INI、3度目のアリーナツアーに感じた“全員で”という意思。後藤威尊「地球最後の日、MINI全員とハグをしたい」

2025.6.3
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

文=井上明日香 編集=森田真規


全国アリーナツアー『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』を開催中の11人組グローバルボーイズグループ・INI。ここでは2025年5月25日に、Kアリーナ横浜で行われた神奈川公演の模様をレポートする。

2025年6月25日にリリースされる彼らの3RD ALBUM『THE ORIGIN』で掲げられている「The dawn of THE ORIGIN –革命、僕たちがつくっていく新しい世界-」とはなんなのか、「全員」というキーワードをもとに探っていく。

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“革命”の集大成が詰まっていたオープニング

INI、3回目となるアリーナツアー『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』。タイトルの「XQUARE」は、“INIならではの方法で導く新たな革命の場所”という意味が込められており、「X:未知数=INI」と「SQUARE:革命が起こる広場=ライブ会場」をかけ合わせたものになっている。今回の会場であるKアリーナ横浜で、彼らはどんな“革命”を見せてくれるのか。

まず、1曲目は昨年発売した7TH SINGLE『THE VIEW』のタイトル曲「WMDA(Where My Drums At)」。10人のメンバーを引き連れてステージの頂上に君臨するリーダーの木村柾哉は、まるでこれからINIが起こす革命の先導者のよう。この曲は今回のツアー用に「XQUARE ver.」と名づけられており、イントロではなくサビから始まる構成になっていたり、バックに流れている音の数も増えているように感じられ、より大きな会場にふさわしいアレンジがなされていた。

曲が終わると池﨑理人が「Welcome to XQUARE!」と全編英語で煽り、そのまま2曲目の「LOUD」に突入。グループ初のミリオンセールスを記録した6TH SINGLE『THE FRAME』のタイトル曲だ。メンバーの力強いパフォーマンスに呼応するように、客席のMINI(INIのファンネーム)も全力のかけ声で盛り上げる。バース2に入る前の“シャキーン!”という効果音に合わせて、振り付けも表情も美しくキメた後藤威尊がモニターに映ると、「フー!」とひと際大きな歓声が上がった。

余談だが、6月25日に発売される3RD ALBUM『THE ORIGIN』と、『THE FRAME』『THE VIEW』は、INIの「THE 三部作」と位置づけられている。『THE FRAME』のコンセプトは「僕らを囲う“THE FRAME”を壊す」、そして『THE VIEW』のコンセプトは「CHANGE THE VIEW -見方を変えれば広がる世界-」。

つまり、INIは昨年1年をかけて、これまで自分たちを囲っていた枠組みを壊し、自らの世界を広げ、革命を起こすチャンスをうかがっていたのだ。この2曲をオープニングに持ってくることで、「これから起こす革命は昨年からの集大成だから、よく見ておけ」と言われているような気持ちになった。西洸人が拡声器を持って「お前ら、そんなもんじゃないよなぁ!」と煽るのも、『2024 MAMA AWARDS』で見せたパフォーマンスのセルフオマージュのようで胸が熱い。

『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

そして3曲目は、ニュージーランドの民族舞踊「ハカ」のような振り付けが特徴の「BOMBARDA」。センターステージのスポットライトの中に入った木村が「Say what」とクールにキメ、サビは全員での力強い群舞! オープニングからここまで、息つく間もなく全力でパワフルにパフォーマンスするメンバーの姿に見入ってしまう。

曲が終わり、メインステージの頂上にはINIのロゴマークがあしらわれた黒いフラッグが。ほかのメンバーが駆け足ではけていくなか、藤牧京介だけはゆっくりとした足取りでそのフラッグに向かい、手に取って会場に向けて振る。堂々と会場を見渡すその瞳には、静かながらも熱い、青い炎が宿っているかのようだった。

『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

“たじにタジタジ”になったクイズ

怒涛の展開のオープニングのあとは、自己紹介を含む小MCコーナーに。ここでは田島将吾が突然「今日、僕がステージに出る前に聞いていたINIの曲はなんでしょう?」というクイズを出題。クイズ好きが多いINIメンバーにとってもかなりの難問だったようで、全員で「わからないよ〜」と“たじにタジタジ”になる場面も(ちなみに正解は「3D」とのこと)。激しく力強いパフォーマンスと和気あいあいとしたMCのギャップも、INIのライブの魅力だ。

また、このあとに披露した「CALL 119」では、池﨑と髙塚大夢の“りひろむ”コンビがサビ前の「Call me the 119」のかけ声で向かい合う姿がふたつのモニターに分割して映ったり、センターステージからメインステージへ歌いながら移動する尾崎匠海と佐野雄大の“さのたく”コンビの間から西が飛び出してきてカメラアピールをしたり、松田迅がカメラに抜かれるタイミングに合わせてかけていたサングラスを外したり。メインステージにある大きなモニターを効果的に使った見応えたっぷりのパフォーマンスで楽しませた。

その後も、メンバーいわく「新郎」のような白い衣装に身を包み、藤牧、髙塚、尾崎、許豊凡のボーカルラインを中心に美しい歌声を響かせるバラードがあったり、このツアーに合わせて既存の楽曲を大人っぽくアレンジし披露するコーナーがあったり、さまざまなINIを堪能することができた。

『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

チームワークを感じさせたコール&レスポンス

中盤のMCではわちゃわちゃしたクロストークを展開。この日、佐野が持ってきたテーマは「地球最後の日に何をしたいか」。「好きなだけお金を使うとか、好きなものをお腹いっぱい食べるとか?」という話の流れになったと思えば、髙塚が「いい車を買ったとしても、ちょっと乗ったらすぐ終わっちゃう」。許が「人によると思うけど、個人的には最後だと思ったら何も食べられないと思う」と現実的な発言を。

「バンジージャンプやスカイダイビングは?」など話題が展開すると、藤牧が「銀行もバンジーも、最後だからものすごい行列かもしれない」とさらに現実的な意見を(笑)。最後は尾崎の「ハンバーガーを思う存分食べたい」という発言に、佐野が「俺、(ハンバーガーショップで)バイトしてたから、包むのめっちゃ速いで! 作ってあげるわ」と微笑ましいアピールで場を和ませた。

また、池﨑が「地球最後の日は、MINIの隣に居てえな〜」と“胸キュン”発言で会場を沸かせたかと思えば、松田はTikTokで流行っているAiScReam「愛♡スクリ〜ム!」のメロディに合わせて、ほかのメンバーに「何が好き?」とコール&レスポンスを要求。筋トレが趣味の後藤は「ラットプルダウンよりもMINI♡」、松田と相思相愛の“チュッチュ”ケミとして知られる木村は「MINIよりも迅♡」、甘いもの好きの西は「昨日差し入れでいただいた治一郎のプリンが好きです」と個性豊かにアピール。

さらに松田は「(Level7にいるMINIに向かって)セブンちゃーん! 何が好き?」「(Level5にいるMINIに向かって)ファイブちゃーん! 何が好き?」と即興でコールするが、MINIも完璧に「チョコミントよりもINI!」と大合唱。思いがけずINIとMINIのチームワークを感じさせるひと幕になった。

『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

西洸人「一生、みなさんに何かを届けられるようなことをしていきたい」

ライブ後半の見どころのひとつが、3RD ALBUMに収録されている「Potion」の初披露。この曲を全編作詞した池﨑がステージにやってくると、先にステージにいた西と髙塚がポーションの缶を池﨑に差し出すかわいいひと幕も。曲の雰囲気にぴったりな、爽やかにステップを踏むような振り付けが楽しい。

さらに、アンコールでは4月から『王様のブランチ』(TBS)のテーマソングになっている「Party Goes On」など数曲をパフォーマンス。メンバー同士で顔を見合わせたり、ハイタッチしたり、こちらもかわいらしい振り付け……のはずが、何人か挙動不審なメンバーが。

なんと、西がステージ裏から持ってきたケータリングのごま団子を、後藤や田島、松田など何人かのメンバーに順番に渡し、踊りながらこっそり食べていたことが発覚(笑)。オープニングのシリアスな革命の雰囲気からは想像できないほど賑やかなアンコールとなった。

最後のあいさつでは、MCで出た話題に合わせて後藤が「僕は地球最後の日、MINI全員とハグをしたいと思います!」、髙塚が「MINIのみなさんに生かされているなと思います。人生をともにしてくれてありがとうございます」、西が「一生、みなさんに何かを届けられるようなことをしていきたいです」、池﨑が「MINIのことがマジでちゅきちゅきって感じで、日常生活でも街を歩くときにMINIに遭遇しないかな〜と思っていて」など思い思いの言葉でMINIに愛を伝えていた。

『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

MINIもスタッフも含めた「全員」で成し遂げる“INI革命”

今回のツアーで印象的だったのは、とにかく最初から最後まで「11人全員で」パフォーマンスをしていたこと。ダンスナンバーでもバラードでも全員がぎゅっと集まり、時には同じ方向を見据えながら、時には円になってお互いを見つめながら、時には会場のMINIを見渡しながら、どの瞬間を思い返しても、とにかく全員でひとつのことを成し遂げようとしている姿が脳裏に浮かぶ。

公演を観ていて“INI革命”に一番大事なことは、この「全員で」という姿勢なのかもしれないと感じた。「全員」とは、メンバーだけではなく、世界中にいるMINIも、彼らとともにパフォーマンスを作り上げるスタッフも含めた「全員」だ。

また、この日はサプライズで追加公演『2025 INI LIVE [XQUARE - MASTERPIECE]』の開催も発表。会場はバンテリンドーム ナゴヤで、日程はなんと3DAYS。INIの単独公演としては、過去最大動員数になるのではないだろうか。きっと、この公演で初めてINIを見ることになる人もいるはず。そうやってどんどんINIの世界を拡大していった先に、彼らが目指す“革命後の世界”が広がっているのかもしれない。

『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI LIVE [XQUARE - MASTERPIECE]』キービジュアル (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『2025 INI LIVE [XQUARE - MASTERPIECE]』キービジュアル (C)LAPONE ENTERTAINMENT

40ページ特集「INIと言葉」が『Quick Japan』vol.178に掲載

INIが表紙・巻頭特集「INIと言葉」に登場する『Quick Japan』vol.178は、6月18日(水)に発売となる。

グラビア撮影では、2025年6月でグループ結成4周年を迎えるINIの大人な一面を引き出すべく、シックな服装に身を包んだメンバーを、レンブラントの絵画のように「光と影」にこだわった世界観で撮り下ろした。

撮影を担当したのは“キアロスクーロ=明暗”を探求する写真家ティム・ギャロ。表紙に加え、特集では世界観を共有するグループ&ソロ写真も多数掲載している。

『Quick Japan』vol.178(2025年6月18日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ
『Quick Japan』vol.178(2025年6月18日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ

また、INIの楽曲の中でも高い人気を誇る「HERO」の作詞作曲を手がけた、3ピースバンド・WANIMAのKENTAがインタビューに登場。INIメンバーへのメッセージを寄せてくれた。

さらに、『Quick Japan』で“ボーイズグループ×SF”小説「発光する、ら」を連載し、日頃からINIの活動を熱心に追いかけている芥川賞作家・町屋良平が、彼らの表現について思いをめぐらせて綴ったエッセイも掲載。

なぜINIが今の時代に必要とされているのか、その人気の秘訣に迫った40ページにわたる特集「INIと言葉」が掲載された『Quick Japan』vol.178は現在、予約受付中。

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井上明日香

(いのうえ・あすか)ライター。芸能インタビューを主に行っています。アイドルと舞台、ドラマが好きです。

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