ライブ終わりの公園で、まだ何者でもなかった俺たちが作った『桜の木の下』<エバース佐々木「ここで1球チェンジアップ」>

エバース佐々木

正統派スタイルながら、独特な切り口を持った漫才で注目を集めるエバース。そのネタ作りを担当する佐々木隆史は、野球一筋の学生時代を過ごしてきた。現在は漫才一本で強豪たちと戦う佐々木が、あのころの自分と重ねながら日々を綴る連載「ここで1球チェンジアップ」

12月22日に放送された『M-1グランプリ2024』決勝に初進出し、4位という結果を残したエバース。当日披露したネタの誕生秘話から、最初はこのネタのおもしろさがわからなかった相方・町田和樹の学生時代のエピソードを明かす。

青春が詰まったネタ

どうもエバース佐々木です。

みなさん明けましておめでとうございます。2025年もみなさんにとって夢の入口でありますように。

ということで実は去年の年末に『M-1グランプリ2024』の決勝がありまして、我々エバースは1点差で惜しくも4位となり最終決戦には進めませんでした。

圧倒的なチャンピオンにはなれませんでしたが、たしかな爪あとは残せたかなと思っています。

エバース佐々木
当日撮影した『M-1』のセット

決勝でやったネタ『桜の木の下』は約3年前に作ったネタです。当時、下北沢のフリーライブによく出てたんですが、その帰りにオフローズの宮崎(駿介)、金魚番長の箕輪(智征)とコンビニで缶チューハイを買って飲みながら近くの公園で1、2時間しゃべってから帰るという“THE 若手芸人”みたいなことをよくしていました。

そのときにふと僕が、「今こんな感じの設定のネタ考えてるんだけどどう思う?」と説明して宮崎と箕輪と3人で、「こうなったらどうなる? じゃあこうだったら?」と深夜の公園で何時間もだべってでき上がったのが『桜の木の下』の原形です。

まだ何者でもなかった俺たちが作った青春みたいなネタを3年後『M-1』の決勝の舞台で全国に披露できたのが、もう死ぬほどエモくね?って感じです。

箕輪(左)と写り込む宮崎(右)

ちなみにこのネタを町田に初めて説明したときは、「ちょっと何がおもしろいのかわからない」って言われました。

町田みたいなヤツの果て

『M-1』後、「エバースおもしろくなかった」って書いてるポストも何個かありましたが、町田みたいなヤツなんだな、かわいそうなヤツだなって思うようにしてます。

逆に「エバースよかった」って言ってる人の中にもごく少数ですが、あたかも自分もエバースになったかのごとくほかのコンビを下げる発言をするヤツもいます。

こういうヤツを見ると学生時代にいた、先輩のヤンキーグループと顔見知りになったとたんにでかい顔してた雑魚同級生を思い出します。あいつみたいなヤツなんだろうなって思うようにしてます。

ちなみに町田は昔、地元の先輩ヤンキーグループのパシリをやってたらしいんですが、同級生の前ではここぞとばかりにでかい顔してたらしいです。

そんな町田を気に食わなかったのか、ひとりの同級生が町田のよくない噂を学年全体に流して町田がクラスで浮いちゃったことがあるんですが、そんな絶体絶命の状況を打破すべく町田は一発逆転を試みて、休み時間にその同級生のところに行って机を蹴り飛ばして、「お前俺の変な噂流してるらしいな?」って詰め寄りました。

ちょうど『ごくせん』とかが流行ってた時期なんでやってみたかったんでしょうね。その同級生はビビって非を認めたらしいです。

そのあと、その同級生は調子に乗らずコツコツ勉強して東大に行き、調子に乗った町田は高校を中退しました。この話を町田から聞いたとき、僕は昔話みたいだなーと思いました。

今年こそ『M-1』チャンピオンだ!!!!

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佐々木隆史(エバース)

(ささき・たかふみ)1992年11月6日生まれ、宮城県出身。お笑いコンビ・エバースのボケ担当。レギュラー番組『エバースのモンキー125cc』(stand.fm)、『エバースの野茂ラヂ雄』(Artistspoken)。

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