YouTubeの企画でバンドを組んだり、アーティストと対バンライブを行うなど、芸人界でも音楽好きとして知られるニューヨークが、MCを務める音楽番組『ザ・グレイテスト・ヒッツ』（NHK）。2025年4月よりスタートした本番組は、『レッツゴーヤング』『ポップジャム』『MUSIC JAPAN』などの音楽番組から、昭和・平成・令和のジャパニーズポップスを中心に「これだ！」という名パフォーマンス映像を届ける15分間の新番組だ。

本稿では、6月某日に行われた撮影現場の模様をレポートする。

ほぼYouTubeみたいな感覚でやっている

7月26日（土）の放送回では、解散やメンバーが亡くなっていたりなど、もう全員そろってのパフォーマンスを見ることができない「伝説のロックバンド」を特集。THE BLUE HEARTS、BLANKEY JET CITY、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの3組のパフォーマンス映像を紹介した。

3組ともふたりにとっては少し上の世代にあたるが、嶋佐和也は後追いで彼らの楽曲を聴いてきたそうで、視聴者だけでなく屋敷裕政にもその魅力を伝えていく。昨今の人気バンドとは違う刹那的な魅力について、「令和に足りないのは、ロック」と持論を唱えていた。

「もともと音楽番組をやりたかった」というニューヨーク。本番組については、「これまで出演したテレビの中でも、一番素が出ている。ほぼYouTubeみたいな感覚でやらせてもらっている」「自由にコメントさせてもらえるので、収録はただただ楽しい」という。その言葉どおり、映像を観ている最中は釘づけになりながら、「かっこえぇ！」「なんで解散するんやろ」「かっこいいからだろ」など、カメラを気にせず感じたことを自由にコメント。収録後もふたりの口からは「かっこよかったな～」「懐かしいわ」など、VTRに対しての感想が止まらなかった。

同日に収録した8月2日（土）の放送回では、「夏うた」を特集。ふたりの青春時代ど真ん中だという、RIP SLYMEの「楽園ベイベー」のパフォーマンスを観たあとには、青春の思い出話に花が咲く。また、番組スタッフもニューヨークと同世代が多いため、共感しながらふたりの話を聞いているのが印象的だった。

この日の最後には、嶋佐が人生で一番生で観ているアーティストだというTWICEの映像が。映像が始まると、「ミナー！」「サナー！」と、まるで会場で観ているかのようなテンションで盛り上がっていた。

ふたりのコメントは本質を捉えている

収録後には、番組担当者の渋谷氏に話を聞いた。2024年に期間限定で放送された『ニュージェネ！』に出演した際の打ち合わせで、ニューヨークが「爆笑問題さんの『ポップジャム』とかをよく観ていたので、（NHKの音楽番組の）MCをできるのはうれしい」と話していたことが、今回の出演を依頼したきっかけだったという。

映像を観てふたりがコメントをするというシンプルな構成だからこそ、ふたりのコメント力が番組のおもしろさを左右する。渋谷氏は、「昔の映像って、今はインターネット等でも観ることができるじゃないですか。だから、昔の映像を放送するときは、何かしらの付加価値をつけなきゃいけない。この番組では、ニューヨークさんのコメントがその価値を見出してくれている」と話す。

「おふたりの青春時代に直撃する映像には、学生時代のエピソードを交えたりしながら、生き生きお話しいただけるので、視聴者にも共感を持って観ていただけていると思う。ふたりが知らない時代の映像を紹介したときでも、そのアーティストの本質を捉えていて、ファンにも「そうそう！」と思ってもらえるようなコメントをしてくださる。それが番組の価値になっています」

この日の収録についても、「ロックバンドの特集では、特に屋敷さんが初めて観る映像だったと思うんですけど、すごく刺さっていて、いいところを突いたコメントをしてくださった」と振り返った。

また、ニューヨークの音楽に対する愛は、音楽番組のスタッフやアーティスト界にも伝わっているそうで「最近、別の音楽番組でもスタジオに誰を呼ぼうかという話になったとき、ニューヨークさんのお名前が挙がりました。自分たちがカバーバンドをやっているときも、本当に曲やアーティストが好きで、楽しんでいる感じが伝わるので、音楽好きという印象が定着しているんだと思います。番組でアーティストの方にニューヨークさんへのコメントをお願いしたときも、“嶋佐オアシス”の話題はよく出ます」と話す。

現在は毎週15分の番組だが、渋谷氏は「短い番組だからこその魅力もあるんですけど、今後は特番をやったり、ゲストを呼んだりとかもやれたらいいなと思います」と、今後の展望を語った。

『ザ・グレイテスト・ヒッツ』
NHK総合
毎週土曜 午後11時30分～
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