超特急、謎のイベント『AwA踊り大会』開催。シャボン玉の中で8号車と見せた圧巻のパフォーマンス

2024.11.9
超特急

撮影=米山三郎

文=坂井彩花 編集=梅山織愛


2024年3月には、ユニバーサルミュージックと連結し、着々と活動の幅を広げている9人組メインダンサー&バックボーカルグループ、超特急。そんな彼らが、21stシングル『AwA AwA』の発売日である11月6日(水)に、8号車(超特急ファンの呼称)と一緒に『超特急×8号車 史上初のAwA踊り大会』を開催した。

開催日時や場所の告知がイベントの約1週間前かつ開催は平日の夜、しかも詳細の多くは謎に包まれていたにもかかわらず、たくさんの応募が殺到。抽選で選ばれた5000人が国際交流ゾーンプラザ広場に集い、AwA踊りエリアと2階立見エリアに分かれて中央に設置されたやぐらを囲んだ。

謎に包まれたイベントがスタート

場内には開演前から「AwA AwA」が流れ、ウォーミングアップとばかりに踊っている8号車もチラホラ。ペンライトを片手に2、3本ずつ構えた状態で音に乗る姿には、「さすが日頃からペンラ芸で話題になるだけある」と感心せずにはいられない。開演時間が近づくにつれて、次第にペンライトが煌めき出し、薄暗くなってきた会場をカラフルな光が彩った。

開演時刻になると、「AwA AwA」の衣装に身を包んだメンバーが登場。クールな表情でポジションにつき、パフォーマンスが始まるかと思えば、なんとリョウガがMCを始めた。予期せぬ出来事に、タクヤも「俺もすごい決めてたんだけどな(笑)」とひと言。メンバーの意表を突いたリョウガは「残念でした。しゃべりスタートです」とおちゃらけながらも「ケガのないようにだけね。そこだけ気をつけながら全力で楽しんでいきたいと」と8号車を気遣っていた。

「なんでド頭にMCしてんだよ」「パーッって行きたかったよ」とメンバーからツッコまれ、「じゃあ、もう一回行く?」と楽屋へ戻ろうとするリョウガ。カイも「まぁ、でもリーダーが行くなら」と便乗し、稜海(リョウガ・カイ)のチームワークで会場を沸かせる。

超特急
チームワークで会場を沸かせた稜海ことリョウガ(右)とカイ(左)

気を取り直して再びポジションにつくと、リョウガのコールにより「ジュブナイラー」へ。1曲目だというのに、9人の表情筋は今日も絶好調。クルクルと表情を変えながら、超特急ならではの色を魅せていく。8号車のコールもハツラツと響き、すでにメンバーと8号車の一体感は抜群だ。

続く「My Buddy」のイントロが流れると会場には歓声が。タクヤは「横浜にお越しの皆様、一緒にやってくださーい。AwA AwA!AwA AwA! リリース日です、おめでとう!」とオーディエンスを煽り、さらなる熱を生み出す。せぶいれ(タカシ・シューヤ)のボーカルもコンディションがバッチリで、音源のような安定感とライブならではのエネルギーに満ちていた。タカシがたっぷりとニュアンスをつけて歌い上げたかと思えば、シューヤは優しい視線を落としながらファンへ歌いかける。

どちらの楽曲でも印象的だったのは、パフォーマンスがグルッと8号車に囲まれる環境を活かしたものにアレンジされていたことだ。フォーメーションの正面を前後で変えてみたり、円形になってみたり。はたまた、ハイタッチのように手を重ねる振りでは、左右ではなくて前へ腕を伸ばしてみたり。「どの方向から観ても楽しんでもらいたい」という超特急の心意気が、まぶしいほどに伝わってきた。

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屋外の会場であることを感じさせない歌声を響かせたタカシ

冬空の下で個性が光ったMC

MCは一人ひとりの自己紹介からスタート。マサヒロが「寒くないですか」と声をかけると、正直に「寒い!」と答えるオーディエンス。それを受けたマサヒロは「寒いよね。寒かったら、横の人にこうやってくっついてあったまっちゃってください」と話し、隣にいたタクヤにピトッとくっつく。ふいに特大な緑茶(タクヤ・マサヒロ)の発生に、場内には黄色い声が響き渡った。ユーキも8号車に「みんな、寒い?」と振り、「寒い!」の声を確認すると「俺があっためるから、ちょっと待っとけ」とクールにきめる。トークパート早々に、それぞれの個性やメンバーの仲のよさを鮮やかに香らせた。

リョウガが「うれしいお知らせといいますか……」と口火を切り、『AwA AwA』がオリコンデイリーチャートで1位を獲得したことを報告。さらには、カイがこのままウィークリーチャートでも1位を獲得できたら、9人体制初の1位になることが告げられ、「もちろん一人ひとりが買ってくれることが一番うれしいですけども、もし1位を獲れたら、それは本当にうれしいことなので。僕たちは、そこも皆様に期待するわけではないですけども、手に取ってもらえたらうれしいなと思っております」と正直な胸の内を語った。

タカシによる「AwA AwA」の楽曲紹介を経て、いよいよメインイベントである「AwA踊り」へ。ユーキは「今日の謎めいたイベントの核が今から始まります」と宣言し、カイは「謎のイベントに、わからないなか応募してくれて、ありがとう」と感謝を届ける。そして、“生まれは徳島・阿波の国”のユーキ主導で、ダンスレクチャーが行われた。

「AwA AwA」のコレオグラフに阿波踊りを交えた振り付けには、覚えやすいようにと、なんと「た・か・ま・つ・ア・ロ・ハ」の音がはめられたモーションが登場。予想だにせぬ展開に最初はアワアワしていたアロハだったが、だんだんとたくさんの人が名前を呼んでくれる喜びがこみ上げてきたようで、「うれしいな~」と笑みをこぼしていた。

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笑顔を見せるアロハ

5000人の8号車と「AwA踊り」

「AwA AwA」のサビをアレンジして作られた「AwAAwA音頭」に合わせて踊る実践型の練習を挟み、いよいよ本番へ。安全面を考慮して8号車はその場で踊るスタイルとなったものの、ステージでは実際の盆踊りのようにメンバーが踊りながら円を描く。陽の落ちた会場で振りと一緒に揺れるペンライトは華やかで、9人の動きに合わせて心地よい光の波を作り出していた。

ついに、イベントもラストスパート。「AwA AwA」の披露に向けて、シューヤが「ハッハッハ」と声出しを始め、「おおおおお!」と盛り上がる8号車。なんの気なしにシューヤが「けっこう冷めちゃったからね」と口走ると、「温まっただろ、お前」「何言ってんだよ」と、ここぞとばかりにメンバーがツッコミを入れてく。ここまで控えめだったハルも「どういうことだよ!」と飛び出し、怪獣の本領を発揮。とはいえ、そこから進展はなく、「何も生まれなかった」笑いでほのぼのと決着がついた。

機を熟して迎えた「AwA AwA」のパフォーマンスは、圧巻のクオリティだった。今年の4月から8月にかけて行われた『BULLET TRAIN Spring tour 2024「Rail is Beautiful」』により、ダンスも歌も一段と磨きがかかり、表現力の幅が増幅。それでいて、超特急を語る上でキーとなる単純な楽しさだって健在だ。ラストのサビでは、空に向けて大量のシャボン玉が放出。澄んだ夜空に、超特急からのエールと幻想的な泡が弾けたのだった。

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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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