「パフォーマンスだけではなく、普段の行動や発信も大事」INI・許豊凡が自身の言葉で発信を続ける理由【連載開始記念インタビュー】

2025.12.19

文=安里和哲 撮影=笑子 編集=山本大樹


アーティストとして言葉を発することには常に葛藤がつきまとう。「メッセージを伝えるには、楽曲やパフォーマンスだけではなくて普段の行動や発信も大事」。グローバルボーイズグループ・INIの許豊凡は、アーティストとして、グループ唯一の外国籍のメンバーとして、情報番組のコメンテーターとして、日々迷いながら言葉を紡いでいる。明快で強い言葉はない。それでも、とめどない思考の重なりの中に、彼の誠実なメッセージがある。

『Quick Japan』 vol.181から自身初となるエッセイ連載「0000/00/00」をスタートした許豊凡。連載スタートにあたって「言葉で発信すること」について語ったインタビューを一部掲載する。

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いい意味で、僕らは自分たちのやりたいようにやれている

許豊凡(しゅう・ふぇんふぁん)1998年6月12日生まれ、中国出身。慶應義塾大学在学中に『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』に出演し、グローバルボーイズグループ・INIのメンバーとしてデビュー。2025年4月からはレギュラー(不定期)として情報番組『Day Day.』(日本テレビ)に出演

──ファンクラブ会員限定のブログが評判で、編集部でもそれを読んで連載をオファーさせていただきました。

許豊凡(以下、許) ありがたいことにいろいろな人からお声をいただきます。僕は話すよりも、文章のほうが本当に思っていることを落ち着いて発信できるんです。ファンのみなさんと交流したときに「あのブログにすごく救われました」とか「あの文章に力もらってます」と言われるのもうれしいですね。ネットを通じて発信したことが、僕に直接返ってくる。みなさんが感じている幸せの何倍も、僕はもらっている気がします。

──ブログで特に反響のあった記事はなんですか?

 去年、日本で外国人として生きる自分のことを書いたのですが、たくさんの人が読んでくれました。「これが読みたくてファンクラブに入ったよ」と言ってくれる方もいました。INIは毎年4月22日の「アースデイ」に『JFN EARTHDAY SPECIAL TO THE FUTURE From INI』というラジオ番組をやらせていただいています。環境問題や人権問題といったSDGsの啓発の一環なのですが、それに関連して僕がブログに書いたのは、グループとして活動するなかで自分だけ違う接し方をされることがある、ということでした。

──そういった微妙なニュアンスのことも書けるファンクラブのブログはいい空間ですね。

 ファンクラブの親密な空間だからこそできることなので、ありがたいですね。話すのとは違って文章のいいところは「この表現だと捉え方によっては傷つく人がいるかも」と立ち止まって考える時間があることです。だけど、そこで過度に気にしすぎると書きづらくなることもあります。その点、ファンクラブのみなさんは僕の活動を見てくださってるから、僕の言いたいことをズレなく理解してくれる安心感があります。

──INIとしてパフォーマンスしながら、個人として発信すると、グループの見られ方が変化する可能性もあります。その点はどう意識されていますか?

 うーん、そこは難しいですね……なんて言えばいいんだろう。この前もグループ内でそんな話をしたんです。そこで思ったのは、発信はしていきたいけど、あくまでアーティストとして作品を観てもらうことが前提だなということです。

自分たちのグループは、作品と一緒にスローガンを出すことがあります。たとえば「僕らを囲う“THE FRAME”を壊す」とか「CHANGE THE VIEW -見方を変えれば広がる世界-」とか。そういう大切なメッセージを本当の意味で伝えるには、楽曲やパフォーマンスだけではなくて、普段の行動や発信も大事だと僕は思います。

でも、純粋にエンタテインメントだけを楽しむ方もいるから、そこはそれぞれの受け取り方でいい。他のメンバーもさまざまなかたちで表現していますしね。いい意味で、僕らは自分たちのやりたいようにやれているんだと思います。

インタビューの全文は『Quick Japan』vol.181に掲載!

INI WINTER SINGLE『THE WINTER MAGIC』

(C)LAPONE ENTERTAINMENT

2025年11月19日(水)発売

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..