11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。“グローバル”を標榜していた彼らは結成当初からワールドワイドな活動を目指していたが、デビュー日は2020年3月4日。コロナ禍の影響を真正面から受けたグループのひとつといえる。
そんなJO1が、初のワールドツアー『JO1 WORLD TOUR JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE’』を2月15日、台湾の首都・台北にてスタートさせた。
本稿では、JO1初めての海外のパフォーマンスもレポートした日本在住のJAM(JO1のファンネーム)の紗里氏が、記念すべき初ワールドツアーの1公演目の様子をレポートする。
目次
いよいよここから始まる
初夏の暑さを思わせる気温25度超えの快晴に恵まれた2月15日の台北。JO1初のワールドツアー1カ所目の会場である台北流行音樂中心(Taipei Music Center)には、開演3時間以上前の時点で多くのJAMが集まっていた。2023年11月のアジアツアー振りとなる台湾でのライブを心待ちにしていたであろう台湾JAMはもちろん、日本をはじめほかの国や地域からはるばる足を運んだJAMで賑わう会場を見て、「いよいよここから始まるのだ」と胸が高鳴った。


昨年11月23日に開催されたJO1にとって3回目のツアー『JO1DER SHOW 2024 ‘WHEREVER WE ARE’』初日に、世界6都市をまわるワールドツアーが発表されてから約2カ月半。JO1は念願の世界への挑戦を、この台北からスタートさせることになる。台北でのライブ会場の規模も大きくなり、前回の2000人から今回は5000人規模の会場へとステップアップし、ワールドツアー会場限定のグッズ販売やFC会員向けのプレゼント企画も行われた。ちなみにこの会場では昨年、miletやPerfumeといった日本のアーティストがコンサートを開催している。

グッズ販売は長蛇の列で、照りつける日差しをタオルや日傘でしのぎながら開場を待っていると、台湾JAMが手作りのカードやリボンを配ってくれた。会場前では現地JAMの有志の企画で、JO1のランダムダンスが開催され、スピーカーから流れる「JOin us!!」の楽曲に合わせてフォーメーションつきのダンスを披露したグループには、周囲から拍手や歓声が送られていた。

今回の会場では1階のアリーナがスタンディング、2階3階は指定席の構成で、スタンディングのチケットを持っている人は、チケットに書かれている整理番号順に事前に整列してからの入場となった。たまたま番号が隣だった川尻蓮推しの台湾JAMに話を聞いてみると、前回のアジアツアー台北公演にも参加していて、「JO1の曲は全部大好きだから選べないけど、ICYを生で見れるのが楽しみ」とのこと。
中国語でのアナウンスを聞き取れない私に、「次に荷物検査があるので、鞄を開けてください」と教えてくれたり、入場前にはJO1へのサプライズスローガンが配られたりと、開演前から現地JAMの優しさやホスピタリティに助けられることばかりだった。そのままスタンディングエリアへと入場し、ペンライトを片手にドキドキしながら、約1時間ほど開演を待った。
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河野純喜「大事なものは“台北”にある」
「JO1DER SHOW」と大きく映し出されたモニターが暗転し、オープニングのVCRが流れるとメンバーが登場。国内ツアーではポップアップを駆使して、メインステージの1階と2階に分かれての登場だったが、ワールドツアーでは11人そろって「Love seeker」のビートに合わせて個性豊かなポーズを決めるところからパフォーマンスがスタート。客席からもすぐに大きなメンバーコールのかけ声が響き、鶴房汐恩の「Let’s go 台北!」のサビ前の煽りで会場のボルテージがぐっと引き上げられたように感じた。
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ワールドツアーのセットリストは国内ツアーから大幅に変更されたわけではないが、バンドやラップのユニットステージがなくなったり、MCの入るタイミングが調整されたりしたことで、個人的にはコンパクトで流れが分かりやすく、11人一体のパフォーマンスに集中させる構成になっていたように思う。
オープニングはライブを勢いづけるダンスナンバーを4曲ノンストップで披露し、最新曲の「WHERE DO WE GO」と川尻蓮のソロダンスで少し大人な雰囲気にかじを切ったあと、VCRを挟んでしっとりときれいに、木全翔也と川西拓実のキリングパートが光る「ICY」や「Love & Hate」といったいわゆる“魅せる”曲が続く。<君を抱いて眠ろう/僕らお互い必要さ>という「Black Out」の歌詞に乗せて與那城奨と白岩瑠姫が抱き合う振り付けでは、会場から悲鳴のような歓声が上がった。
9曲目の「Sugar」まではまったくMCを挟まないことで、まさにひとつのショーを観ているかのようだった。全員で中国語や英語で自己紹介とあいさつをしてからは、ボーカルを堪能できる「Blooming Again」や「Lied to you」のセクションに。再びVCRを挟んでからは、赤と白を基調にしたレーサー風衣装に着替え、マッシュアップコーナーがスタート。

「Trigger」や「SuperCali」といったJO1のライブの代表曲をメドレー形式で畳みかけるように踊り続け、豆原一成の「台北騒げ!」の煽りでその日、最高潮の盛り上がりを見せた。フィナーレでは「RadioVision」と「Test Drive」のコール&レスポンスやかけ声で会場がひとつに。最後まで勢いを落とすことなく約2時間のライブを走り切った。

ワールドツアーで新たにセットリスト入りした「HIDEOUT」では、スタンドマイクを横1列に並べて、その場で見てすぐにまねできる振り付けを「みんなで!」と與那城奨が先導したことで、客席でもサビの歌詞とメンバーの動きに合わせてペンライトを回したり左右に振ったりと一体感を感じることができたのが特に印象に残っている。河野純喜がサビ前のパートで「大事なものは“台北”にある」と歌詞を変えて歌ったのだが、これは台湾JAMにとってはたまらないアレンジだっただろう。
木全翔也「本当に実在しているのか不安でした」
さらにワールドツアーならではの取り組みで、アンコールのMCでJO1からJAMへの手紙を読む企画が準備されていた。ポケットから事前に中国語での発音を手書きのカタカナでメモした紙を取り出し、「台湾のJAMにまた会えてうれしい」とメンバーそれぞれの思いを現地の言葉を交えて伝えようとする姿には心を動かされるものがあった。
何度も事前に読み方を練習したからか、大平祥生の手持ちの紙はしわくちゃになっていたり、ほかのメンバーが手紙を読んでいる間、最終確認のために小さく口を動かし発音の練習したりしている姿も愛らしかった。
トップバッターの金城碧海は手紙を読む前から泣きまねをするというチャーミングな一面を見せたと思いきや、「僕のことが大好きなあなたへ」とゆっくりひと言ずつはっきり話そうと意識しているのが伝わり、日本語話者ではない人への配慮が感じられた。
木全翔也は「海外にいるJAMとは会える機会が少なくて、本当に実在しているのか不安でした」と素直な気持ちを吐露しつつも、これまでの応援に感謝し「再见(またね)」と再会を約束していた。
佐藤景瑚は「小籠包を10個食べれます」と中国語で言いたかったようだが、発音が難しくうまく伝わらなかったようで、会場が?マークでいっぱいに。急遽客席の台湾JAMによる中国語教室が開催されたのも微笑ましいワンシーンだった。
アンコールを終えJO1がステージ袖へとはけ、そのまま終演かと思いきや、鳴りやまないJO1コールの熱量を受け、メンバーが再びステージ上に。当初予定していなかったであろうWアンコールが実現し、リーダーの與那城がマイクなしの肉声で「今日は来てくれて本当にありがとうございました!ということで、本当に!以上JO1でした!」と締めのあいさつをして、ワールドツアー1公演目のライブが終了した。
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台湾JAMインタビュー「まさか中国語での手紙を読んでもらえるなんて」
終演後、台湾在住のJAMのCさんに直接話を聞くことができた。
──JO1を知ったきっかけは?
Cさん 2021年2月の『M COUNTDOWN』(韓国の音楽番組)に、JO1が初出演したときかな。「Shine A Light」と「伝えられるなら」のパフォーマンスを観て、好きになりました。それまではほかのK-POPグループが好きだったけど、たまたまJO1の出演回を観て赤髪の純喜のビジュアルに惹かれて、JO1を応援するようになりました。
──JO1の一番好きな曲はなんですか?
Cさん やっぱり今でも「Shine A Light」が一番好き! アイドルらしいキラキラした雰囲気の曲が本当に好き。今回のツアーではセットリストに入らなかったけど、いつかまたライブで歌ってほしいです。
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──ワールドツアーと台北でのライブが決まったとき、どんな気持ちでしたか?
Cさん 本当に本当にうれしかったです。1回目のアジアツアーが決まったときよりも、もっとうれしかったかもしれません。1回きりの縁ではなく、今後、3回、4回とつながるのではないかと期待を持てたからです。台湾や世界でもっと人気になって、JO1のライブにもっとたくさんの人に来てもらいたいです。

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──前回のアジアツアーでの台北公演と比較して、今年のライブは何か違いがありましたか?
Cさん 会場も大きくなって、台湾JAMが少しずつ増えている実感を持てたのがよかったです。メンバーが中国語で手紙を呼んでくれたことが、まだ信じられないくらい本当に感動しました。ほかのアーティストが中国語の手紙をファンに読んでいるのを知って、うらやましく思ったこともあったけど、まさか自分も大好きなアイドルから中国語での手紙をもらえるなんてとても幸せです。
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未知の道を歩み始めたJO1
<いつだって/One step, two steps 重ねて/Three steps and four steps 夢見て/あともう一歩で叶う/そんな日々の軌跡>
<待ちわびた/奇跡はきっと/Maybe next time>

アンコール最後の曲である「Maybe Next Time」で11人が肩を組み歌っている姿を観ながら、この曲の歌詞はまさに今のJO1の現在地を表していると感じた。デビュー当初から日本初のグローバルボーイズグループとして世界への挑戦は大きな目標だったものの、コロナ禍を挟んだこともありデビュー5周年でやっとスタートラインに立つことができた。
ときに迷うことも回り道をしているように感じることもあったはずだが、夢を追いかけることを諦めずに、一歩ずつ歩みを積み重ねてきたからこそ今のJO1がある。
直接会える機会が限られている台湾JAMとの時間を名残り惜しむかのように、何度も「ありがとう」とステージの端から端へ、そして2階席や3階席のほうまで手を振りながらステージ袖へと戻っていった11人の姿が目に焼きついている。
夢であった世界への扉を開き、未知の道を歩み始めた彼らにとって、世界各地から応援しているファンの存在が大きな支えとなっているのだと感じた。今回のツアーを機にもっと大きく羽ばたき、いつかまた台湾のライブ会場に戻ってきてほしいと願う。
6都市8公演を開催するワールドツアーはまだ始まったばかり。日本でのツアーとは異なる会場の規模や観客との距離感や雰囲気を経験しながら、この1カ月半でJO1がどんな成長を遂げるのか、今から楽しみでならない。次回はアメリカでのライブの様子をレポートする予定だ。
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JO1の表紙・巻頭特集「5年目のGo to the TOP 時代を変える11の夢」
2024年6月に発売された『Quick Japan』vol.172の表紙&第1特集では、グローバルボーイズグループ・JO1が登場。合計3万字以上のソロインタビューを含む40ページ以上にわたる総力特集を実施。
特集のテーマは「5年目のGo to the TOP 時代を変える11の夢」。2020年3月に「グローバルボーイズグループ」としてデビューし、コロナ禍の影響を真正面から受けながらも、激変するエンタテインメントの世界で目覚ましい活躍を見せているJO1。デビュー時から「Go to the TOP」を掲げてきた彼らは、活動5年目を迎えた今、どんな夢を抱き、どのように時代を変えようとしているのか。
メンバー11人が夢見る「TOP」に向けた現在地を明らかにするため、「あなたにとって“TOP”とは何か?」「現時点での“TOP”への到達度は?」「“TOP”に到達するために必要なことは?」という質問をぶつけ、合計3万字以上となるソロインタビューを実施。
『Quick Japan』の公式ECサイト『QJストア』では、通常の表紙とは別パターンの限定表紙を販売。QJストアでの売り上げの一部は「能登半島地震」の復興支援のために寄付する取り組みも行っている。

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