【Quick Japan SPECIAL オモコロチャンネル完全読本】メンバー全員座談会「照れずにやっちゃったほうがいい」

2025.8.26

文=斎藤 岬 撮影=髙木美佑是永日和


YouTubeチャンネルのスタートから丸6年。その間、5人には徐々に演者としての自覚も芽生え、中目黒にあったオフィスも移転し、登録者数は約44万人を集めた。テキストメディアからYouTubeに主戦場を移し、彼らはどう試行錯誤してきたのか。特集の最後に、オモコロの原点とも言える中目黒を歩きながら6年間を振り返ってもらった。

本記事は「Quick Japan SPECIAL オモコロチャンネル完全読本」からの転載です。

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頂点からの景色

永田 2019年5月にはじめたから、ちょうど丸6年か。

原宿 トップに駆け上がるまでの激動の6年だったね。

ARuFa 早い早い。まだ4合目とかよ。

恐山 激動ではない。

加藤 言うほどなにも動いてないよ。順調にちょっとずつ上がってはいるけど。

恐山 挫折の日々もなければ、急成長を感じたこともない。登録者の増え方も一次関数グラフで描けそうな直線の上り坂だし。

原宿 いいもんだよね、頂点からの景色って。

ARuFa ぜんぜん話聞いてくれないな。

恐山 このペースだと、100万人登録まで行くの20年後ですよ。

原宿 まぁ、本当言うとそんなに売れてないよな、やっぱ。

「Quick Japan SPECIAL オモコロチャンネル完全読本」誌面掲載写真 /撮影=髙木美佑

永田 特集してもらってるのにそんなこと言うなって。立ち上げのときのことってなにか覚えてる?

ARuFa いやー! 永田さんが「YouTubeを始めよう」って言ったときは、満場一致で「やろう!」ってなりましたね!

4人 いやいやいや。

恐山 大反対したやつがいた。

原宿 ARuFaだけは反対だった。

永田 俺はそれを永久に忘れることはない。

ARuFa はい、大反対しました。「こいつヤバいこと言うなあ」って思って。

永田 「こんなネットオタクのブドウ球菌どもがお天道様の光を求めても干からびるだけ。僕たちは下痢のイカロスになる」と言っていた。

ARuFa 我ながらすごいこと言うな。

永田 俺は全部覚えてるからな。

ARuFa あと僕は「遅い」とも言った気がする。「こんなトーシロのオッサンが今更YouTubeに入っていこうったって、しょうがないっすよ」って。

原宿 言ってたね。6年前の時点で「もう、後も後でしょ」って。

永田 「週2でやろう」って言ったら「週2なんて絶対半年もたないっすよ!」とも言ってた。

ARuFa 言いましたね。全員狂って死ぬとも言いました。

原宿 それはこの後で現実になるのかも。

「Quick Japan SPECIAL オモコロチャンネル完全読本」誌面掲載写真 /撮影=是永日和

加藤 『オモコロチャンネル』って名前にしよう、って話は最初からしてたよね。「オモコロ」の名前を入れよう、って。

永田 ちゃんと逃げずに名前を冠そう、っていうのは言ってました。初期のころは記事の「オモコロ」と連動させることも結構考えてたし。

加藤 当初は同じ企画で動画+記事にもする想定だったね。ただ、ちょっと大変すぎた。

永田 動画と一緒にやると記事のほうは逆に制約が生まれちゃって、大変だったんだよね。なので、それはやめました。

恐山 「“ついで”じゃ無理なのが動画なんだ」というのがわりと早めにわかりましたね。編集・撮影専門の人を社員として採用するぐらい、本気でやらねばいけないことなのだ、って。

ARuFa 最初の『菓子盆選手権』の撮影のとき、みんな初めてのYouTubeだから照れてかかりまくって、変な小ボケしたりちょっとモジモジしたりしてましたよね。撮影終わって動画スタッフの柳田さんに「これでいいんですかね?」って聞いたら「ま、こんなもんっすよ」って鼻で笑われたの覚えてるなあ。

永田 力強いな、柳田くんは。

原宿 あー、俺も不安になって聞いたかも。「そんなにおもしろいこと起こってないけど、大丈夫?」って。

恐山 動画だと記事みたいに後から発言を足したりできないぶん、難しかったですね。

加藤 記事だとわかりやすい言い回しにしたりセリフ外で小ボケも入れられるけど、動画は発言がそのまま出ちゃうからね。

永田 でも菓子盆の記事はむしろ、現場の会話のほうがおもしろいから原稿にするときに結構削ってたよね。

ARuFa そうそう。菓子盆の記事はマジでみんな盛り上がるし、この熱量をより感じてほしいから動画にしてみようか、ってなったんでしたっけ?

永田 うん。菓子盆は動画のほうがたぶんおもしろいんじゃないかと思ったから、あれが1本目になったんだと思う。

「Quick Japan SPECIAL オモコロチャンネル完全読本」誌面掲載写真 /撮影=是永日和

──「この5人を固定メンバーとする」と決まったのはいつごろなんでしょう? 初期は固まってなかったですよね。

永田 どのタイミングなんだろうね? もともと週2更新で1本は企画、1本は雑談って分けてたんですよ。企画は内容次第で合いそうな人に出てもらって、雑談回は原宿さん、恐山、ARuFa と俺の初期のオモコロ編集部4人を固定で据えてたんだよね。

加藤 この3人(原宿、永田、恐山)は完全固定のイメージだった。最初の生放送も3人だったから。

永田 ARuFaも生放送以外は全部出てたはず。そこから企画でいろんな人を呼ぶうちに加藤さんが途中から入ってきて、なんか気づいたらこの5人がメインというか「これでいっか」みたいな感じになったんだっけ。

加藤 いつからって言われると、たしかに難しいね。

恐山 このころの記憶、もうあやふやですよね。ただ、その時期でいうと『ティッシュポップコーン世界大会』がめちゃくちゃスベったことは覚えてます。今も18万再生しかいってない。

ARuFa 今でも!?

加藤 蓄積がないなあ。

原宿 あんなウケないと思わなかった。

ARuFa そもそも動画向けの企画じゃないもんね、あれ。

永田 あれはイベントの告知も兼ねてたから……。

恐山 まぁ試行錯誤ですよね。エジソンもそう言ってる。

永田 週2のうち1本は雑談だからなんでもよかったんだけど、次第に雑談のほうが「なにもネタねぇな」ってつらくなってきて。「企画やったほうが楽だよね」ってことで2本とも企画になっていったね。

ARuFa 僕はそこで「やっぱりな」って思いました。最初に永田さんは「2本のうち1本は雑談だから楽だよ」って言ってたけど「んなわけねぇだろ! どうせこだわりたくなってどっちも企画になるに決まってんだろ!」と思ったら、案の定でした。

永田 そこは交渉テクニックよね。どうせやりはじめちゃえば、やめられなくなるんだから。

ARuFa 薬物の売人と同じ考え方。

「Quick Japan SPECIAL オモコロチャンネル完全読本」誌面掲載写真 /撮影=髙木美佑

恐山 でも、やっていくうちに自分たちの形式ができていきましたよね。「食べ食べ委員会」って言い方とかも最初はなかったけど、なんとなくできていったし。でも「食べ食べ委員会」ってなに?

加藤 あれは『袋麺粉チャーハン』からか。そう考えると初期からあるんだね。

原宿 やっぱり走りながら考えてる感じはあるよな。自転車操業よ。

恐山 「週に何本」って制約があると、追い詰められてクソみたいなこともやらざるを得なくなる。『アニプレックスの言い方選手権』とか。

永田 でもたぶんこれ、10本目ぐらいだよ。

原宿 想定より追い詰められるのが早かった。「それぐらいでもいいか」みたいな感じになっていったんだろうね。

ARuFa ほら~!

恐山 ちなみに今900本以上動画があって、今年の5月ごろに1000本行くらしいです。

永田 えー!

ARuFa そうなんだ!

原宿 1000本目は「千本桜」歌おうと思ってます。

加藤 急に?

恐山 大胆不敵。

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斎藤 岬

(さいとう・みさき)編集者・ライター。1986年神奈川県生まれ。編集担当書籍に「別冊サイゾー『想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本』」(サイゾー)など。「芸人芸人芸人」「月刊芸..

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