東出くん不倫騒動のオネエ目線「婚姻じゃ重すぎる」フランスに学ぶ例(ブルボンヌ)

2020.2.7

「恋は3年で燃え尽きる」事実、フランスのPACS

それに加えて、人類学者ヘレン・フィッシャー博士のベストセラー『愛はなぜ終わるのか』でも話題になった、恋のドキドキは脳科学的に3年で燃え尽きるのが「科学的事実」だってこと。その後は「ドキドキはしないけど安心できる」感情に移行して、共同体としての情愛に切り替えていくのが家族ってことじゃない。相思相愛のお姫様と王子様に憧れて、生涯ドキドキの恋をし合えるって、科学的には本当におとぎ話なんじゃよ…。と毒リンゴを渡す魔女のようなアタシ。

アタシ個人の話で恐縮ですけど、実は今月、同性ペアで暮らして30周年を迎えるんです。でももしそこに厳しい貞操の義務があったら……最初の3年、いや3カ月で終わってたかもだわ。28年キッスもないけど、仲良く猫と暮らし続けられたのはユルさのおかげなのよ。これ、男性性同士のゲイにはそこそこあるスタイルのようで、海外のシーンだと「オープンリレーションシップ」なんて名づけられてる。もちろんゲイのみんながみんなそんなやり方をしているわけではないし、生理や社会的立場が違う男女ペアじゃ、割り切りは難しいわよね。

ここで1999年にフランスで始まったPACSと呼ばれる民事連帯協約(※)の状況を見るとおもしろいかも。この制度、最初は当時なかった同性婚の代わりという意図も大きかったから、初期の登録は同性パートナーのほうがメインだったの。それが「婚姻じゃ重すぎる」などの理由で、男女もこちらを利用するカップルが激増。結局10年後には、異性カップルが選ぶのが婚姻とPACS、半々くらいの割合になっちゃったのよ。

※性別に関係なく、成年に達したふたりの個人間で、安定した持続的共同生活を営むために交わされる契約のこと。

浮気がテーマだと男が逃げたくなる婚姻の重さばかりに見えるけど、実際は女性からだっていろいろあるでしょ。いまだ選択的夫婦別姓すら許されない上に、武田鉄矢さんが「(旦那の姓に入る)女の覚悟の問題」なんて決めつけちゃうのも婚姻なのよね。そういう婚姻の縛りが肌に合うペアならいいけど、そうじゃない人はますます逃げたくなっちゃう。

海外のセレブが幸せな結婚前に、エグいくらい現実的な離婚時含めた条件も決めるでしょ。あれくらいにぶっちゃけ合って、しっかり相性を見極めるのもあり。せっかく、うちらのゲスい感情で杏ちゃん一家をダシに大騒ぎしたんなら、そもそも恋愛や結婚という、違う人間同士が共に生きるかたちについても考えてみるきっかけにもしましょ。新時代はパートナーシップのかたちもやっぱり、多様性〜!

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ブルボンヌ

女装パフォーマー/ライター。1971年生まれ、岐阜県出身。早稲田大学文学部在学中の1990年、ゲイのためのパソコン通信を立ち上げる。ゲイ雑誌『Badi』の主幹編集と同時に女装パフォーマー集団を主宰し、現在は新宿2丁目のセクシュアリティフリーMIXバー「Campy!bar」グループをプロデュース。20..

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