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稲田俊輔『だいたい15分! 本格インドカレー』のレシピを作ってみてわかった 鯖缶カレーの驚きの味わい深さ

2020.12.21

レトルトカレーでビリヤニ!?

とにかく、呆れるくらいに何を作っても旨い。

ほかに缶詰カレーなら「ツナ缶と茄子のクルマ風カレー」におけるツナ缶とココナッツミルクの相性のよさたるや! また、普通ならツールダルという豆を煮潰して出汁に使う酸っぱいスープ「ラッサム」を、あさりの缶詰で代用する「あさり缶のラッサム風スープカレー」の「この手があったか!」感よ。後者は「本格的なのに時短」なレシピとしても秀逸だし、豆があまり得意ではない人にこれを食べさせたところ「普通のラッサムより、むしろこっちのほうが好きかも」という反応があったことも報告しておきたい。

『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』書影レビュー
ツナ缶と茄子のクルマ風カレー
『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』書影レビュー
あさり缶のラッサム風スープカレー

肉系なら、「チェティナード風塩チキンカレー」というセミドライタイプのカレーが白眉。味つけがシンプルであるがゆえに、ししとうやパクチーなどの香味野菜、ごく少量入れたフェンネルシードの芳香が映える。南インドカレーにおける「香り」の重要性に気づかされる一品だ。

『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』書影レビュー
チェティナード風塩チキンカレーに、ピーマンとツナ缶のジンジャードライカレーと、さっぱり薬味サラダのカチュンバルを添えて(生のししとうがいい仕事をしている)

肉・魚系のカレーのつけ合せに最適な、野菜の炒めもの風カレーも充実。レシピでは冷凍を使っているが、今時期(冬)安くなるブロッコリーを煮崩した「くたくたブロッコリーマシヤル」はツマミにもバッチリだったので、我が家では多めに作ることで常備菜として活躍してもらっている。

『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』書影レビュー
くたくたブロッコリーマシヤル

また、「裏技」編として、サラダチキンを使ったバターチキンカレー、スパムで作ったポークビンダルーなどのおもしろレシピもあるが、特に「これは!」と驚愕したのが「レトルトカレーで! チキンビリヤニ」だ。エリックサウス監修のレトルトカレーを使って作るビリヤニ(インド式炊き込みご飯)である。炊飯器とレンジを駆使し、味つけはレトルトカレーという斬新過ぎるレシピに一抹の不安を抱えつつ調理したところ、本当にちゃんとビリヤニになっていて驚かされた。簡略化するところは簡略化しつつも、生のパクチーとミントを使うなど、「本格」になるようこだわるところにはこだわる──そこに本書のキモがあるように思う。

『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』書影レビュー
レトルトカレーで! チキンビリヤニ
『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』書影レビュー
エリックサウス監修のレトルトカレーは、スーパーでもよく見かける。米は、バスマティライスを使用

そして、インドカレー沼へと沈め

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