原因は自分にある。の“虚像と実像”「成長が止まったら終わりだから」
ユニークな言葉選びとドラマチックなピアノロックサウンドが異彩を放つボーイズグループ、“原因は自分にある。”。さまざまなクリエイターとタッグを組み、本人たちがまったく出演しないミュージックビデオや、アニメーションと連動したライブなど独自な活動を広げていく彼らの最新アルバム『虚像と実像』が完成した。
2021年の終わりにゲンジブがさらなる飛躍への決意を語った。
※この記事は『クイック・ジャパン』vol.158に掲載のインタビューを転載したものです。
7人の絆を再認識したオフレコな話し合い
──2021年のテーマに“存在感”を掲げていましたが、達成できそうですか。
大倉 できたんじゃないですか。「豪雨」が『じゃない方の彼女』(テレビ東京)のエンディングテーマになったので、ドラマを観ている方は僕たちの曲を耳にしているでしょうし、エンドロールにも“原因は自分にある。”と流れてくるじゃないですか。わかりやすく存在感をだせたのは、そこかな。
長野 (杢代)和人が個人の活動を頑張ってくれたし(編註:杢代和人はAbemaTV『オオカミ』シリーズ、『恋とオオカミには騙されない』に最年少メンバーとして出演し、話題に)、まだグループにはたどり着いていなくても、原因は自分にある。という名前を聞いたことある人は、けっこう増えた印象ですね。
──以前にも増して、グループの団結力が強くなった感じがありますよね。
杢代 7人でちょっとした話し合いがあったんですけど、それがけっこう熱くて。
大倉 激熱だった。
吉澤 何人も泣いてたよ。
杢代 スタッフさん関係なく、仕事終わりにメンバーで集まって、みんな目が潤むくらい話しました。
大倉 「みんなでガッツリ話そう」という流れでもなかったんですよ。普通に「7人で遊ぼう」みたいな軽いノリで集まって、気づいたら。
吉澤 重い話に(笑)。
杢代 こういうときのきっかけって、けっこう(武藤)潤君なんですよ。みんなが明るい話をしてるのに、潤君だけ振り返り気味に「うしろ見てた時期もあったわ」とか言っちゃって。急にまっさ(桜木)が動かなくなったから、「どうした?」って聞いたら「うえ~ん」みたいな(笑)。
桜木 最初は泣くつもりなかったんですけど、「雅哉」って呼ばれるとウルウルしてきて、結局泣いちゃいました。
杢代 でも偉いのが、泣くだけじゃなくて「自分はこう思ってる」って、しっかり伝えてくれて。それを見て、僕も涙腺がゆるみましたね。
──どのようなことをお話しされたんですか。
杢代 「7人で登っていこうぜ」からはじまり、自分が思っていることや悩みだったり。それこそ、「原因は自分にある。をどうしていきたいか」をひとりずつ言っていって。自分の本当の気持ちがわかったし、メンバーが考えていることも知れたので、とってもいい時間でした。やっぱり意見交換しないと伝わらないので。
吉澤 それに、「俺らって、仲いい!」って再認識できた。
武藤 学生時代を思い出したわ。
杢代 事務所の会議室でもなかったんですよ。誰かひとり帰ってもおかしくないでしょ。
大倉 超プライベートだもんね。
杢代 あの空気は、本当の7人じゃないと出せない。スタッフさんがひとりでもいたら、あの話し合いはできなかったと思いますね。
広がり、深まる“ゲンジブらしさ”。決意表明の最新アルバム
──『スター☆オーディション』(編註:スターダストの新人発掘オーディション)にライブゲストとして出演した際には、「新たな課題が見えた」という話もありましたが、具体的にはどのようなものですか。
大倉 「豪雨」と「灼けゆく青」を初披露したんですけど、みなさんの前でパフォーマンスする難しさを7人全員が実感したんです。リハと本番で感覚がまったく違っていて、まだまだ曲を表現できなかった。ここでどうなるかによって、来年の僕たちがどこまでいけるか変わってくると感じたので、その場で反省会をしてリハのやり方を変えることにしました。持久力も必要だという話になったので、筋トレも始めたんですよ。まだ3日目ですけど。
小泉 僕らにとって3日は長いよ。
杢代 だいたい2日で辞めてるもんね(笑)。
小泉 将来のことを考えて、頑張っていこうと思います。
──『虚像と実像』は、タイトルからみなさんを表しているような作品になりましたね。
長野 二次元の存在でも三次元の存在でもあるということは、僕らの目指す姿でありほかのアーティストにはない個性。「こういうことを目指してます」と決意表明するアルバムになったんじゃないかな。
杢代 「原因は自分にある。」や「嗜好に関する世論調査」は、物事を遠回しに伝えるイメージがあったんですけど、『虚像と実像』に収録されている曲はどちらかというとストレート。しかも、ひとつの本を読むように言葉数の多い曲ばかりなので、僕たちの核がより明確になると思います。
──原因は自分にある。への解釈を、より深く広くしている印象がありますよね。
杢代 ジャンルは広くなりましたよね。ピアノロックを基調とした、いわゆる“ゲンジブっぽい曲”ではない曲が『虚像と実像』には、たくさん収録されています。一方で、“ゲンジブらしさ”自体は、すごく深くなっていて。「藍色閃光」のような自分たちらしい曲が、より濃く歌えるようになった実感はありますね。
小泉 「灼けゆく青」は、まさしく僕たちを広く深く表しているナンバー。ポエトリーリーディングって新しい挑戦だけど、いずれ僕たちがやりそうなことだと思っていたんですよ。
吉澤 最近だと新しい曲が手元にきたとき、馴染むのも早くなってきて。いろいろな楽曲をやってきてるからこそ、広い範囲のものを受け入れられるようになったし、飲みこむのも早くなった。結果的に、楽曲への理解も深まっている気がします。
桜木 この業界にいる限り、常に成長しないといけない。僕が言えることじゃないですけど、アーティストって成長が止まったら終わりなのかなって。変化を求めていかないと、自分たちが行きたいところにも行けなくなってしまうので。外見だけじゃなく、中身も成長していきたいですよね。
ゲンジブが目指す“虚像と実像”
──新しいアルバムも出ましたし、今の段階で挑戦してみたいことってありますか。
武藤 モーションキャプチャーやってみたいな。バーチャルって、まさに虚像と実像の狭間にあるものだと思っているので。俺らみたいなアバターを作って、一緒に踊るみたいな。
小泉 僕も潤君と似てるんですけど、バーチャル映像から生身の僕らに切り替わるライブ演出してみたい。
杢代 2時間ライブの前半1時間はバーチャルに踊らせて……。
小泉 後半になったら、ドーンって(笑)。
杢代 最高だぞ、それ。
長野 僕は生バンドでライブをやりたいな。
大倉 言ってたね。
長野 バンドサウンドがかっこいい楽曲が多いから、生でやったら見ている人を何倍も感動させられると思うので。
杢代 「以呂波 feat. fox capture plan」もあるし、「黄昏よりも早く疾走れ」も生バンド映えしそう!
──では、ぜひモーションキャプチャー×生バンドで。
長野 お金しかかからないわ(笑)。
杢代 (吉澤)要人はなにがやりたいの?
吉澤 ステージを上から映したときに、曲名やグループ名が舞台に映し出されてるやつ。最近、いろんなアーティストさんの演奏を見てて、かっこいいなって思ったんですよ。
大倉 スタッフさんが「いいね」って言ってるから、できそうだよ。
吉澤 頑張ります(笑)。
杢代 僕は衣装やステージのセットを考えたり、セトリ決めや演出をやりたいですね。曲の重みだったり、どういう雰囲気で踊っているのかだったりは、僕たち自身しかわからないものなので。原因は自分にある。のメンバーが直接関わる意味があるはずだから、ゆくゆくは携われたらいいな。
原因は自分にある。
2019年7月デビュー。YOASOBIのコンポーザーAyaseが提供した「スノウダンス」や100回嘔吐提供による「ネバーエンドロール」など、ネット音楽とも縁深いクリエイターたちの楽曲が多いのも特徴。
『虚像と実像』
・[通常盤](CD)/定価:3,300円(税込)
・[初回限定盤](CD+DVD)/定価:4,950円(税込)
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『クイック・ジャパン』vol.158
発売日:12月24日(金)より順次
定価:1,430円(税込)
サイズ:A5/200ページ
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定価:2,420円(税込)
サイズ:A5/200ページ関連リンク