伊東歌詞太郎「僕は嘘をつかない」理想郷だったニコ動の衝撃と“歌ってみた”が変わってしまった理由
歌い手、そして現在はシンガーソングライターとしても活躍している伊東歌詞太郎。注目の声優・アーティストの人生をアニメソング・アニメから紐解く『A-LIFE』(DMM TV独占配信)第4回に登場し、スタジオライブを披露すると共に活動に込められた想いを語った。
QJWebでは「歌い手・伊東歌詞太郎」をクローズアップ。歌い手としてのこれまでとこれから、そして“アーティスト”に対する熱い想いとは?
目次
「歌ってみた動画」で世界が変わっても、やるべきことは変わらない
──「歌ってみた」を始めたきっかけを教えてください。
バンドを解散したあと、音楽をつづけていくためにいろんなことをやりました。自治体にかけ合ってお祭りに出させてもらう、飲食店でライブをやらせてもらう、路上ライブをやる。
その中のひとつが、「歌ってみた動画」をインターネット上にアップロードすることだったんです。本当に藁をも掴む中の藁のひとつでした。
──初めてニコニコ動画に投稿されたときの反響に対して、お気持ちはいかがでしたか。
1日で約1万再生されて、当時の自分にとっては天文学的な数字でした。
バンドをしていたころも、自分たちの路上ライブを観た方がネットに動画をアップしてくれていたんですけど、1日10再生、いや、5再生でも3再生でもいい。3再生あったら、昨日3回誰かが観てくれたんだな、と思えるのですごくうれしかったんですよ。
そういう世界にいたので、1日1万再生は「これ本当に?」と心の底から驚きました。
──そこからご自身の世界も大きく変わったんですね。
そうですね。でも、やっていることは変わっていないんです。いい音楽を作って、いいライブをして、それを聴いてもらうためにはどうすればいいかを考えていくことだと思うので。でも、ライブに来てくれるお客さんの数が大きく変わったのは間違いない事実でした。
──活動をされていく中でターニングポイントになったな、と感じられる楽曲はありますか。
たくさんあるんですけど、ひとつは「ピエロ」という楽曲を投稿したときですね。
当時は、ボーカロイドで新曲が出たら、いかに早く聴いて「歌ってみた動画」を投稿するかが重要だったんですけど、僕は自分自身が歌いたいと思った楽曲だけを投稿していました。
「ピエロ」は、僕が動画投稿を始める前からあった曲で、すでにいろんな人が歌っていましたけど、すごくいい曲だと思ったから投稿したんです。それ以来、いろんな人に聴いていただけて、僕が歌う「ピエロ」を聴きたいと言ってもらえるようになりました。
もう一曲は、その翌年にカバーした「チルドレンレコード」ですね。
この楽曲はカゲロウプロジェクトとして投稿されていました。カゲプロの曲は世間的に難しいと認識されていて、みんななかなかカバーをしなかったんですけど、僕はカバーできるだろう!という気持ちで歌って投稿して、非常に多くの人に聴いてもらえました。
「ニコニコ動画は理想郷だった」CDが売れなくなった時代の衝撃
──ニコニコ動画に投稿されていた当時のことを振り返ってみていかがですか。
当時、CDが売れない=音楽を聴く人が減ったんじゃないか、という認識が音楽好きや音楽業界にありました。もう一点、メジャーレーベルにプロモーションをしてもらわないと多くの人に知ってもらう機会がないという、いかんともしがたい閉塞感もあったんですよね。
でも、ニコニコ動画など、インターネット上では視聴者や音楽リスナーが能動的にいいものを探して拡散しているんですよね。その動きが僕の中では当時、大変な衝撃だったんですよ。音楽好きな人がこんなにたくさんいるじゃん!って。
音楽が聴かれない世の中になっているはずがない、と僕も思いたかったので、その事実を目の当たりにして、すごくうれしかったのを覚えています。CDで音楽が聴かれなくなっても、インターネット上で聴く人は増えている。音楽への熱量はずっと変わらないんですよね。
──驚きの中には、そういう喜びやうれしさがあったんですね。
そうですね。大人が売りたい音楽以外にも、いい音楽っていっぱいあるんですよ。なのに、そういう音楽って世間に認知されないまま消えていっていた。
でも、インターネット上には、こんなに能動的にいい音楽を探している人がたくさんいるんだ!と気づきましたし、いいと思ったら拡散までしてくれる。こんな理想郷みたいな場所があるんだな、と思ったほどです。
“アーティスト”と“エンターテイナー”は違う
──当時と比べると、今はYouTubeやTikTokなどで「歌ってみた動画」を投稿する人が増えてきていますが、そのぶん、誰かが突出することがすごく難しい時代にもなっているのかと思います。
難しくなったのは、大人が介入したからですね。
アーリーアダプターの人が、まずそのプラットフォームでおもしろいことをやるんですよ。そうすると、ノーマルな感性を持つ中でも少し流行に敏感な人たちがやってきて、さらに人が集まり、盛り上がっていく。
そのあと、利益を追求する大人たちが入ってきて、今まで盛り上がっていた人たちが「なんかつまんなくなってきたね」と言っていなくなる……というサイクルを繰り返しています。
カバー業界は大人が入ってきたことで、音楽業界に関係ない人たちが能動的にいい音楽を探して、喧伝していく世界ではなくなってしまったんですよね。
でも、音楽をまったく聴かない人はいないんですよ。今までのように人生をかけてそのアーティストを好きになって応援するのではなく、もっと広く聴くようになっていく。それはサブスクリプションのおかげですし、自分の音楽が多くの人に聴かれる可能性がすごく高まっています。そういう全体の総数で見るべきかな、と思っています。
──今の時代に歌手として成功するために必要なものはなんだと思われますか。
何が成功かという定義にもよると思いますが、まずは、本当に音楽が好きかどうかを自分に問うこと。
今ライブに来てくれるお客さんは何人いますか、お客さんが0になってもあなたはライブをやりますか。自分がライブをしたいからやっているのか、お客さんが聴いてくれるから、チヤホヤされるからやっているわけではないかを突き詰めて考えるべきなんです。
その気持ちを持って、売れようが売れまいが、つづけていくことが大事。つづけていった先に、人に認知される未来が必ずあるんですよ。
けど、そこまで音楽好きではないのなら、徹底的にエンタテインメントに徹することが大事だと思います。キャラクターを作って、マーケティングをして、自分はどんなお客さんを刺したいのか、もしくはどんなお客さんに刺さるのかを考えて、徹底的に塗り固めていく。世の中には圧倒的に後者のほうが多いと思います。
──どちらにしても、まずはいったん自分と向き合うということですね。
そうですね。向き合わないとだめだと思います。
今はYouTubeやTikTokに簡単にアップできるようになって、ある意味、門戸が広がったと思うんですよ。つづけていくうちに悩むこともあると思いますが、悩んだまま中途半端にやっていたらつづきません。
そこで自分は音楽が好きなのか問いかけて、そうじゃないなら、そこからどういう嘘をついてエンタテインメントにしていくのか、ということまで考えられたら、一生の仕事になるんじゃないかな、と思いますね。
──ちなみに伊東さんは、嘘をついたことはありますか。
僕はないんですよね。嘘をついていたら、それは“エンターテイナー”なんです。でも別に悪いことじゃないんですよ。お客さんは感動するし、お金が生まれる。エンタテインメントとして最高なんですよ。
僕は“アーティスト”なんです。アーティストは嘘をついたら自分の人生がアートではなくなってしまいます。
でも、どんな活動をしている人間もアーティストと呼ばれるから、これがややこしい。だから、真のアーティストと、エンターテイナーの音楽は分けて聴いてほしいな、というのが僕の願望です。そうしないと、自分で自分の感性を守れなくなってしまうから。
“歌”という存在そのものになりたい
──今後歌い手としてどのように活動されていきたいか、展望を教えてください。
中期的には、まずは武道館を埋められるアーティストになりたいです。長期的には、歌がうまくなりたいですよね。
──さらに!
終わりがないんですよね。音楽って、到達したい場所まで辿り着いた瞬間にまた目指したい場所ができている。一生満足できないのはうれしいことなんですけど。
もっというと、“歌”という存在そのものになったらどうなるんだろう、と思ったりしますし、衰えないように歌を歌っていきたいですね。
そして、その年で歌えるなんてすごいよね、ではなくて、全力で歌える状態で死んでいくのが自分の人生としては最高です。今はそこに向かって歩いている状況ですね。
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DMM TV『A-LIFE』
2023年6月24日(土)23時より#04をDMM TVにて配信開始。
#01 内田真礼、鈴木みのり(配信中)
#02 JUNNA、Morfonica(配信中)
#03 奥井雅美、Machico(配信中)
#04 伊東歌詞太郎、井口裕香(配信中)Anime song・Animation・Artist=A-LIFE
今、注目の声優・アーティストの撮り下ろしライブ映像をお届け!
トークコーナーでは、ほかでは聞けないアーティスト人生にまつわるエピソードが満載! ゲストそれぞれが辿ってきたA-LIFEとはいったい……。
人気・注目の声優・アーティストをゲストに迎え、人生のターニングポイントとなったアニメソング・アニメにまつわるエピソードを深堀り!
さらに、思い入れの深い楽曲や新曲を、番組撮り下ろしのライブ映像でお届けします。楽曲に込められた想いと一緒にお楽しみください。
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