ロングコートダディ、最後と決めて挑んだ『キングオブコント』で手にした栄冠「17年間で人間として成長できた」

ロングコートダディ『キングオブコント』

(C)TBS

文・編集=梅山織愛


10月11日(土)にTBSで生放送された、カーネクスト presents『キングオブコント2025』(『KOC』)決勝戦では、ロングコートダディが優勝。4度目の決勝でついに栄冠を手にした。

これまで『M-1グランプリ』『ダブルインパクト〜漫才&コント 二刀流No.1決定戦〜』など、さまざまな賞レースで決勝に進出し、惜しくも優勝を逃してきたふたり。直後に行われた会見では、改めて優勝の喜び、そしてコンビとしてのこれからを語った。

【採点&結果まとめ】『キングオブコント2025』

ロングコートダディ『キングオブコント』
赤ジャケットを着て会見場に現れたロングコートダディ(左:堂前透、右:兎)

今年のほうが強いに決まってる、という強い自信

まずは優勝の喜びを堂前は「本当にポリスピースって感じですね」と、自身が着ている警察官のコント姿にかけて表現。いっぽう結果発表時、涙ぐんでいたようだった兎は、「(エンディングで)感は極まってましたけど、泣いてはないです。でも、ずっと目指してきたことだったので、本当にうれしいです」と喜びを語った。

去年に引き続きトップバッターを務めたロングコートダディ。1本目から高得点を叩き出し、そのまま1位を守り続けて優勝となった。兎は「2年連続トップバッターっていうのは、去年の自分らと比べられちゃうのかなとも思ったんですけど、比べられたからなんやねん!と。1年間コントをやってきて、成長してないはずないやん!負けるわけないやん!と、思ってました。去年は1年前、今年は1年後だから、今年のほうが強いに決まってる、比べられようがなんやねん!ってなりました」と、強い自信があったことを力強く話した。

また、勝因について堂前は「落ち着いてたかもしれないです。1、2回目の決勝は若干ふわふわしてる感じもあったんですけど、今年はセットや浜田(雅功)さんなど全部見覚えがあったので、落ち着いてできました」と振り返る。さらに、今年は1本目も2本目もセット立てなかったことについて、「直感的に今の審査員の方たちには、人間的な部分を見せたほうがいいのかなと思いました」と分析した。

ロングコートダディ『キングオブコント』
ロングコートダディがファーストラウンドで披露したコント『モグドン』

また、喜びを分かち合いたい人を聞かれると、堂前は会見からライバル視していた「しずるの池田一真」を挙げる。「コントに対して分かち合える部分がけっこうあるんで、今年一緒に出れてめっちゃうれしかったです!」と、ライバルであり、仲間でもあるしずるに感謝した。

人間としても成長できた17年間

結果に限らず今年で『キングオブコント』は卒業しようと話し合いをしていたというふたり。しかし、兎はこれに納得していなかったようで、「優勝しなかったらまた来年も出たいから、ケンカをすることになるなと思ってたので、1個ケンカがなくなったのでよかったです」と笑顔を見せる。これに堂前は「話し合った結果、一応『わかった、今年優勝できんかったら来年も出るわ』っていうふうに言ってんですけど、僕は平気で嘘ついたろと思ったんで、嘘つきにならずによかったです」を返した。

賞金1,000万円の使い道について、堂前は「新しいプロ野球チームを作りたいです」と宣言。兎は「芸人の釣り仲間と何かで優勝したら、海外に釣り旅行に行こうと言っていたので、それを実現したいと思います」と話す。堂前が「500万あったらえぐいところ行けんちゃう?」と聞くと、「いや……」と話しだし、1本目のコント『モグドン』のように否定から入り、会場の笑いを誘った。

ロングコートダディ『キングオブコント』
優勝賞金1,000万円を手にしたふたり

長年、賞レースで戦い続けてきたふたり。勝てなかった日々を堂前は「芸人とか置いといて、人間的に大きく成長できた気がしますね。35歳、37歳とかで、ほんまに悔しいとか思うことってなかなかないと思うんですよ。でも、こういう職業で賞レースという場所を作ってもらって、だいぶこうやって悔しさとかを感じることができて、人間としてすごく成長できました」と振り返る。さらに、「ここからが新たなスタートやなと思って。ここから自分たちが芸人としてどう見せていくかが問題だと思う。そのスタートに立てたことがうれしいですね」とこれからの芸人人生に期待を寄せた。

いっぽう兎は「堂前と組んでから僕の中ではずっと『キングオブコント』が目標だったんですけど、堂前はもっと早く取れたかもとかたまに思っちゃって。取れないのは僕に原因があるのかなとかもあって、そんな自分を否定したかった」と勝てなかった日々での心境を明かす。そんな日々を振り返りながら、「今はちょっと(自分が成長できたのか)わからないかもしれないです。これからわかってくるのかも。これから賞レースに出ない年月を積み重ねて、賞レースに出てた17年間はこうだったんだなっていうのが、わかっていくのかなと思います」と語った。

そして、これからのロングコートダディについて聞かれると、堂前が「今までいなかったような新たな芸人としてのかたちをもっと出せればなと思います。賞レースがある段階は賞レースに向けてがんばっていれば、がんばってるっていうふうになったんですけど、ここからはもうちょっと新しいことをしたいなと思いますね。ひとつは、畑仕事。農業もコントみたいなところがあるので」と、まさかの夢を明かす。しかし、コンビ間ではすでにこの夢を共有していたようで、兎も「みんなが集まれるような畑をふたりでやりたいなと思います」と話した。

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梅山織愛

(うめやま・おりちか)1997年生まれ。珍しい名前ってよく言われます。編集者・ライター。自他共に認めるミーハー。チョコレートとかき氷が好き。