キラメイレッドのコロナ感染もあった
戦隊シリーズの多様性、そしてキラメイジャーらしさを示した《限界は超えないためにある》というセリフは、コロナ禍の社会とも絶妙に噛み合ったように思う。
医療従事者のひっ迫が問題となるなか、いかに「限界」を未然に防ぐか。リモートワークなどをはじめとした「ニューノーマル」が叫ばれるなか、限界を超えない新しい価値をいかにして生み出すか。
『キラメイジャー』では、肉体的限界を超えないための「制限時間(100秒)つきのパワーアップ」で解決したが、これ以外にも、敵との対決よりもプライベートを優先することがあってもいい、といった新しい戦隊像を次々に描いて見せた。そもそも、リーダーたるキラメイレッドが戦闘的センスよりも、想像力やアイデアを武器にメンバーをまとめていく構成がこれまでにない発想だった。
そんなキラメイレッド/熱田充瑠を演じた小宮璃央が新型コロナウイルスに感染し、撮影が長期中断。撮影が再開したあとも、戦闘シーンではどうしたって「密」な状況が生じてしまうため、いかにソーシャルディスタンスを意識して撮影段取りを組むかといった部分で、スタッフの苦労は例年以上だったはずだ。
そんななかでも再編集版放送など知恵を絞り、例年よりも5話ほど少なくはなってしまったものの、なんとか無事に1年間を乗り切った『キラメイジャー』。
1年スパンのドラマは、もはや大河ドラマと戦隊&ライダーのスーパーヒーロータイム作品しかない。その継続がいかに大変な偉業であるかを再認識することができた作品だったと言えるし、子どもたちのために放送をつづけてくれた点からも「コロナ禍のヒーローだった」といって大げさではないだろう。
こうして無事フィナーレを迎えた『キラメイジャー』だが、最終回後にはコロナの影響で消滅したと思われていた『リュウソウジャー』との「vs映画」が4月末から公開されることも発表された。限界を超えようと奮闘した『リュウソウジャー』と、限界を超えずに世界を守ろうとした『キラメイジャー』がどんな交わり方をしてくれるのか。ワンダー楽しみとしか言いようがない。
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