写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。

金曜日はザ・マミィ林田洋平が担当する。『キングオブコント2021』では、準優勝に輝いたザ・マミィの頭脳、林田。そんな彼は、自身のインスタグラムで発信するエモーショナルな写真も話題となっている。林田が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。

びしゃびしゃ

情けない話ではあるのだが、僕だって健康になりたくて、近頃、ジム通いをしている。
情けない話だと言ったのは、心のどこかで、いつだって健康なんか気にせず、なんなら身体に悪いものから順に身体にぶち込んで、これだからこそ幸せだったんだと言いながらこの世を去る、太く短い人生に憧れがあるからだ。
しかし「だとしたらタバコ吸ってないと意味わかんなくね？」「酒強くないと成立してなくね？」と僕の中のリトル僕（ちょっとチャラい）が僕の太く短い命計画を否定してくるので、このたび屈して、ジムの門を叩いた。

ジムに行ったら筋トレをする。
これ、常識。

筋トレをしたらプロテインを飲む。
これも、常識。

プロテインを飲むには、プロテインをシェイカーに入れて、水（時には低脂肪乳）に溶かす。
これも、常識。

そして、振るときはシェイカーのふたをしっかり閉める。
今回、破ってしまった常識は、この常識だ。

勢いよく飛び出したプロテイン御一行は、美しい弧を描きながら四方に旅立っていった。
我が肉体に辿り着くもの、机の上、こたつ布団、カーペットに辿り着くもの、さまざまいたが、一番遠くまで辿り着いたものの先に鎮座していたのは、昔、人からもらって以来、家に住み着いているポテトヘッドだった。

プロテインびしゃびしゃポテトヘッド。
それはもうタンパク質ダルマ。
ごめん。君は、筋トレもしていないのに。

慌てて洗ってすぐ干した。干されてる君がなんだかおもしろくて、思わずいろんな角度で写真を撮っていたら、最後、本当に悲しそうな顔をしていた。
僕は本当に反省をした。

もう忘れない。
プロテインはシェイカーのふたを閉めてから振る。

閉めぬなら振るな。
振るなら閉めな。

ザ・マミィ林田洋平×「QJWebカメラ部」オフィシャルグッズ販売中

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加賀翔（かが屋）、中山莉子（私立恵比寿中学）、セントチヒロ・チッチ（BiSH）、長野凌大（原因は自分にある。）、林田洋平（ザ・マミィ）、森田美勇人が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。