ExWHYZ・mikina、クリープハイプはずっと人生に沿っていた。武道館公演の余韻の中で九段下を歩く

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文・撮影=mikina(ExWHYZ) 編集=梅山織愛


ExWHYZ・mikinaが生活の中で降り立ったなじみの駅で、自分なりの新たな好きや自分自身の知られざる一面を探して散歩する連載「自分開拓さんぽ」

クリープハイプのアリーナツアー『真っ直ぐ行ったら愛に着く』の武道館公演に参加するため、九段下へ。出会って10年以上経っても、あのときと変わらずクリープハイプに心を刺される。

クリープハイプが感情のすべてだったころ

わたしは今、訳あって疑いの目をしながら、九段下の外のベンチでスイカバーを食べている。

ExWHYZ・mikina

たったさっきまで見てたものがよすぎて、夢か現実かをずっと考えていました。

今日は九段下駅。クリープハイプ、武道館公演の帰り道です。

ExWHYZ・mikina
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武道館に向かうときの坂道、ゆっくり踏んで歩いた。この坂、いろんなタイミングで歩いてる。だいたい高揚感つき。

それこそライブに来たり、学生のとき散歩にハマって九段下をゴールにしてぷらぷらしたり。そうだな、自分がライブで立つときにも歩いた。いろんな記憶が重なる坂だ。

クリープハイプを知ってから、気づけば10年以上が経っていた。

最初はライブが「自分の意思で行こうとできるもの」なんて思いついてなかった。

波に流されて、さらわれるような毎日。それでも曲はずっと聴いていた。新曲が出たらMVをすぐ観て、友達とあーだこーだ感想を言ったり、バンドでコピーしたり。あのころの喜怒哀楽の言語化はクリープハイプに委ねていた。

つまりは、そう。

大変お世話になりました、ということです。

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MCの正解って

そんな10年の先の今日。

披露されてく曲があまりにも自分の人生に沿っていて、目を一番大きく開いて見ていた。

生活は10年で大きく変わって、関わる人も、物事の捉え方もこんなに範囲が広いのに。ちゃんと違う角度でわたしと対話して刺してくるなんて。すごいなぁ。

最近ようやくライブに定期的に行けるようになったわたしは、MCでも毎度驚く。

ボーカルの尾崎世界観さんとの心がすごく近くに感じるの。

昔わたしの中で尾崎さんはけっこう不明瞭で、天の人で、そもそもこっちが勝手に解釈して分類したくなかった。

だけど、まっすぐ目を見るようにこんなに大勢の前で一人ひとりをすくって話したり、言葉を伝えようとしてくれるのがこの人なんだ。言葉の先からこぼれ落ちてくるのは、きれいな配慮とかじゃなくて性格。

これだけでライブに来られてよかったなと思う。また知れた。と思えた。

MCね。わたしも話すけど、きっと何をしゃべったら正解とかないんだな。やっと思えるよ。

ステージに長くいると、自分がよく見えるしゃべり方と思考が身についてくる。それは別に悪いことでもなくて。心から話すことなら、事実なんだからいいと思う。

でも、人の言葉にそれを感じて勝手に評価し始めたら、それで全部ジャッジしたら、いよいよ終わりというか。

誰かに何か思われることが怖くても、震えながらも、緊張しながらも、自分が本当に思ったことをしゃべっていいな。人を傷つけたくはないから、かなり難しいけど。自分の言葉で続いていく関係を大事にしたいな。

わたしは、自分も含めて全員に楽しくあってほしいと思う。そうしてバランスを取り始めるけど、何かが積もって、心も欠ける。

怖がるなよぉわたし。怖がらないでしゃべるよ。

ライブはわたしの言葉にしたいから。

クリープハイプを聴きながら、九段下駅から飯田橋まで歩いた。そこからLUUPで市ケ谷寄って四ツ谷まで行ってきた。

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何も考えず散歩してた道と、バイトしてた保育園とあの日々に沿いながら。

あの波に流されてたころさえ、かけがえなく。

わたしは人生に住んでいますよ。

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2022年6月結成、2023年5月に武道館単独公演を成功させた「ExWHYZ」(イクスワイズ)のメンバー。猫とサウナと音楽を愛してやまない。

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