ジム通いもマシンも不要!コスパ最強の自重筋トレで理想の体を手に入れる『マッスルエリート養成バイブル』
ジム通いがつづかない。部屋にマシンを置くスペースもない。ましてや、パーソナルトレーナーを雇う余裕なんてない……だけど、筋肉質で美しい体を手に入れたい! そんな方に読んでほしいのが、7月6日に日本版が刊行された『マッスルエリート養成バイブル』(かんき出版)だ。
全米ロングセラーの本書は、米軍の特殊作戦トレーニングスペシャリストとして、空軍特殊作戦部隊やグリーンベレー、ネイビーシールズで1000人近くのエリート兵士を育てたマーク・ローレンが、自分史上最強の身体能力を手に入れる方法を伝授する。
マークの提唱するトレーニング法の最大の特徴は、自分の体重を負荷として活用すること。ジムやトレーニングマシンに頼らないコスパ最強の自重筋トレを、『キン肉マン』でおなじみのゆでたまご先生のイラストが表紙の本書から学んでほしい。
9.11を契機に生まれた究極のエクササイズ
まずはこの本の著者、マーク・マーロンについて紹介したい。
1972年、アメリカに生まれた彼は、13歳でワークアウトを開始。意外や意外、少年時代にはやせっぽちの恥ずかしがり屋だったマークは、「自分を変えたい」と一念発起し、体を鍛えることを決心。しかし、近所にはジムがない。
そこで、自宅の寝室をトレーニングルームとして筋トレを始めたのだ。この経験は、のちにジムやマシンを使わず、自分の重みだけを使うトレーニング法を編み出す上での原体験になったといえるだろう。
数年の地道な努力の結果、マークは高校生のボディビル大会で優勝を果たす。そのころには何をやるにしても、自信が持てるようになったという。
その後、米軍に入隊し、挑戦者の85%もが脱落する軍の最も厳しい選抜コースをクリア。第22特殊戦術飛行隊に配属され、戦闘下での捜索・救助・偵察・監視などの過酷な任務を経て、軍事訓練スペシャリストに抜擢される。その任務は、最前線への即時配置の要求に応えられるよう、新米訓練生を鍛えること。
しかし、マークに華々しい役割が与えられたわずか5日後に、全米、いや全世界を揺るがす事件が起こる。9.11アメリカ同時多発テロだ。
その日を境に、スペックオプス(特殊作戦部隊)兵士に対する需要が一気に高まったが、先に述べたとおり、選抜コースをクリアできるのは全体のわずか15%に限られていたため、兵士の数が圧倒的に不足していた。
そこでマークは、これまでの古い軍事訓練を見直すことに。これまでの古い訓練方法の、効果的な部分とそうでない部分を精査した。そして、最新のストレングス&コンディショニング理論とスポーツ科学を応用すれば、わずかな時間でよりよい結果を出すことができると考え、コースの基本プログラムを刷新。訓練生それぞれのニーズに合わせてプログラムと食事を調節し、フィットネスの進捗状況を検証していった。
マークのもとには、まだ頼りない新米訓練生が次々と送られてきたが、新しく編み出した訓練方法がうまく機能し、85%だった脱落率は45%にまで改善。彼の多くの教え子が特殊部隊卒業生賞を受賞するほど、マークの考案した方法は功を奏した。
彼が編み出したスペックオプスの訓練は、無駄な脂肪を短時間で削ぎ落とし、筋肉質で健康でもある体を最速で開発する。この点で、ほかのどんな方法よりも優れたトレーニング法といえるだろう。
この『マッスルエリート養成バイブル』は、切迫した状況で活躍する兵士たちのためのトレーニングを、一般人の我々でも無理なく継続できるかたちにして紹介した本なのだ。
全米ロングセラーとなった筋トレ本の日本版は、『キン肉マン』でおなじみゆでたまご先生のイラストが表紙。本書を参考にトレーニングをつづければ、キン肉マンのようなマッスルボディが手に入ることだろう。
1週間のうちたった1.2%のワークアウトがあなたを変える
マークが提唱するトレーニング法の一番の特徴は、自分の体重を付加にして体を鍛えること。これをボディウェイトエクササイズ(自重筋トレーニング)と呼ぶ。
一般に我々が体を鍛えようとして頭に浮かぶのがジム通いだが、マークは「ウェイトやマシンを使って行う不自然な動作は、日常生活に役立つ体をつくると言う意味では価値が低い」と一刀両断。
ウェイトやマシンを使ったエクササイズでは関節を悪くするなど、慢性化しやすい傷害がつきものだが、さすがは兵士を鍛えた訓練だけあって、ボディウェイトトレーニングは体を傷つけない。むしろ、人間にとって究極の財産である自分の体を自由に使いこなせるようになる利点つきだ。
マークの提唱するプログラムは、身体能力の全域──筋力、筋持久力、心肺持久力、パワー、スピード、協調性、バランス、柔軟性──を開発する。
この8つの身体能力の開発に焦点を当てると、外見をよくするという意味でも最高の成果につながる。マーク曰く、「形は機能に従う。身体能力と魅力的な体と健康は結びついている」。
体を傷つけず、むしろ上手に使いこなせるようになり、外見も美しくなる。そんな虫のいい話があるのだろうか。いくら効果があるとはいえ、軍隊仕込みのエクササイズだけあって、長時間ストイックに取り組まないとダメなのでは……。
ついそう訝しんでしまうが、マークはそんな先入観や神話をことごとく否定する。
たとえば、「ワークアウトはやればやるほどいい」という神話。これを信じ、必要以上に自分を追い込んでトレーニングに励む人が多いだろう。
しかしマークは、「筋肉は、その人が休んでいる間に成長する」と指摘し、「疲労感が抜けなくなる」「モチベーションが低下する」など、過剰なトレーニングが招く弊害を挙げている。
むしろ、彼の提唱するエクササイズに要するのは、1日およそ20〜30分のワークアウトを週に4〜5回と、その週におけるたった1.2%未満に相当する時間である。しかし、これで無理なく理想の体が手に入るという。
本書では、マークが開発した125のエクササイズの基本的な説明、そのエクササイズを少し簡単に、あるいは少し難しくする「バリエーション」と、そのエクササイズのハードバージョンである「ワンランク上を目指す」動作を紹介している。
この「百科事典」のような本書の中から、エクササイズを選び、自分なりのプログラムを作ったり、今使っているプログラムに組み込んだりすることが推奨されている。
巻末には、初心者向けのベーシックプログラムから、エリート向けのチーフクラスプログラムまで、個々人のステップに合わせた組み合わせも提案しているので、数多あるエクササイズの迷子になることもないだろう。
これまで数々のトレーニングに挫折してきた人も、「自重」を使った究極にシンプルなこのエクササイズにぜひ挑戦してみてほしい。
『マッスルエリート養成バイブル』
著者:マーク・ローレン、ジョシュア・クラーク
訳者:山田雅久
発売日:2022年7月6日
定価:1,650円(税込)
判型:A5判
ページ数:256ページ