『友人チャソ』【Aマッソむらきゃみのグルメ連載「今月のスープ」#14】


「ちょっとよかったあの日」の記憶を唯一無二の筆致で描くAマッソむらきゃみによるファンタスチックな回顧エッセイ。第14回目となる今回は、高校時代からのむらきゃみの友人・チャソの話を。

Aマッソむらきゃみ「今月のスープ」記事一覧

今月のスープは「粕汁」

【材料】
・水…800cc
・顆粒だし…小さじ2
・塩鮭…2キレ
・大根…1/4PON!
・にんじん…1/2PON!
・ごぼう…ささがきってるくらい
・こんにゃく…1/2丁〜!
・油揚げ…1べちょん
・ネギ…シャンシャンシャシャ×4
・酒粕…150g
・白味噌…大さじ3

【作り方】
①野菜、こんにゃく、油揚げ、塩鮭をお口に嬉しいサイズに切る。
②鍋に水、顆粒だし、大根、にんじん、ごぼうを入れて中火にかける。煮立ったらアクを取り、油揚げとこんにゃくを入れて弱火で5分煮込む。
③耐熱容器に酒粕をちぎり入れて煮汁を少しずつ入れて溶けるまで繰り返す。
④鍋に鮭を入れて火が通れば、煮汁で溶いた酒粕と白味噌を加え沸騰しない程度に温める。
⑤最後にネギを加えてさっと火を通す。お椀に注ぎ入れて出来上がりです。

コクがあってほんのり甘くてドロっとしてて濃厚で美味いやんけ!
ほんで温まる〜!
酒粕は健康に欠かせない栄養素がたっぷり入ってるんやで〜!
摂取すると特に腸内環境や冷え性の改善、美肌や生活習慣予防などの効果がみられるんやで〜!
関東出身のハズバンドは粕汁飲んだことなかったみたいで斬新な味って言うてはったわ。
うちにとっては懐かしい味でホッとするでんがな!

高校の時、粕汁で二日酔いになって学校休んだ友達がいました。そんな友達のお話です。
ヘベレケ、ヘベレケ〜(はじまり、はじまり〜みたいに読んでね)

チャソのこと

どの界隈でもひとりはまとめ役がいたり、情報通がいたり、世話焼きがいたりする。
高校の3年5組でそれらを全て担ってたのはチャソだ。

チャソはファミレスでのお会計時に「一人890円な〜ほんでこのあとプリクラ撮るから100円玉用意しといてや〜」といち早く割り勘の計算をしてくれて、スムーズにプリクラが撮れるように促してくれていたり、「MIOのセール25日からやで!」と天王寺MIOのセールの日をいつも教えてくれたり、食堂に行くと「あいぴー!今日は奥のおばちゃんのところが空いてるで!奥行きぃー!」と早く注文できるところへ導いてくれた。

高校を卒業してチャソは就職しうちは大学に進学した。卒業後3ヶ月に1回はご飯に行っていたが、チャソの仕事が忙しいのとうちは大学で新たなコミュニティを築くことに勤しんでいて、3ヶ月に1回が半年に1回になり1年に1回になっていき、うちが東京に上京してめっきり会わなくなってしまった。が、年賀状のやり取りと誕生日おめでとうLINEのやり取りで繋がっていた。いや、繋がっているんだー!僕らはいつも以心伝心♪とでも言うのだろうか。いや、言わない。

チャソから届く年賀状にはいつも前年のチャソのBIGイベントの様子の写真が印刷されていた。それで、富士山に登ったことや1年に2回足の骨を折ったことや、結婚、出産したことが知れた。それに対してうちは、爆裂に時間を持て余していた時期はオリジナル干支イラストを描いた年賀状を送っていたが、最近は元々デザインが印刷されている年賀ハガキをコンビニで買って新年の挨拶定型文をほんのりと、うちアレンジにしてメッセージを添えるだけのしょうもない年賀状を送ってしまっている。よし!久々にイラストを描こうかなと思ったが、喪中だった。

喪中-プラッチックあかん-

2月におかん方のおかんのつるよさんが亡くなった。つるよさんのことをうちら孫達は”ばっば”と呼んでいた。ばっばはめっちゃ料理上手だった。りんごが入ってるポテトサラダ、マカロニサラダ、きんぴらごぼう、れんこんをおかかで和えたやつとか誕生日は必ず赤飯を炊いてくれた。

ばっばとのお別れの時、みんな口を揃えて「最後にもう一回ばっばの料理食べたかったわ〜」と声をかけていた。記憶にバキバキに残るおいしさやったんやなと実感した。

ばっばは美空ひばりさんが大好きで昔テープをよく聞いていたから美空ひばり写真集を棺桶の中に入れてもろてた。うちが「なんで写真集なん?CDとかの方がいいんちゃうの?」とおかんに聞くと、「プラッチックあかんねん、紙の方が燃えるやん」やてさ。ばっばー!棺桶の中にプラッチックあかんって学ばさせてもろたよ!ありがとう!人生って不思議なもので、人生って嬉しいものだったな〜と思いながら天国に行ってくれてたらいいなと霊柩車の助手席で静かに涙を流した。

そして11月に実家の愛犬ノーティが亡くなった。姪っ子から「ノーティしんじゃった(猫が泣いてる絵文字)」と訃報LINEが届き、うちは宮益坂上の路地でヒクヒクと泣いた。

ノーティは家のガレージで飼っていて道ゆく人にしっぽふりふりの愛想まきまきが上手で実家近くにはノーティファンが大勢いた。ノーティへの愛が過剰になりすぎて、ノーティを盗もうとする異常な人までいた。ノーティが亡くなりましたとお知らせの貼り紙をガレージの柱に貼るとノーティファンの方々からお花や写真、お手紙をたくさんいただいた。すごい愛されててて良い犬生やったなぁ〜と元犬になりたかったうちは思った。そして姪っ子よ「なんで猫が泣いてる絵文字やねん!」と「ネコふんじゃったみたいに言うな!」と遅ればせながらここでツッコミを入れておきんます!まったく!うちにツッコますな〜!てなことで、喪明けを待つぜよ!

単独ライブとむらきゃみとチャソ

年賀状と誕生日LINEで繋がっていたチャソだが、3年前からチャソとは毎年会えている。
それはチャソがAマッソの情報を入手し、大阪の単独ライブのチケットを買って来てくれたからである。
初めて単独ライブに来てくれたチャソは
いやー!あいぴー!めっちゃおもろかったわ〜!AマッソマネージャーのTwitterをフォローしてて、大阪でライブやるやん!って思てすぐチケット取ってん!グッズも可愛いから買って帰るわな!」と興奮気味に伝えてくれた。
旧友と思われし呼び方、シンプルに嬉しい感想、来たきっかけを端的に伝えてくれてさらに売り上げに貢献してくれる素晴らしい友達チャソ。

今年の単独もチャソは来てくれて、
「いやー!あいぴー!お疲れやで!今年もおもろかったわ〜!はいこれ誕生日プレゼント!なんかスープ作ってるよな?字多かったから読まれへんかってんけど、これガラスの器やねん、冷製スープにどうかな?と思ってん!あいぴーが好きそうなの選んだから使って!残りのライブも頑張ってな〜!ほなグッズのプールバックとTシャツ買うて帰ります〜!」と笑顔で気持ちよく帰って行った。
入りは毎年同じで安心感がある。
そして労いの言葉、「おもしろかった」は滋養強壮に効く。
そして情報収集は欠かさない!
誕生日を覚えてくれている。
飾らない嘘つかない。
陶器センス◎。
再び労いの言葉。
最後は売り上げ貢献でサンキューフィニッシュ!チャッソ!という感じで単独ライブがうちとチャソを繋いでくれた。いや繋がっているんだー!僕らはいつも以心伝心♪二人の距離つなぐテレパシー♪とここまで歌えば良いだろうか。いや良くないよ。でもまぁ良いよ。

今年の単独ライブツアーが終わった後に、大阪に帰った時に大阪で会える人に全員と会おうと思いその中にチャソも会いたい人に入選さしてもろてて、連絡をするとパートと子供のお迎えの間の時間で会えることになった。喫茶店でミックスジュースをしばきながらチャソは3年5組の仲良し8人グループ”参伍嬢”のみんなの近況を教えてくれた。
「ニッシーは韓国男性アイドルにどハマりしてて、めっちゃ韓国に行ってるねん」
「ウィンちゃんはめっちゃ喉仏出てる人と結婚してん」
「しおりんは芋けんぴにハマってるらしい」
などなど、どーでも良い情報もありつつ、
「キャンベルは結婚して神奈川に最近引越したで」という情報をくれて「東京で会ったらええやん!連絡してみ!」と世話を焼いてくれてうちがキャンベルに「ちゃお〜!チャソから神奈川に住んでるって聞いたよ〜飲みに行こ〜٩(^‿^)۶」とLINEしたところでタイムアップ。前も後ろも子供乗せれる電動自転車で子供のお迎えにチャソは颯爽と向かって行ってバイバイした。

キャンベル、18年ぶり

チャソの世話焼きで18年ぶりにキャンベルと横浜一の歓楽街・野毛で再会することになった。

桜木町の改札付近で待ち合わせをする。
キャンベルから先に着いてるよと連絡が入り改札付近に足早に向かう。
小走りしてるのと18年ぶりという緊張感とで脈が釣り上げられた魚くらいビチビチバタバタと暴れている。
およそキャンベルであろう後ろ姿を見つけて深呼吸をして声をかけた。

うち    「キャンベル??」
キャンベル 「あいぴー??」
二人    「ぎゃー!!!!!」
うち    「久しぶりー!!!」
二人    「ぎゃー!!!!!」
キャンベル 「久しぶり〜!!!」
二人    「ぎゃー!!!!!」

お化け出たばりに叫び散らかす。
10体ほどお化けが出たところで叫び疲れて喉が渇いた。
久方ぶりを祝してメガハイボールで乾杯!
高校時代のあれこれを語り合う。

キャンベル 「あいぴーに会うってなって高校の時の写真見返しててん」
うち    「懐かしい〜!この写真何?」
キャンベル 「あいぴーの誕生日の時の写真やで!」
うち    「こんなんやってもろててんな〜でもなんかうち事後みたいじゃない?」
キャンベル 「ちゃうで、あいぴー泣いてんで!」
うち    「え!そうなん!?」
キャンベル 「嬉しいって泣いたんちゃうかな」
うち    「え!そうなん!?うちってそんなにピュアやったんや」
キャンベル 「あいぴーはピュアやったよ!」
うち    「確かにハイパー処女やったしな」
二人    「ギャハハハハ!」

夜が更けるにつれスケべな話も過激になりつつ4軒目のスナックで隣のお兄さんに初体験エピソードを聞き出してお開きにした。家が同じ方向だったので、一緒のタクシーに乗り込む。  

キャンベル 「まさかの駐車場やったな〜ヒクッ」
うち    「うぇ〜、お互いが車になりきってみたいなことなんかなぁ?」
キャンベル 「あぁ〜!なるほどな〜ヒクッ」
うち    「ハイエースとラパンのパンパンパンやなあぁぁ〜!」
キャンベル 「あぁ〜!なるほどな〜ヒクッ」

車中で酩酊確定オワリ会話を繰り広げたところまでは覚えてるが、気がつくと家のベットの上だった。

次の日、チャソからLINEが来た。

チャソ 「キャンベルと会ったんやろ〜?」
うち  「そやで〜!てか、情報早っ!!」
チャソ 「キャンベルから写真送られてきてん!」
うち  「暗っ!!これなんの写真?」
チャソ 「覚えてないん?タクシーの中であいぴーお尻の青タン見せながら『生きてる証拠!』って叫んでたらしいやん!笑 その時の写真らしい」
うち  「最悪や〜」
チャソ 「あたしも生きてる証拠みたいから来年同窓会開くことに決めてん!」
うち  「マジ!最高やん!ほなそれまで生きる!!!」

会いたい人には会えるうちに会おう!
そのためには健康であらなければいけない
だから健康診断いっっこっっおっとーー!!!

Aマッソむらきゃみ「今月のスープ」記事一覧

この記事の画像(全3枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

むらきゃみ(Aマッソ)

1988年生まれ。大阪府出身。Aマッソのボケ、ツッコミおよびグルメ担当。2024年2月21日に「村上」から「むらきゃみ」に改名。

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。