「宇宙エレベーター」「空飛ぶクルマ」は実現間近!?“時代はもうSFを超えている”ことがわかる『こんなにスゴイ! 未来のせかい』
空飛ぶクルマに宇宙エレベーター、海上や空中に浮かぶ未来都市など、かつて映画や小説で描かれていたSFの世界は、実はすぐそこまで迫っています。
『こんなにスゴイ! 未来のせかい』(増田まもる 監修/東京書籍)で紹介されているのは、日本の大手ゼネコンや大手メーカー、ベンチャー企業などが実際に研究を進めていて、おおよそ50年以内に実現可能な未来のプロジェクト。
すべての漢字に振り仮名が添えられていて、迫力満点なビジュアルもたくさん掲載されている本書は、小さなお子さんとの読書にぴったり。大人のコドモゴコロも刺激されること間違いなしの、ワクワクが詰まった一冊をご堪能あれ。
目次
進行中の壮大な未来プロジェクトを紹介!
人工知能を持ったロボット、現実のようにリアルなバーチャル空間、圧倒的なスピードの通信技術……私たちが子供のころ「未来の世界」のものだった技術は、今やすっかり日常生活に溶け込んでいる。VRを使ったゲームにハマっている人もいるし、ペッパーくんは普通にお店で見かけるようになった。テクノロジーはめまぐるしく進化を遂げている。
それなら、今の子供が大人になるころの世界はどうなっているのだろう? そんな疑問に答えてくれるのが『こんなにスゴイ! 未来のせかい』だ。ここでは、日本のゼネコンや大手メーカー、ベンチャー企業などが実際に研究を進めていて、おおよそ50年以内に実現しそうな未来のプロジェクトを多数紹介。小学生でも読めるように極力わかりやすく解説されており、年齢を問わず楽しめる。
宇宙旅行も深海や空での生活も現実に!「壮大な未来構想10」
本書は「壮大な未来構想10」「未来の乗り物」「未来の暮らし」の3章構成。第1章の「壮大な未来構想10」では、宇宙や深海を人類の新たな居住空間とするような、スケールの大きな計画を10個紹介している。SFや近未来的な世界観が好きな人は、最初の「宇宙エレベーター」でさっそく心を奪われるだろう。
「宇宙エレベーター」は長さ9万6000キロメートルのケーブルで宇宙と地球をつなぎ、宇宙空間にあるステーションと地球を往来できるようにするというもの。2012年に大手建設会社の大林組が発表した構想で、2050年の実現を目指しているという。
実際に研究が進んでいるだけあって、「エネルギーは太陽光発電」、「宇宙への出発点は赤道付近に設置」、「エレベーターを運ぶケーブルは日本人研究者が発見した強くて軽い新素材のカーボンナノチューブを使う」など、細かな情報が盛りだくさん。2050年に家族で宇宙旅行へ向かう「トラベルプラン」も掲載されていて、読みながら想像力が大いに刺激される。
想像さえできなかった未来の景色を、迫力のイメージで見せてくれるのも本書の特長だ。地球の大部分を占める「海」を活用した深海未来都市「オーシャン・スパイラル」は、海面に浮かぶ透明な球体「ブルー・ガーデン」と、深海へとつづくらせん状のトンネル「インフラ・スパイラル」からなるビジュアルがインパクト大。ほかにも商業施設やオフィスも入るという「ブルー・ガーデン」の内部などたくさんのビジュアルを掲載しているので、ぱらぱらとめくっているだけでもワクワクしてくる。
時代はもうSFを超えている!「未来の乗り物」
つづく第2章の「未来の乗り物」では、自動運転車や空飛ぶクルマ、太平洋をたったの2時間で横断できる極超音速旅客機(きょくちょうおんそくりょかくき)などを紹介している。移動技術の進化は近未来のイメージの代表格ともいえるが、読んでみると実現の時がすぐそこまでやってきていることに気づかされる。
たとえば、「空飛ぶクルマ&バイク」では日本発のスタートアップ企業、スカイドライブ社のエア・モビリティ「SD-XX」を紹介しているが、この実用化は2023年度が目標。つまりたったの2年後だ。実際、この2月にも国交省が日本での空飛ぶ車の試験基準を2021年度中に策定するというニュースがあり、実現は秒読み段階に入っている。
このページではJALや住友商事、アメリカのウーバーなど、名の知られた大企業が着手している同様のプロジェクトも紹介しており、その技術の進歩に改めて驚かされる。本書の帯に大きく書かれたキャッチコピー「時代はもうSFを超えている!」は嘘じゃない!と感じる内容だ。
ロボットやスパコンなど、身近な生活にもすごい技術が満載!「未来の暮らし」
最後の第3章のテーマは「未来の暮らし」。ここでは「AIとロボット」「5GとIoT」「スマート農業」など、すでに私たちの生活にも取り入れられている最新技術を12の項目に分けて紹介している。
環境問題や食料不足など、人類が直面している社会課題を解決するために研究が進むものも多く、未来を想像することは現在を知ることから始まるのだと実感する。大人の読者であれば詳しく知らなかった技術について理解を深めるきっかけとして使えるほか、子供と一緒に読むのであれば社会を学び、将来の夢を考える機会にもなるだろう。
本書にはすでに実用化が進む最新技術から何十年もかけて完成させるようなビッグプロジェクトまで幅広く掲載されており、こんな技術が次々に実現するのだと思うと心が躍る。これからやってくる未来に、大人も子供も一緒になってワクワクできる一冊だ。