Wヲタク漫才で知られるお笑いコンビ・カラタチの前田壮太。推しへの思いだけを原動力に、ネタを作り、舞台に立っている前田だが、先日、推しである櫻坂46の武元唯衣がグループからの卒業を発表した。失意の中にいる彼は、これからどのように前に進んでいくのだろうか。卒業に対する心情から、これからの前田の芸人人生についてまで。短期連載「推しメンの卒業に寄せて」として、綴っていく。
武元が櫻坂46(当時は欅坂46)に2期生として加入した2018年から、一途に武元だけを推し続けてきた前田。第2回はそんな約7年半の間の特に忘れられない思い出を振り返る。
櫻坂46・武元唯衣ちゃんと僕
どうも吉本興業で芸人をやってますカラタチというコンビの前田です。
前回は推しの櫻坂46・武元唯衣ちゃんの卒業発表を受けて、正直な気持ちを書かせてもらいました。読んでくださりありがとうございました。
第2回の今回は武元唯衣ちゃんとの思い出を少し書いていこうと思います。
僕が唯衣ちゃんを推し始めたきっかけは日本武道館で行われた『お見立て会』という、新メンバーお披露目会でした。
正直、最初は顔で好きになりました。大きなスクリーンに映し出された唯衣ちゃんを見てほかのメンバーとは違う胸の高鳴り、そして胸の奥がキュッとなるような感情を覚えました。
この感情は現実世界だったら、学校やバイト先や会社だったら「恋に落ちた」と表現するのでしょうが僕らヲタクの世界では「推しが決まった」ということになります。
「恋」も「推し」も一緒、突然やってくる。
無理やり見つめようとしてもうまくいかないことが多いです。
そこから唯衣ちゃんを推し続けて7年半。たくさんの思い出ができました。
一番の思い出は「ミーグリ」と呼ばれるスマホなどを使ってできるオンラインお話し会です。
唯衣ちゃんがグループに加入してすぐにコロナ禍になり握手会が中止になりました。その代わりにミーグリが始まったのです。
初めてのミーグリ。緊張しました。
部屋の中でやろうとするも、ワンルームの狭い部屋では緊張が爆発しそうで近くの公園に行きました。
その日は土曜日、公園にはたくさんの親子連れがいました。
アプリ内に入室し自分の番を待ちます。その間、僕のまわりを子供たちが駆け回ってました。
ミーグリの日程が決まってからあんなに楽しみにしていたのに、不思議なものでいざ直前になると逃げ出したい気持ちになりました。
「何を話せばいいんだ」
「推しのきれいな瞳に自分なんかが映るのが申し訳ない」
そんな感情がぐるぐると僕の中を駆け巡りました。
10分ほど待ったでしょうか。ついに僕のスマホ画面に「次はあなたの番です」と表示されました。
来た。
「ちょっと待ってまだ心の準備できてない!」
そうスマホに向かって言いたかったけど、機械は無愛想で無慈悲です。
僕の意思など関係なく画面上で「3、2、1」とカウントダウンを始めました。
カウントダウンが終わると僕のスマホ画面に唯衣ちゃんが現れました。
「あぅあ!」
緊張で口が回らずよくわからない声を出してしまいました。
「しまった……失敗した」
そう思って一瞬で心が折れかけたとき、画面の中の唯衣ちゃんが信じられない言葉を発しました。
「もしかして、カラタチの前田さんですか?」
「え! あ!? えっと、はい!」
そこから何を話したか思い出せないくらいパニック状態になりました。
唯衣ちゃんが僕のことを認知してる?
自分から名前や芸人をやってることを名乗ったことはありません。
唯衣ちゃんは「『アメトーーク!』観ました!」と続けました。
どうやらそのちょっと前に僕が初めて出演した『アメトーーク!』(テレビ朝日)を観たらしいのです。番組内で僕は唯衣ちゃんの話をしました。
そしてそのときの『アメトーーク!』で共演させていただいたFUJIWARAの藤本(敏史)さんと別の番組で共演していた唯衣ちゃんは藤本さんからも僕のことを聞いたとも言ってました。
後日、藤本さんにお会いしたときめちゃくちゃ感謝してることを伝えたら、あまり関係性のない後輩が変なテンションで来たものだからちょっと戸惑いつつも「気持ち悪いな!」と笑顔で優しくツッコんでくれました。
生まれて初めてアイドルから「認知」をしてもらうという経験をして舞い上がった僕は初めてのミーグリ終了後、「こういうめでたい日は肉だ!」と思い「いきなり!ステーキ」に行って一番高いお肉を食べました。
ちなみに、ミーグリが始まる前に僕のまわりで駆け回ってた子供たちや家族連れは僕がミーグリを終えスマホから顔を上げると、みんな僕から距離を取って遠くのほうで遊んでいました。
その日の夜は眠れず、布団にくるまって「一生唯衣ちゃんを推していく!」とつぶやいていたら外が明るくなっていました。
ただ僕の場合「名前や顔を覚えてくれた」という認知と同時に「あの人一応私よりも芸歴が上らしい」という認知もあり、そのあとのミーグリで唯衣ちゃんは僕の顔を見るなり「お疲れ様です!」と言ってくれるようになりました。
一度、櫻坂46のライブ中に唯衣ちゃんが客席の僕を見つけてくれたことがあります。そういうとき、普通だったらアイドルはヲタクに手を振ったりするんだと思いますが、唯衣ちゃんは僕に対して一礼をしました。先輩だからです。だから僕も頭を下げました。唯衣ちゃんの人柄がそれだけでわかります。
唯衣ちゃんはすごく礼儀正しくて律儀。

僕と唯衣ちゃんはロミオとジュリエット
もうひとつ、一生忘れられない思い出があります。
去年の夏に行われたテレビ朝日の『サクラミーツ』という唯衣ちゃんがレギュラー出演している番組の公開収録です。
観覧に当選した僕は当日会場のうしろのほうの立見席で櫻坂46メンバーの姿を見ていました。
公開収録が始まってしばらくしたとき、イベントのMCを務めていた相席スタート・山添(寛)さんが「そういえばカラタチの前田とかも客席にいるんですかね?」と言ったのです。
その瞬間、僕は条件反射的に手を高く上げ「唯衣ちゃーん!」と叫びました。
ザワザワする会場、スクリーンに抜かれる僕の顔、ザワザワから苦笑に変わる会場。
すると、ステージ上の唯衣ちゃんも「前田さーん!」と僕のほうに手を振りながら叫び返してくれたのです。
僕も「唯衣ちゃーん!」と叫び返しました。
そして唯衣ちゃんも「前田さーん!」とまた返してくれました。
「唯衣ちゃーん!」
「前田さーん!」
客席とステージ上からお互いの名前を呼び合う。まるでロミオとジュリエットのようでした。
「あぁ唯衣ちゃん、どうしてあなたは唯衣ちゃんなの」
ステージ上のアイドルと客席のヲタク。ロミオとジュリエットのように僕たちは立場が違いました。
ほかのお客さんからしたら「なんだこれ?」だったでしょうが、そのやりとりをみなさん笑ってくれました。

あの日、客席の後方から全力で叫んだ「唯衣ちゃーん!」。
僕は一生忘れません。あれ以上に大きな声はもう出せないかもしれません。
イベント終了後、山添さんに「ありがとうございました」とLINEをしました。
山添さんはひと言「おもろかった、ありがとな」とだけ返信してくれました。
一生忘れられない夏になりました。唯衣ちゃんも忘れないでいてくれるといいな。
まだまだ唯衣ちゃんとの思い出はたくさんありますが、書ききれないのでそれはまた別の機会に。
今回も読んでくださりありがとうございました。
これからも唯衣ちゃんとの思い出が増えることを願って。


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