ジャルジャル×The Songbards “作る”の原点にある「青春の共有」とビートルズ
『キングオブコント2020』王者ジャルジャルの福徳秀介が、今とにかく夢中になっているバンドをご存知だろうか。
それは2017年に神戸で結成された4人組、The Songbards(ザ・ソングバーズ)。作詞作曲とツインボーカルを務める上野皓平と松原有志を中心に結成された彼らも、実はかねてからジャルジャルのファンだったという。
お互いに好意とリスペクトを寄せ合うジャルジャルとThe Songbardsが、このたびついに初対面。どちらもビートルズの熱心なファンという共通項から、話題はそれぞれの制作に対するこだわりや、理想的なコンビの在り方へと発展。初顔合わせにしてすっかり意気投合した4人の貴重な座談会をお楽しみください。
目次
ビートルズに縁の深いソングバーズとジャルジャル
――福徳さんはどんなきっかけでソングバーズを知ったんですか?
福徳 僕、スピッツが大好きで。草野マサムネさんのラジオを聴いてたら、草野さんがオススメの曲としてソングバーズの「春の香りに包まれて」をかけたんです。それで「これ、めっちゃええやん!」と。ちょっと忍び足で始まる前奏から<浮ついた春の約束は>という歌が入ってきた瞬間に、もうガツーンときましたね。
しかも草野さんが「アルバムもよくて、影響されるからあまり聴かないようにしようと思ってます」とまで仰ってたので、すかさずアルバムも聴いてみたら、これがまたドンピシャで。
――その後、彼らのオンラインライブもご覧になったんですよね?
福徳 そうなんです。こんなこと言ったら怒られるかもしれないですけど、なんか自分らにちょっと似てるなと思いました(笑)。大学のころの僕らを見てるような感じというか。
――後藤さんはソングバーズをお聴きになってみて、いかがでしたか?
後藤 この対談が決まってから聴かせてもらって、すぐに「これは好きな音!」と思いました。で、ちょっと調べてみると、みなさんはビートルズが好きなんですよね? 僕もビートルズ大好きなので、進んだ方向が違うだけでルーツは一緒やんと。
――ジャルジャルの福徳さんがソングバーズのファンだという話を聞いて、率直におふたりはどう思いましたか?
上野 僕らは大学のころからジャルジャルさんがホント大好きで。ふたりでイヤホン半分こしながら、よく授業中にコントをこっそり観てました(笑)。バンド内でもジャルジャルさんの話題は多くて、それこそ制作期間の多少ピリついた雰囲気を緩和させてくれる話題のひとつとして、「ジャルジャルの新しいコント観た?」みたいな話をみんなと普通にしてたんです。
松原 だから福徳さんが僕らのことをツイートしてくれたのを見つけたときは本当にびっくりしちゃって。ポール・マッカートニーが聴いてくれたくらいうれしかった。
後藤 さすがにそれは言い過ぎでしょ(笑)。ビートルズって、それまでの常識を変えちゃうくらいに新しいものを作った人たち、それこそ世界をひっくり返した存在じゃないですか。僕らもそういう存在になりたいと思ってて、中学のときは卓球界のビートルズになりたかったし、ラグビー部のときはラグビー界のビートルズになりたかったし、今はお笑い界のビートルズになりたいと思ってるので、たぶんビートルズに対する思いはおふたりと共通してるんじゃないかと(笑)。
とはいえ、僕らはお笑いだから平気で「ビートルズになりたい」とか言えますけど、実際に音楽やりながらそれを言うのは、また違いますよね。ちょっと覚悟が違うというか。
上野 どちらかというと、僕らはビートルズみたいな音が出したいというよりは、彼ら4人の自然体な姿とか、飾らない感じにすごい憧れてて。そういう意味ではジャルジャルさんもビートルズと似てるところがあるなと思ってます。
後藤 それはうれしいですね。ちなみに僕の父親はポール・マッカートニーと同じ誕生日です。
福徳 ちなみにビートルズがデビューした日は僕の誕生日です。
「ネタを作るときはいつもテキトーなんです」
――(笑)。ソングバーズのおふたりは、ジャルジャルのコントでお好きなネタはありますか?
上野 僕は「南くん」がめちゃくちゃ好きですね。あのほがらかな感じと、それに話しかけてる姿にすごく好感が持てるというか、平和な世界だなって(笑)。
松原 ほかの芸人さんだと、好きなネタでも友達には紹介しづらかったりとか、「観る人によってはイヤな気持ちになるかも」みたいに思うこともあるんですけど、ジャルジャルさんのコントにはそれがないんですよね。
親に勧めても「おもしろいね」と言ってもらえるし、シュールなだけじゃなくて、最終的には多様性を感じるというか。「いろんな人がいるってことを認め合おう」みたいな感じがします。
後藤 多様性かぁ。めちゃめちゃ偶然なんですけど、この間の単独ライブのテーマが、まさにその「多様性を認めよう」だったんですよ。
福徳 僕ら自身はそんなに意識してないんですけどね。構成作家から「今回のテーマは『多様性』でどうや」と言われて。
――ジャルジャルがネタを作っているときって、どんな雰囲気なんですか? 時にはピリッとした緊張が走ることもあるんでしょうか?
福徳 いや、全然ないですね(笑)。
後藤 ゆるゆるです。
福徳 ネタを作るときはいつもテキトーというか、たまたま発した言葉に乗っかって正解なく突き進む感じですね。それでよくお笑いのルール間違えてるとか言われるんですけど、まあそういうのも気にせず。
4人の意思がぶつかることもあるけれど
福徳 ソングバーズのみなさんはどうやって曲を作ってるんですか? 作詞作曲がふたりの連名になってるから、ジョンとポールみたいやなと。
松原 まさにそのジョンとポールに憧れて連名にしてます。作り方はどちらかが0から1にしたものを一緒に作り上げていくこともあれば、片方がイントロまで作って、そこから先はもう片方が作ることもあります。本当にいろいろなんです。
後藤 ファンの人が聴くと「これはこっちがメインで作った曲やな」みたいなこともわかるんですか? ビートルズだと、作った人がメインで歌うことが多いですよね。
福徳 僕はソングバーズもそんな感じなのかなと思ってました。
上野 そのパターンは多いですね。でも、有志が作った曲でも僕のほうが合いそうだったら、僕が歌うこともあります。
福徳 たとえばどっちかが書いた歌詞に対して、もう片方が「これはこうしたほうがええんちゃうか?」みたいなときはどうするんですか?
松原 皓平から「歌詞を変えたほうがいいよ」と言われたことはあまりないんですけど、言われてもだいたいは受け入れられるかな。
上野 有志が迷ってる部分を一緒に考えたりとかはありますね。
松原 お互いに「それは違う」みたいなことにはたぶんならないです。というか、僕らもジャルジャルさんみたいに制作時はなるべくピリつかないようにしたいんですけど、やっぱり4人でバンドやってると、それぞれの意思がぶつかり合うことはあって。
福徳 そう言われてみると、僕らも20代のころはそうやったのかも。ピリピリしてたことも昔はちょっとあったな。
「バンド4人で一緒に暮らした1年間があったから」The Songbardsの原点