「あの10年は全然うまくいかんかった」NON STYLE石田&ニューヨーク屋敷、テレビの変化と本音を語る

文=ねむみえり 編集=田島太陽


NON STYLEの石田明が、今話したいゲストたちを呼んでお酒とともに熱いトークを繰り広げるYouTube、『NON STYLE石田明のよい〜んチャンネル』。

ニューヨークの屋敷裕政をゲストに迎えた回では、『ラヴィット!』(TBS)の番組内企画「ニューヨーク不動産」で手に入れた念願のセカンドハウスから初めての配信を行った。

日頃のインプットやテレビとの付き合い方、芸歴を重ねてわかる「自身の能力」など、お酒を片手にふたりきりだからこそ話せる話題が展開。そのダイジェストをお届けする。

テレビを見ない石田と、サブスクに1万円かける屋敷

これ、石田さんの『よい〜んチャンネル』ですもんね、ありがとうございます。

ちょこちょこ見てくれてんのよ。

俺たぶん、全部見てるんじゃないですかね。

前も聞いたけど、時間の使い方どうなってんの?

それ、よう言われるんですけど、見てるものがめちゃくちゃ偏ってるだけなんですよ。奥さんがNHKの番組をけっこう観るので、ちょっと一緒に観ながら、政治とか情勢のこととかを教えてもらって、なんとか知る、みたいな感じです。でもそれがなかったら、ネットニュースとかも見ないので、本当に芸人まわりのこととかしか詳しくないです。

芸人まわりと、あとマンガも。

マンガも、結局芸人から教えてもらってることが多いです。

小説も読むやろ。

まあまあ、そうですね。

誰かからのいただき物の本とかって、俺はけっこうほったらかしにしちゃうタイプなの。ちゃんと読むやろ。

そうですね。だってもし自分が書いたら、読んでほしいじゃないですか。

読んでほしいねんけど、それすごいなと思って。

俺は小説なんて絶対書けないんで、書いただけですごいと思って一応読みますね。だから、石田さんは全然インプットせえへんというのは衝撃でしたよ。スマホもいじっとるとこほぼ見たことないし。

インプットしてるときのほうが、ネタ書くスピード遅かったもん。

そのときは意識的にインプットしてたんですか?

インプットしてた。

せなあかん、みたいな?

そう。芸人たるもの、小説もいっぱい読まなあかんとか思ってた。インプットしなくなって楽になった。

俺、石田さんはテレビとかYouTubeとかもほとんど観てなくて、芸人とこういうふうに会話して、いろいろ知るっていうのを聞いてびっくりしましたもん。

テレビとか一切観ない。テレビ観る?

テレビはTVerとか、あとサブスクで観ますね。だからサブスクに1万円ぐらいかけてます。

あらゆる配信サービスに登録している屋敷。テレビ出演だけでなく、ラジオやYouTubeなど多くの仕事を抱えるはずだが、芸人としての「忙しさ」もコロナ禍を経て変化が生まれたという。

コロナ禍で若手芸人のテレビでの振る舞い方が変わった

すごいな。でも今、めっちゃ忙しくて、そんなの観る時間ないやろ。

たぶん、NON STYLEさんがめっちゃ忙しかったときと、時代がだいぶ変わってますね。

夜中(の収録)はあんまりないよな。

ないですね。特番で夜中に集まって朝まで回すとか、50人ぐらいのひな壇でひと言もしゃべらんまま6時間ぐらいの収録する、みたいなのはないです。俺、その時代やったらもう死んでたやろうなと思います。

俺らはコロナ禍と同時ぐらいにテレビに出始めたんですよ。『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)も、ばーって芸人がひな壇におって、ボードに「〇〇できます」って書いたの持ってアピールするようなのだったのが、俺らがよう出さしてもらったころは、ソーシャルディスタンス取らなあかんから、ゲストが5組ぐらいになって。

だからテレビ界が、若手がわーっとアピールせんでええ世界になったんです。それと同時に俺らは『M-1(グランプリ)』決勝に進んだりとかうまいことタイミングが合ったので、前に出なあかんということを経験せんでよくなったんですよ。

じゃあキングコングの西野(亮廣)でも出やすい。

そうです。それこそ西野さんがおっしゃってた、「ひな壇がいや」みたいなこととかすごいわかりましたもん。みんなは「それやらなあかんやろ」みたいなこと言ってましたけど、俺的には「めっちゃわかるわ」みたいな。

(ひな壇は)難しかったもん、まじでなんもできへんかった。

パワー系じゃないとあかんみたいな。俺らはそういうの苦手中の苦手なんで、ラッキーでした。

でもニューヨークって、いい感じでテレビをナメてる感じがして魅力的やなと思うねんな。

テレビとか賞レースをがんばらな、みたいな時期が10年ぐらいあったんですけど、その10年は全然うまいこといかんかったんです。それで、俺は単独ライブと自分らのラジオ的なもののふたつで30万ぐらい稼げたら生きていけるし、そうなったほうがテレビとかもおもしろくなるんちゃうかみたいに思ったんですよ。

それで2019年に、単独ライブのかたちを変えて、YouTubeでラジオを始めたんです。そしたらその年に『M-1』の決勝に行けて、テレビにも出られるようになったんです。

コロナ禍でテレビ業界が変わり、自分たち的には「やりやすかった」という屋敷。そこから、お互いのテレビとの付き合い方の話題へ。

芸歴を重ねると見えてくる、自分の「戦闘能力」

でも結局テレビが増えてるわけやんか。

そうですね。難しいところです。

でも俺もそうやねん。テレビやりませんって言ってから増えたから、わけわからへん。

今、テレビにちょいちょい出さしてもらってますけど、全部なくなってもええわとはもちろん思ってないんです。だって、めっちゃいやじゃないですか。来年以降、テレビの出演がめっちゃ減ったりしたら。だけど、テレビに出るようになってから、別のフェーズに入ったんです。どうやらもう、自分の力じゃどうしようもないな、と。

俺らは俺らでやるんで、あとはもうお願いしますというか、あかんかったらたぶん(テレビの仕事が)減っていくけど、たとえば来年レギュラー番組がゼロになって、テレビ出演本数が少なかったときに、「もっとああしとけばよかったな」とかも、もうないんちゃうかなと思ってて。俺が考えて選択できる範囲なんてめっちゃ少ないなっていう気がしていて。

だから態度が悪いとかはあかんすけど、あいさつとかだけしといたら、あとはもう使うか使わんとかはお任せしますっていう感じですね。

今ニューヨークは芸歴何年目?

14年目です。

テレビとか出始めて、それぐらいやってるとさ、こんなにはっきりと自分の戦闘能力って分かるんやって、手練れたちと仕事したときに思う。若いころはそれがあんまりわからへんけど、どんどん戦闘力が数値で見えるようになってきて、この壁にはけっこう苦しんだ。俺は忘れもせえへんけど、(相方の)井上(裕介)に「(千原)ジュニアさんみたいなボケしてほしい」って言われて。それは無理やねん。無理やねんとか言いたくないけど。

たしかに自分ができること、できないことははっきりしてきますね。

石田&屋敷が悩みを吐露:動画全編紹介

ニューヨークの屋敷をゲストに迎えたシリーズは全4本で、すべて公開中。

2本目では、「最近漫才を見る情熱がなくなってきた」という屋敷の悩みに石田が答えるほか、大御所芸人が積んでいる「エンジン」のエグさなどについてトーク。

3本目では、石田がまじめにやってきたゆえに生まれてしまった「イジってもらいにくい」という悩みを吐露するほか、芸歴を重ねても芸人からの評価が気になったり、テレビに出てからのほうが劇場出番が怖くなるなど、芸人としてのリアルな感覚を聞くことができる。

4本目では、体調不良で収録をお休みしたニューヨーク嶋佐(和也)についてや、コンビ間でケンカができない理由を屋敷が語る。石田が今でも高校時代の同級生と飲み、仕事の話をするという部分から、屋敷のもともと人に興味があるという部分がMC気質であるという話へ。

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ねむみえり

1992年生まれ、東京出身。フリーランスのライターとして働きながら、現代詩の創作も行っている。本、舞台、お笑い、ラジオが特に好き。

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