【『THE LAST PIECE』クリエイティブ審査、現場レポート#1】「“本気”の純度が高い」10代たちが集う審査会場で感じた“世界で一番自由で大きな夢”

全ての10代と、
かつて10代だった
全ての人へ。
さあ、世界で一番自由で大きな夢を見よう。
これは『THE LAST PIECE(ラストピース/通称:ラスピ)』が提示するステイトメントだ。『THE LAST PIECE』はSKY-HIが主宰するマネジメント/レーベル「BMSG」が、BE:FIRST、MAZZELに次ぐ3つ目のボーイズグループを誕生させるべく2025年6月に始動させたオーディションプロジェクト。
その初回でSKY-HIは、「今一番救うべきは、夢の見方がわからずにもがいている10代。夢の見方を教えられるプロジェクトを作りたい」と語った。
6月某日、20名となったオーディション参加者たちは、静岡にある旧小学校校舎でクリエイティブ審査の本番に臨もうとしていた。多くの撮影クルーが集まるなかで行われた、現場のリアルな空気感そのままにレポートする。
前編では、SKY-HIへのメールインタビューとともに、クリエイティブ審査の本番が始まるまで、さらにTeam AとTeam Bのパフォーマンスの様子をお届けする。
目次
“青春”にあふれたオーディション会場
候補者たちが合宿を行っていたのは、静岡駅からバスを乗り継いで1時間半ほどの場所にある旧小学校校舎「カタショー」。到着するや否や、体育館から審査のリハーサル中と思われる歌声が漏れ聞こえてきた。


校舎内に一歩足を踏み入れると、そこには誰かのキャップを被っておめかししている人体模型や、理科の実験室、廊下に置かれた跳び箱など、青春を象徴するような懐かしいアイテムがあふれている。目に映るすべてが、これまでのオーディション&育成プロジェクトとは異なる新たな風が吹いていることを感じさせた。


取材チームは、収録開始40分前に会場となる体育館に入った。昼前に斜め降りしていた小雨は、現場に着くころには温かな陽射しに変わり、昼下がりの体育館の気温は25度ほどまで上がっていただろうか。湿気を吹き飛ばすような熱気に包まれたその空間で、BMSGスタッフと本番組をメインで放送する『THE TIME,』(TBS)の撮影スタッフが入り混じり、カメラの調整や会場設営が進んでいく。



そこから30分ほどが経ち、いよいよ合宿参加メンバーが会場入り。体育館にそろった候補者たちは、蛍光イエローのラインが入った『THE LAST PIECE』オリジナルジャージに身を包み、思い思いに声出しをしたり会話を交わしたりしていた。
緊張した面持ちで静かに一点を見つめるGOICHI、リズムに乗って身体を揺らすKEITO、隣に座るYUTAといつもどおりの雰囲気で言葉を交わしているRUI。どこか張り詰めた空気の中でも、それぞれが自分のペースで本番に備えている姿が印象的だった。取材時点では本編を観ることができていなかった筆者には、ついに『THE LAST PIECE』が始まるのだ……と、ようやく実感が湧いてくる。



ちなみに、QJ編集部は本取材に際してSKY-HIへのメールインタビューを実施。
「オーディションを通じた候補者の成長を視聴者にどのように捉えてもらいたいか?」という問いには、「“こういうふうに”というのはもちろんないので好きに見ていただけたらと思っていますが、本気って美しいということ。そして、本気で動いたら人生は変わるということは感じていただけると思います。同世代の10代の方々はもちろんですが、かつて10代だったすべての方々にも“自分のための物語”として受け取っていただけることを祈ります。どんなフェーズの人でも成長欲さえあれば成長力はあるので」と答えてくれた。

SKY-HI「楽しんでくれたら、絶対いいものが生まれる」
撮影が始まる前、SKY-HIが初の合宿審査で緊張に満ちている参加者たちを労っていた。「よく寝られましたか。よく寝られなくても、今までやってきた努力が味方してくれると思います」その言葉に、張り詰めた緊張感が一瞬ほどける。さらに、参加者たちに次のような言葉をかけていた。
「みんなに夢を見てもらうための『THE LAST PIECE』だけど、みなさんは日本中、世界中を探してもまずいないくらいスキルが高いです。何万人の大観衆を想像させてくれるようなパフォーマンスを期待しています。そうやって楽しんでくれたら、絶対いいものが生まれると思うので、楽しみにしています!」

「同じ場所に集まって同じ場所で切磋琢磨できるのも、今ならではの貴重な経験」と改めて伝えたSKY-HIに続いて登場したのが、参加者たちと同じ10代でデビューし、今回の審査のトラックメイクを担当したBMSG自社レーベル「Bullmoose Records」所属アーティストのBANVOX。
そして、今の彼らとも近い20歳のころにSKY-HIと出会った、同レーベルでゼネラルプロデューサーを務めるSunnyだ。彼は作家・音楽プロデューサーとして、さまざまなアーティストの楽曲を手がけ、東京を拠点とする次世代のソングライター、プロデューサー、アーティストを育成するために自身の集団「INIMI」を立ち上げている。
各人が思い思いの言葉で激励のメッセージを送ると、いよいよ発表の準備が始まる。会場は湿度の高い体育館のためスタッフ陣は参加者のコンディションを気遣いながら、熱気がこもらないように扇風機の風量調整を行っていた。


2チームに分けたパフォーマンスからスタート
審査はまず、20人を2チームに分けたTeam F(AOI、COTA、HAL、ISANA、KAIRI、KANTA、KEITO、RYOTO、YU、YUTA)とTeam G(ADAM、GOICHI、KANON、KEI、RAIKI、REN、SHO、TAICHI、TAIKI、RUI)による、BE:FIRSTの「Slogan」を用いたオリジナル曲パフォーマンスからスタート。
自身と向き合ったクリエイティブで、それぞれのスローガンを、それぞれの言葉で歌ってもらうことを目的とした審査なのだろう。

最初のパフォーマンスはTeam F。「完全初見なので楽しみにしてます。ぶちかましてください!」とSKY-HIからのエールを皮切りに、威勢よくYUTAがマイクを握ると、肝が据わった低音ラップで魅せたAOIや、リズム感のよさで惹きつけたKAIRI、しなやかな身体の動きから一転、低音ボイスでギャップを見せたISANAへと次々にバトンがつながれる。YUの落ち着きあるボーカルや、そのうしろから登場したKEITOの存在感も強く印象に残った。
ラストサビでオリジナルリリックを歌うころには緊張も和らぎ、一人ひとりのアイデンティティや生き様がしっかり刻まれたパフォーマンスに仕上がっていたと感じた。





そんななかで次に控えるチームは、上手(かみて)のステージ袖で待機する間も思い思いに声出しをして、黙々とコンディションを整えている。すでにBMSG TRAINEEとして活動するメンバーも多いTeam Gは、全員がひと際ここにかけた想いを込めていた。
勢いづいたラップで堂々と仕掛けるREN、安定感と深みのあるボーカルのKANON、サビ前にキリングパートを決めてみせたKEI、伸びやかなファルセットで曲にアクセントをつけるRAIKI……と、Team Fと同様に全員が替えのきかない自らのパートを彩っていく。
さらに、持ち前のスキルフルなヴァースでそれまでの空気を一気に変えたTAIKIと、そのバトンを受け継ぐGOICHIのたたみかけが、このチームの色を強く引き出す。





冒頭から20人全員の魂が押し寄せてくるようなパフォーマンスに、SKY-HIも「汗かいちゃった!」と興奮を隠しきれない様子だった。

自身のアーティスト性を定義する
続いてはこの日の目玉、4名ずつに分かれた5チームによるクリエイティブ審査が行われる。『THE FIRST』でも実施された本審査で、参加者たちのどのような資質を見極めたいと考えたのか。SKY-HIは次のように答えてくれた。
「自分自身のアーティスト性をどう定義づけるか、どこまで自分自身を掘れるか、それと同時に自分の可能性を毀損(きそん)することなくしっかりとチームワークに昇華できるか、その2点です。ただ、それと同等かそれ以上に、まっさらなトラックを聴いて、耳から脳に想像をふくらませることで、より音楽との距離感を近づけることが育成観点から効果的とも思っていて、そのためのプログラムでもあります」
いざ審査を目前にした参加者たちに、SKY-HIから声がかかった。
「3次審査のときも話したけど、緊張は敵じゃないから。成功へのイントロみたいなもの。成功したときのことをイメージしてあげると味方になってくれる。俺も緊張しているときがあるけど、全然悪いことじゃないので、大丈夫ですよ」
主催者であり審査員でもありながら、同時に参加者たちの一番の味方でもある──『THE FIRST』当時から変わらないとはいえ、SKY-HIと参加者たちとの関係性はオーディションという文脈では稀有なものだ。こうした愛情深い声かけは、パフォーマンス直前にも頻繁に行われていた。

楽しむ気持ちが前面に出たTeam A

GOICHI、KANTA、KEITO、SHOからなるTeam A。「無理にぶちカマそうとしなくていいからね。カマせるだけの努力をしてきてるのを知ってるから」「あの曲やっちゃう? 見せてあげて、ほかのチームにも」と、練習の過程を見てきたSKY-HIだからこその言葉に背中を押されたのか、“カマす”以上に楽しむ気持ちが前に出たステージとなった4人。
「自分で作った曲だけどこんないい曲だったんだ」(SHO)、「自分的にもすごく好きだし、パフォーマンスも楽しかった」(KANTA)、「こんなに音楽を楽しんでステージしたの、初めてなんじゃないかなと思う」(KEITO)と感想を述べた。
こぼれ話だが、パフォーマンス後のGOICHIのコメントの途中で17時のチャイムが鳴るという学校ならではのハプニングがあり、撮影が一時中断。そのチャイム音を聴きながら「次はこのトラックでクリエイティブ審査をやりましょう(笑)」というSKY-HI節が、場を和ませていたことも記しておく。





机とイスを小道具にしたTeam B

ADAM、AOI、KAIRI、KEIからなるTeam Bで特徴的だったのは、教室の机とイスを小道具に用い、楽しそうにパフォーマンスする光景だ。ステージ下で見守る参加者席の中には、ハンズアップして音楽に乗るRENの姿も見られる。
また、パフォーマンス後のコメント中、話している人のほうに身体ごと向け、じっと横顔を見つめてうなずきながら話を聞くAOIの姿が強く印象に残った。





こうした姿勢はAOIに限らず全員に通ずることだが、そもそも今回、候補者が全員10代の『THE LAST PIECE』だからこそ感じられた空気感はあるのだろうか。この問いかけに、SKY-HIはこう答えた。
「“本気”の純度が高いです。大げさでなく命をかけて臨んできているような、いい意味での無謀さを感じます。『もしダメでもしょうがないか』というような思考が存在しないです」
文字どおり人生を、命をかけてその場に立つ彼らの純粋さが、行動や表情の一つひとつに滲んでいたことは、きっとオンエアでも感じ取っていただけたのではないだろうか。Team Bがステージを降りると、RAIKIが戻ってきたADAMとハグを、KEIと握手を交わし、舞台袖に向かう。

【『THE LAST PIECE』クリエイティブ審査、現場レポート#2】は8月12日(火)公開の予定です。
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