日常の中にまだこんな冒険が残っていたなんて!
前回に続き、我が街石神井公園のスーパーを舞台に見ていってみよう。真っ先に思いつく2階のあるスーパーといえば、「ライフ」だ。北口にある大型店で、1階の売り場と同じ広さの2階フロアが存在する。日用品や調理器具、医薬品なども扱う、なかなか気合いの入った2階だ。
エレベーターで登ってゆくと、すぐにお決まりの婦人服コーナー。要するに、街でオーソドックスなおばさまたちが着ている「ああいう服ってどこで売ってるんだろう?」と疑問を抱くタイプの服が、ずらりと並んでいる。頭上には「ミセスコーナー」の表示。あぁ、なんたるノスタルジー。
つづいて、昔、土日にお父さんが家で着ていたような真っ白いVネックTシャツがこれでもかと並ぶ。その先に靴のコーナー。意外にもシンプルなデザインのスリッポンシューズが1590円と手頃に売られており、これは普通に買いたい感じ。が、僕が興味を惹かれたのはその横に並ぶ、いわゆる「便所サンダル」だった。何年か前からベンサンが妙に気になり、サンダル業界で評価の高い「ギョサン」の茶色を愛用している。が、数年使っていたらさすがに経年劣化しはじめ、どうしようかなぁと思っていたところだった。かかと部分に「Color Step」と書かれたいかにもなデザインのベンサンを手に取ってみる。こういうサンダルって素材がカチカチで、すぐに靴擦れができてしまいそうなイメージがあったけど、こいつは柔軟性があり、足にしっかりとフィットしてくれそうだ。ソールも厚く、かなり高品質なものに感じる。しかも破格の598円。近所で履くにはバッチリなんじゃないかと、購入を決意。そこでふと思う。「冒険してみるか……」と。僕は、いわゆるベンサンカラーである茶色の横の、ビビッドな緑のほうを手にとり、レジカウンターへと向かった。
地元のローカルスーパー「まなマート」に2階はないけれど、すぐ横に別館である「2号館」があり、これもスーパーの2階の変則形といえるんじゃないだろうか。よく考えると僕は、毎日のようにまなマートに寄りつつ、この2号館には足を踏み入れたことがない。それに気づいたときには、日常の中にまだこんな冒険が残っていたなんて! と大興奮した。いざ、まなマート2号館へ。