「キャラに寄せつつ“自分の個性”も表現しました」ロシア出身のバニー衣装レイヤーに聞いた“コスプレのこだわり”

2025.1.6
(左から)琴羽つばささん、ぷらるさん、九条ねぎさん

文・撮影=ソムタム田井 編集=森田真規


世界最大規模の同人誌即売会であり、2024年8月11日、12日の2日間で26万人が来場した『コミックマーケット104』。東京ビッグサイトで行われた同イベントおよび、同日に付近で実施された『となりでコスプレ博2024夏』で見つけたコスプレイヤーたちにインタビューを実施。“衣装やメイクに対するこだわりポイント”を聞いたレポートをお届けします。

コスプレイヤーに聞いた“衣装やメイクに対するこだわりポイント”

コスプレイベントといえば会場を彩るレイヤーたちの衣装を通して、その時期に旬のアニメやマンガ、ゲームなどを分析できるところも参加する上での醍醐味のひとつ。2024年も全国各地でさまざまなコスプレイベントが開催され、いずれも大盛り上がりとなっている。

そうしたイベントに興味はあるもののまだ参加したことがないという方に向けて、本稿では2024年8月以降に行われたコスプレイベントをプレイバック。取材時に撮影させてもらったレイヤーたちの写真を掲載しつつ、それぞれに聞いた“コスプレに対するこだわりポイント”と併せて紹介する。

12月29、30日には、世界最大規模の同人誌即売会であり、コスプレが楽しめる2024年最後の大型イベントでもある『コミックマーケット105』が東京ビッグサイトにて開催された。本稿では、8月に開催された『コミックマーケット104』に参加していたコスプレイヤーたちをピックアップ。

コルセットやガーターベルト、網タイツなどを着用することでスタイルがよく見えるバニースーツは、コスプレ界隈でも人気の高いコスチュームのひとつ。昨今のアニメやゲームでは、ヒロインたちの別バージョン衣装としてバニースーツが実装されたり、それらを着た姿のフィギュアやイラスト入りグッズなどが発売されており、各種イベントではそのコスプレをしたレイヤーを見かける機会が多い。

『コミケ104』にも、そうした“バニー”レイヤーが大勢参加していたが、中には創作コスプレとして、既存のキャラクターのバニーバージョンの衣装を自作で用意したというコスプレイヤーの姿も。ロシア出身のコスプレイヤーであるYameekaさんは、キャラに寄せつつ、“自身の個性も出したい”という考えから創作コスプレに行きついた、と話してくれた。

ちなみに、『コミケ104』と同日に付近の会場で行われた『となりでコスプレ博2024夏』ものぞいてみたところ、こちらにもバニースーツを着こなすレイヤーが大勢参加しており、中には途中で衣装を着替えて、複数のバージョンのバニーコスプレを楽しんでいた参加者もいた。

「大好きなヨルさんにエナメルバニーを着てほしくて、オリジナルコスプレをしました。エナメル衣装にエナメルブーツは『夏コミ』ではめちゃくちゃ暑かったのですが、かっこいいヨルさんのバニーコスプレができて、とても楽しかったです」(『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー[創作バニーガール衣装]/九条ねぎさん)

『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー(バニーガール衣装)/九条ねぎさん
『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー(バニーガール創作衣装)/九条ねぎさん

「こだわったポイントはメイクと表情の作り方です。こちらはミクちゃんの『ラビットホール』バージョンのコスプレなんですけど、写真を撮っていただく際は、ミュージックビデオのイラストで描かれている悪戯っぽい表情を意識しました」(初音ミク/ぷらるさん)

初音ミク/ぷらるさん
初音ミク/ぷらるさん

「今回のコスプレで意識したのは、キャラクターの魅力を表現しつつ自分らしさも残す、ということでした。できるだけコベニちゃんに似せながらも、自分自身の個性も出せるよう、メイクには特別な注意を払いました」(『チェンソーマン』東山コベニ[創作衣装]/Yameekaさん)

『チェンソーマン』東山コベニ(創作衣装)/Yameekaさん
『チェンソーマン』東山コベニ(創作衣装)/Yameekaさん

「理央は冷静沈着な理系女子なので、前髪の分け目部分を深めにしてクールな面長に見えるようなウィッグにしました。衣装に関しては、白衣はボタンの数やポケットの位置などが女性用より男性用のほうがイメージに近かったので、そちらを購入。バニースーツは身体のラインが出るように両サイドを縫い直し、リボンパーツは似た色の布を探して自分で取りつけました。それとメイクではクールな雰囲気を表現したくて、アイラインはつり目になるように描きました。その上で、チークやリップは抑えめにして、高校生らしさを出すことも意識。ポージングでは肩を張ったり、手足を直線的にして、クールかつ堂々としているように見えるよう努めました」(『青春ブタ野郎』シリーズ:双葉理央/琴羽つばささん)

『青春ブタ野郎』シリーズ:双葉理央/琴羽つばささん
『青春ブタ野郎』シリーズ:双葉理央/琴羽つばささん

「一番力を入れたのはウイッグの造形です。朋絵はウェーブ髪が特徴的なキャラクターなので、全体的にボリュームを出しています。前髪の分け目やサイドの毛のカーブの向き、本作品特有のカクっとしたくせ毛の再現にもこだわりました。衣装に関しては、バニースーツはキャラのイメージに合う色味のものを探して、身体のラインが出るように背中を縫って詰めています。それとメイクでは“小悪魔っぽさ”を意識しつつ、たれ目になるようにアイラインを入れて、チークとリップは衣装の色に合わせて明るめのピンクを入れました。目を見開きながら口元はアヒル口にしたり、顔まわりに手を添えてちょっとあざとい仕草をしたりと、表情とポージングでも朋絵らしさを表現してみました」(『青春ブタ野郎』シリーズ:古賀朋絵/琴羽つばささん)

『青春ブタ野郎』シリーズ:古賀朋絵/琴羽つばささん
『青春ブタ野郎』シリーズ:古賀朋絵/琴羽つばささん

QJWebでは今後も、全国各地で実施されるさまざまなコスプレイベントに取材参加し、レポート記事を作成していく。連載形式で順次アップする予定なので、こちらもご期待いただきたい。

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ソムタム田井

(そむたむ・たい)ライター兼カメラマン。コスプレ文化の研究家として、『ORICON NEWS』『まんたんウェブ』『WebNewtype』『ファミ通.com』『Movie Walker』など、多数のWEBサイトや書籍に寄稿。コスプレイベントの企画やキャスティングを担当しつつ、世界コスプレサミット『Co..

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