか。人前に立てるようになったのが、大きな変わりどころだったかな。ライブに観客を入れられるようになったくらいから、「明けてきたな」と思えるようになったかもしれないです。2020年12月の『CUBERS JUMPING BOX TOUR ~Xmas Special~』ころかな。でもそのあと、延期してた国際フォーラムライブもまた中止になっちゃったりしてたからいつなんだろうな。

CUBERS優

 あまり考えたことなかったですね。「長い」と思ったこともないし、「短い」と思ったこともない。「あ、こんなもんなのかな」って。メジャーデビューしているほかの人たちがどれくらいの時間がかかっているのか、あまり知らないので。でも、時間がかかる人って、もっとかかっているような感じもするんですよね。それこそ、僕は芸人さんが好きなんですけど、芸人さんって売れるのに10年かかるのなんて、ざらじゃないですか。錦鯉さんとかハンパないじゃないですか。そう考えたら、9年の活動期間も「長いのかな?」って感覚になりますよね。

 今になってみると、「あれって下積みだったよね」みたいな感じです。当時はその環境しかわからなかったから、「こういうものなのか」と思いながら活動していた気がします。あのころと比べて、やらなくていいことが増えていって「下積みだったんだな」と思ったというか。だから、下積みをしていた感覚はなかったかもしれないですね。

サイン入りミニカード付『ポップデジタルタトゥー』の先行予約はコチラ

自分にとってファンは「変わらずに信じられる存在」

 そんなこといったら、“何か”しかないんですけど(笑)。自分では気づかないので、何がきっかけかはわからないです。でも、何もないということは絶対にないですね。いろんなことがあったので。しかも、コロナ禍っていう一番でっかいことがありましたし。ターニングポイントを強いて挙げるとするなら、メジャーデビューじゃないですか。そこな気がします。それは、みんなそうだと思うし。

 意識が変わるというか、環境がガラッと変わるので、そうすると考え方も変わってきますよね。要は、関わる大人が増えたり、会社が増えたりするわけですから。そのおかげでいろんな仕事ができるようになると、さらにいろんな人と関わっていく。そうなると、僕に限らず、みんな考え方が変わっていったんじゃないですかね。メジャーデビューのときは、自ずとそうなっていったような気がします。

 数えたらキリがないですが……キザになりますけど、やっぱりみなさんの愛じゃないですか。かけてくれた言葉だったり、してくれたことだったり。もちろん「何かができるようになった」とかいろいろありますけど、一番はそんな気がしますね。

 変わらずに信じられる人たちかもしれないですね。最初から最後まで裏切られたと思ったことはないですし、大きいところでライブをすることになったとき、たくさんの人が入ってくれているところを見ると、やっぱり「ありがとう」って思うんです。そういうときに再認識じゃないですけど、感謝の気持ちは強くなっている気がします。

CUBERS優

 (しばらく考え込んで)……あんまりなかったかもしれないです。もうしんどい、つらい、明日行きたくないとかはありますけど(笑)。辞めたいはなかったかもしれないですね。ほかにやりたいことがあったらすぐ辞めていたと思うんですけど、それがなかったんで。超極端な話ですけど「おそば屋さんになりたい!」って本気で思ったら、俺はすぐおそば屋さんで働き出していたと思うんです。でも、そういうものに出会わなかったから。だから、続いていたのかもしれないです。それだけ芸能の仕事が魅力的な世界ってことじゃないですかね。キラキラした仕事じゃないですか。

 たしかに。あと、僕が辞めようと思わなかったもうひとつの理由は、歌とダンスが嫌いじゃなかったこと。たぶん、嫌いだったら辞めていたかもしれないです。グループ活動していると「歌は好きだけど、ダンスは好きじゃない」とか「ダンスは好きだけど、歌は好きじゃない」とか、ありがちだと思うんです。もしくは、「芝居が好きになっちゃった」とか。それで辞めていく人って、少なからずいると思うんです。でも僕は、この仕事のダンスと歌っていう部分が、別に嫌いじゃなかった。なおかつ、やっていて楽しいと思えていた。だから、続けてこられたのかもしれないです。嫌いになっていたら、楽しいと思えなかったら、辞めていたかもしれない。

 どこだろう……。ちょっと悲しくなってきますけど、国際フォーラムでのライブを発表したときかもしれないですね。なんかいい空気が流れている感じがあったし、あのころは目に見えて数字がよかったんですよね。動員数だったり、動画の再生数だったり、Twitterのフォロワー数だったり。のぼり調子で来ていた感じがするので。それがコロナ禍2年目くらいからガシャンって下がってしまったから、一番よかったのはそこかも。でも、みんなそう思っているんじゃないですかね。

 それもそうではあるんですけど、最高以外の感情も乗っかってきていて。右も左もわからない感じだったので、最高の瞬間っていわれればそうだけど、ほかにも「どうなるんだろう?」みたいな感覚もあった。わからないことが多くて、明確に未来が見えていないっていうか。国際フォーラムでのライブが決まったときは、ある程度は活動を重ねてきて、道筋もなんとなくできていましたから。

サイン入りミニカード付『ポップデジタルタトゥー』の先行予約はコチラ

QJストアにて直筆サイン入りミニカード3枚封入で予約受付中!

『CUBERSメモリアルブック ~ポップデジタルタトゥー~』表紙・裏表紙

タイトル:『CUBERSメモリアルブック ~ポップデジタルタトゥー~』
発売日:2024年3月15日(金)
定価:4,400円(本体4,000円+税)※送料別
仕様:B5判/80ページ
販売:QJストアAmazon(特典なし)
予約ページ:https://qjweb.myshopify.com/products/cubers
発行:太田出版

※発売日や仕様などは変更の可能性があります
※発売日が商品の到着日ではありませんのでご了承ください
※現在、一般書店での販売は予定しておりません
※第三者への転売、オークションでの転売等は禁止致します、ご了承ください

『CUBERSメモリアルブック ~ポップデジタルタトゥー~』QJストア限定、メンバーの直筆サイン入りミニカード

この記事の画像(全7枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

ライター_坂井彩花

Written by

坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。