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セントチヒロ・チッチ「好きだけど、やるのはつまらなかった」理想の仕事にたどり着くまでの経験

2024.4.2
セントチヒロ・チッチ

文=安里和哲 撮影=菅原麻里 編集=梅山織愛


お笑い芸人、アーティスト、俳優など、話題のタレントに「仕事遍歴」を聞くインタビュー連載「求人ボックスpresents Echoes of Career~人気者の仕事遍歴~」。

当時なぜその仕事を選び、それがその後の活躍にどうつながっているのか?をテーマに、現在の職業に至るまでの経歴を聞きながら、そこで得たこと、逆境の乗り越え方を紐解く。

今回はセントチヒロ・チッチ/加藤千尋が登場。2023年に絶頂期で解散したBiSHの精神的支柱だった彼女は今、音楽活動と女優業で活躍中だ。インタビュー前編では、高校時代に猛烈に打ち込んでいたアルバイトや、BiSH以前のアイドル活動の思い出を通して、彼女の仕事観を聞いた。

接客業で身につけたもの

著書『いままでも これからも』(KADOKAWA)で、アルバイト経験が豊富だと読みました。最初のアルバイトはファストフード店だったそうですね。

高校1年生のときに、学校の近くのマクドナルドで働き始めました。高校生になったら、自分にかかるお金は自分で稼ぐんだって、ずっと目論んでいたんです。

なぜマクドナルドだったんですか。

働いてる人たちが楽しそうに見えたんですよね。学生でも働きやすい環境にも思えたし。

なかなか忙しい仕事場だと思うのですが、実際に働いてみていかがでしたか。

最初の仕事だったから、ほかと比較して忙しいとかもわからなくて、一生懸命やるのみでした。でも、働く上で大事なことをたくさん学べる場所だったなと思います。入るとすぐに教科書のようなもので学んで、ランクがどんどん上がって、シールを集めて、時給も上がっていく。成長しながらスキルも身につけていく感じが、RPGゲームみたいですごく楽しかったですね。

学校とは違う環境で過ごせるのも大きいですよね。

そうですね。子供のころは同じことを繰り返さなきゃいけない日々がすごく苦手だったんですけど、バイトを始めたことで分厚い壁を破って広い世界に飛び出したような感覚でした。関わる人の年齢層も幅広くて、楽しいこともあったし、同時に怒られたり、自分もムカついたり、いろんな感情が芽生えて刺激的でした。

当時学んだことで、今の糧になっていることはありますか。

ホスピタリティかもしれないです。学校では全然知らない相手のことを考えることって、ほとんどないじゃないですか。接客業を通して身につけた相手への想像力は、この仕事にも生きているかもしれないなぁ。

裏方にスポットライトを当てる「とんねるず」に憧れた

セントチヒロ・チッチ

高校時代はバイトをかけ持ちされていたそうですね。

そうです。朝、マックで働いてから学校に行って、学校が終わったらまたマック。そのあとは居酒屋のバイトでした。夏場は東京サマーランドでもバイト。とにかくお金が稼ぎたかったんです。月末にお給料という名の“獲得賞金”を見ては、達成感を得ていました。アイドルが好きで握手会にもずっと行きたくて、そういう趣味にもやっとお金がかけられるようになって楽しかったな。

今でも当時のように、お給料を見て「今月はがんばったな〜!」と思うことはありますか。

そういう感覚はなくなっちゃったかも。バイトをしているころはやっぱりすべてにすごく必死だったし、学生だからこそ1円を稼ぐのも大変だったので。それに当時は時給だったので仕事の対価がわかりやすくて、自分で決めたノルマを達成するために毎日がむしゃらでした。今は自分が作ったものや表現したことでお金をいただく仕事なので、当時とは感覚が全然違いますね。

高校卒業後は、テレビの制作現場に携わりたくて専門学校で学んだそうですね。

お母さんと一緒にバラエティ番組ばっかり観てた影響で、テレビ番組が作りたいって思うようになったんです。一番の夢は、とんねるずさんと一緒にお仕事することでした。とんねるずさんって、スタッフさんをイジるじゃないですか。「野猿」もそうやって始まったグループでしたし。普段は裏方としてがんばってる人たちにスポットライトを当てて楽しく絡んでる感じが、すごくキラキラして見えて、かっこよかったんです。

専門学校に通いながらバイトも継続していましたか。

奨学金を払わなきゃいけないので働いてました。地元の八王子から、都内の専門学校に出たので都心の居酒屋でも働いてたな。同じ東京でも全然時給が違ったんです。でも、八王子の居酒屋は居心地がよかったので、そこも継続してました。ほかにも自分の趣味を仕事にしてみたいなと思い、花屋でバイトしたこともあります。働くのはずっと好きでしたね。

正統派アイドルをやるのはつまらなかった

セントチヒロ・チッチ

スカウトされてアイドルになったそうですが、表舞台への憧れもずっとあったんですか。

ありました。専門学校では実技の授業が多くて番組の制作もするんです。そういうときは学生が演者役をやることもあって、私もカメラの前で歌って踊る機会がありました。それがすごく楽しかったんですよね。当時から目立つことは好きだったのかも。でも、私が演者になんてなれないでしょ、と当たり前に思い込んでました。

スカウトというかたちで、自分の可能性を見出してもらえたとき「私にもできるかも」と思えた?

すごく悩んだんですが、最後は先生が背中を押してくれました。「裏方はいつになっても人手が足りないから、いくつになってもできる。今は表に立ってみたらいいんじゃない?」って。あの言葉があったからこそ、思いきってこの世界に飛び込めました。

最初のグループは、デビューから半年ほどで脱退しました。思い描いていた活動とギャップがあったのでしょうか?

私は正統派アイドルが好きだったけど、自分でやってみるとつまらなかったんです。性格に合ってなかった。見てるのは好きだけど、やるのはつまんないって素直に思いました。そういう感覚を打破したくて、自分の人生観を180度変えてくれる場所に行きたいなと思ってたころに、BiSHの応募があったんです。

セントチヒロ・チッチ

たしかにBiSHは正統派アイドルと真逆でした。自分の人生観を変えるという意味ではいい環境でしたか。

うーん、環境がいいと思ったことはあんまりないです。みんなが一生懸命やった結果、自分たちにとってかっこいいと思えるものになったというか。最初からよかったわけじゃないですね。どういうグループになるかも全然わかんなかったし、いろんなことがあった結果として最終形態のBiSHになったので。最初から認めてもらえるグループではなかったし、9年間みんながいろんな努力をしたからBiSHになれたなって思います。

仕事で悩んだ経験もあるチッチさんから、今、仕事で悩んでいる人に向けてエールをいただけますか。

無責任な言い方に聞こえると思うんですが、辞めたかったら辞めればいいと思うんです。やっぱりいったん離れることで少しうしろに下がって自分を見つめることができる。そうやってフラットな状態に戻れたときに「楽しそう」って思える仕事をやってみてほしいかな。新しい世界に飛び込んでもまた間違えることはあるかもしれないけど、そのときはもう一度下がればいい。そうやって新しい自分に繰り返し出会っていきながら、私も生きてきたので。挑戦することだけはやめなければ、ずっと幸せは無理だとしても、いつか自分の納得する自分に出会えるはずだから。

自分の状況を冷静に俯瞰して見るためにも、一度立ち止まることは必要ですね。

まわりの人を見ていても、そんなに自分を追い詰めなくていいのに、って思っちゃうときがけっこうあるんです。もちろんすぐには辞められない事情がある人もいるから、無責任なアドバイスだとは思うんですけど。それでも私は「間違えてもやり直せるよ」って声をかけてあげたいです。

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セントチヒロ・チッチ

セントチヒロ・チッチ/加藤千尋
(かとう・ちひろ)2015年、BiSHのオリジナルメンバーとして活動開始。2023年6月29日にグループ解散後は、ソロプロジェクト「CENT」としてセルフプロデュースで1stアルバム『PER→CENT→AGE』をリリース。役者としても活動し、舞台『雷に7回撃たれても』でヒロイン役を務めた。4月2日スタートの連続ドラマ『肝臓を奪われた妻』(日本テレビ)にも出演

<「求人ボックスpresents Echoes of Career~人気者の仕事遍歴~」
お笑い芸人、アーティスト、俳優など、話題のタレントに「仕事遍歴」を聞くインタビュー連載。
当時なぜその仕事を選び、それがその後の活躍にどうつながっているのか?をテーマに、現在の職業に至るまでの経歴を聞きながら、そこで得たこと、逆境の乗り越え方を紐解く。

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安里和哲

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..

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