中居と二宮が語る、SMAPと嵐はお互いをどう思っていたか
そして秋元康はふたりに「同じ事務所にいてSMAPと嵐がお互いどう思っていたか」と問う。
中居「(嵐は)全員の人柄がしっかりにじみ出ているグループっていうのかな」
恐縮しきりの二宮を尻目に中居はこう続ける。
中居「なんかこう、やっぱり平均的な人のよさが高いような気がする。まぁ、いろんなグループのかたちがあるけど、嵐はそれがテレビに本当ににじみ出ているなって。隠せないから。それが僕らとはちょっと離れてるかな。(SMAP)は人のよさがにじみ出ているグループじゃないっていうかな(笑)」
中居「アイドルとしてはきれいな模範にしていいっていうか、後輩が目指していいアイドルは嵐だったんじゃないかなって」
二宮「いやー、うれしい」
中居正広の言うとおり、バラエティ番組に出ている嵐を見ていると本当に5人の仲のよさが伝わってきたし、なにより安心できた。誰もが知るスーパースターでありながら、同時に「親戚の兄ちゃん」の雰囲気があった。『VS嵐』(フジテレビ)で少年のようにはしゃいでいた5人を観ていると「実家に行ったらいるんじゃないか?」とすら思ったことがある。
そして嵐のすごさは、その清潔感を保ちながらも、そこに確かな「幅」を生み出せることだと思っている。そのひとつとして、音楽や出演作品で時折見せる「闇嵐」の面がある。
楽曲で言えば「P・A・R・A・D・O・X」、ドラマや映画でいえば、大野智は『魔王』(TBS)、二宮和也は映画『青の炎』、相葉雅紀は『貴族探偵』(フジテレビ)、松本潤は『スマイル』(TBS)、櫻井翔は『ザ・クイズショウ』(日本テレビ)、普段は好青年で明るい5人だからこそ、心の闇や哀しみを抱えた人間を演じたときの迫力は凄まじく、その振り幅にいつも狂わされてきた。
対して、二宮はSMAPについてこう語っていた。
二宮「怖いですよ。恐れずに言わせてもらうと、こんなにいろんな方面のカリスマがそろっていて、よくグループとして成り立ってたなと」
秋元「アートディレクターの選び方とかさ、いち早く作曲家、いいアレンジャーを使ったり、CMのプランナーとか、あそこはすごかったよね」
中居「“いびつ”のようなものをうまくオマージュしてくれるというか」
中居正広はあくまで自分たちの成功を「まわりの力があってのこと」のように語っていたが、間違いなくSMAPだからこそ成り立っていたことを私は知っている。SMAPの作る五角形(六角形)は、確かにものすごくいびつだったのだが、それが唯一無二の個性になっていた。
たとえば、アイドルに限らず複数人が歌うグループは、ファン以外には誰がどこのパートを歌っているのか聴き分けられないことが多いが、SMAPに関しては、何があろうとすべてのパートにおいて誰の声かを聴き分けることができた。それほどまでに声の個性がまったく違う。これは本当に異常な要素だと思う。そしてそのバラバラな声が重なり、一瞬、完全な「1」になる。そのときのパワーは何ものにも代えがたい凄まじい輝きを放っていた。
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