舞台を中心に活動をスタートし、数々の人気シリーズ作品に出演、現在は映像でも話題作にレギュラー出演するなど多方面で注目を集める俳優・木津つばさ。28歳になった今、「国民的俳優になる」という夢の途中にいる。
広島から上京した日のこと、コロナ禍で舞台に立てなくなった日のこと、“2.5次元俳優”の肩書に悩んだことなど、自身の言葉で赤裸々に綴るエッセイ連載『舞台にさよならを言う前に』。
【第2回】心を救ってくれた恩師の言葉
今回書かせていただく内容は「地元」がテーマになります。
皆様、改めまして木津つばさです。僕は、広島県の広島市に生まれ育ちました。そんな幼少期の僕について、少しお話をさせていただけたらと思います。
僕が生まれ育った町は、特に田舎すぎず、まわりにはコンビニがあって、塾があって、地元ならではのスーパーがあって、みんなが集まる公園やカラオケ店があって、とはいえ山に囲まれたりはしていて、地域の皆様と楽しく仲よくをモットーに、地域行事にもたくさんの子供たちが参加する、とても健康的な町でした。
実家が文房具屋さんの幼なじみがいたり、山の上で育った幼なじみがいたり。僕は友達と一緒にスポーツを始めてみたりと、特に変わり映えのない日常だった気もします。
ただ、少し前に発売された芸能活動10周年を記念した写真集でも取材していただいたのですが、僕自身の人生はけっして平坦と呼ばれるものではないのかなとも思います。
かなり生い立ちの深い部分まで書かれているので、気になった方がいらっしゃいましたら、そちらもぜひご購読いただけると幸いです。
小学校の入学式で出会った“S先生”
ここからは、少しさかのぼって小学生のときの話をしたいなと。
幼少期の話が少し恥ずかしい年頃な気がしている28歳。とはいえ、前述した写真集でもまだあまり語ってはいない「小学校の担任の先生とのエピソード」が濃すぎるので、今回はそちらのお話をさせていただきます。
小学1年生の入学式。クラス発表を終えた少年はてくてくと、自分がこれから1年間を過ごす教室へ歩を進めました。
学校では、初日からすでに暴れ回る子がたくさんで大変。教室の前で、大声の「はぁぁぁいぃぃれぇぇぇ! 教室にぃぃぃぃ!!」という怒号。その声を発した先生のことを、ここでは“S先生”と呼ばせていただきます。
それが、人生における恩師・S先生との出会いでした。

小さかったあのころ(特に身長)、クラスのみんなとなじめるか不安で、ずっとソワソワしていた記憶が今もあります。昔、WEBに連載したエッセイにも書きましたが、隣の席の子に初恋をしたり……などがありました。
引っ込み思案だった僕の背中を押してくれた
特に思い出に残っているのは、ふたつ。
ひとつ目は、毎年S先生が、自分の名前を逆さ読みした名前で、生徒たちに年賀状を送ってくれていたこと。僕でいうと「さばつづきくんへ」的な。今思うと、なぜだろう?(笑)
書かれていることは「今年も元気に! 幸せに!」。すごくまっすぐな言葉を紡いでくれる先生だった気がします。
僕は、やりたいことにまっすぐに向かっていくタイプだったと思うのだけれど、本当の意味では、自分の凡才具合と劣等感と常に戦っていた少年でした。
先生から見た僕は、かわいいマッシュルームカットの子供だったのだろう。家庭訪問では、家族に僕の話を楽しく自慢げにしてくれていたらしい。
引っ込み思案で、校庭にもなかなか顔を出さない、しゃべらない、あまり笑わない、教室の隅で突っ伏してダラダラしている僕に、「それはカッコよくないよ。外に出て走り回れ〜!」と背中を押してくれた。
出たはいいものの、花壇とにらめっこ。
手打ち野球をしている同級生に手を引かれ、やってみるも無惨に空振り。結果、クジャクのいる飼育小屋の前で、座って見学。
先生が来て「どう? 楽しいでしょ、外」
「楽しい」
ずっとずっとずっと寄り添ってくれていたS先生。
小学5年生のとき、久しぶりに担任になりました。春休みが明けて、なぜかめちゃくちゃ身長が伸びた僕に向かって大泣き。本当にうれしかった。
これだ!!といった特別感のあるエピソードはないけれど、僕にとってはとっておきのお話です。
「自分がやりたいことをやりんさいよ」
そしてふたつ目は、小学校の卒業式。少し大人びた表情をしたあの日。
サッカー少年だった僕に、S先生は「きっといいことあるけぇ、自分がやりたいことをやりんさいよ。絶対にあきらめらたらいけんけぇね」と言ってくれた。
文字にすると、あまり魅力が伝わってこないかもしれませんが、小学生の僕にはすべてが詰まった言葉でした。

先生の言葉を大切に生きてきた人生でした。
先生、もう28歳になりました、今、僕はやりたいことをやってます。自分が楽しいと思うことを続けてます。まだまだあきらめてません。ありがとう、心を救ってくれて。
そう、伝えたいな。
先生も、元気でやっていてください。
きっとこれからも、あなたの目に映る僕は、あのときの泣き虫な僕のままです。
顔つきだけは、すこーしだけ大人になってますけど。
木津つばさエッセイ連載『舞台にさよならを言う前に』過去記事はこちら
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