超特急が更新し続ける「超エンタテインメント」。初乗車ライターが体感した唯一無二のライブ

2026.2.28
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

撮影=米山三郎、笹森健一

文=日比楽那 編集=森田真規


9人組メインダンサー&バックボーカルグループ・超特急が、アリーナツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』の最終公演を2026年2月20日、21日に東京・国⽴代々⽊競技場第⼀体育館で開催した。

ここでは11月25日の東京ドーム公演へ衝撃発表もあった2月21日に行われたライブの模様を、今回が初乗車(超特急のライブでは観戦することを乗車という)となった20代のライターがレポートする。

楽曲とキャラを引き立てていた8パターンの衣装

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』のテーマは、ツアータイトルにもあるとおり「REAL?」。パフォーマンスの合間には、「現実」や「本物」や「真実」を問いかけるようなナレーションが流れ、そのたびに、超特急の最高のリアルを見せつけられるような構成だった。

オープニングムービーでは、メンバー一人ひとりがワクワクとした表情でゲームのコントローラーを手にする。これから始まる世界を予感させる映像に、1万人超の8号車(超特急のファンネーム)の期待が高まるのが伝わってきた。

満を持して幕を開けたライブの1曲目は「REAL」。ステージ上に横たわっていたメンバーがひとりずつ立ち上がり、順番にメンバーの顔がビジョンに映し出されると会場からは大きな歓声が上がる。モノクロの背景に、赤と黒を基調としたメンバーの衣装がよく映えていた。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

9人がステージ上に広がり、横に並んで歌い踊ると、まるで超特急というグループがひとつの生き物のように見えてくる。なんだろう、この最強感! ダンスと歌で、8号車をどこまでも連れて行くという強い意志が具現化されたような始まりだった。

2曲目ですでに2着目の衣装を身にまとう9人。今度はRPGの勇者たちのような出立ちで、マント姿で剣を持ったリョウガを筆頭に、ドラゴンと闘うというストーリーが繰り広げられる場面も。コミカルなお芝居で盛り上げるリョウガ。圧倒的なパフォーマンスで観る者を魅了しつつ、要所要所で笑わせてくれるのが超特急のライブの楽しさだと実感した。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

そんな今回のライブでは、実に8パターンもの衣装がメンバーと楽曲のキャラクターを引き立てていた。コンセプトを共有しながらそれぞれの違いがある衣装も、統一感のあるそろいの衣装も、どちらも素敵だ。

3曲目の「AwA AwA」では、タカシのキラキラな笑顔と決めセリフ「まあ、かっこつけさせてよ」に沸いたかと思えば、「リセットボタンがあったらな」の歌詞どおり、曲がリセットされてしまう演出も。すかさずわちゃわちゃと9人が同時に話し出し、仕切り直し、スピードアップバージョンの「AwA AwA」が始まる。「マネしてみてね〜」と阿波踊りふうの振り付けのレクチャーをしながら1列になって花道を行く。バックステージでのダンスブレイクも鮮やかだった。

9人から感じた異なる個性

全編を通して、花道を歩くときやトロッコで会場を一周するときには、客席の一人ひとりと目を合わせるようなメンバーの姿も印象的だった。MCは2箇所と少なめだったが、ライブ構成と演出、一曲一曲の見せ場から、各々の人柄が感じられる。

ハイトーンの髪をハーフアップにしたスタイリングと、眼帯やメガネなど、衣裳に合わせて身につけた小物すべてがあり得ないほど似合う2号車・カイ。リーダーらしく、瞬く間にどんなムードも作れる3号車・リョウガ。クールな表情と謎めいた言動のギャップがたまらない4号車・タクヤ。ライブの総合演出を担当し、その全体を見渡す眼差しにも惚れ惚れしてしまう5号車・ユーキ。柔らかな笑顔と関西弁がチャーミングな7号車・タカシ。

カイ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
カイ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
リョウガ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
リョウガ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
タクヤ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
タクヤ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
ユーキ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
ユーキ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
タカシ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
タカシ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

パワフルで安定した歌声からも、その頼もしさが伝わってくる11号車・シューヤ。肉体美とダンスでどこまでも魅せる12号車・マサヒロ。まっすぐな性格が踊りからも表情からも見て取れる13号車・アロハ。花道をダッシュで往復し、カメラを奪ってはしゃぎ、最年少の怪獣っぷりを発揮する14号車・ハル。

シューヤ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
シューヤ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
マサヒロ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
マサヒロ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
アロハ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
アロハ/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
ハル/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
ハル/『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

MCでは、ツアーを振り返りつつ、タカシがメンバーに手作りプリンを贈ったというバレンタインの話題も。仲睦まじい様子でエピソードトークでも笑わせてくれ、生配信でライブを観ている8号車への呼びかけも忘れない。

どこまでも夢中にさせられたパフォーマンス力

ライブの演出は多岐に渡り、9人が登場人物となった架空の恋愛シミュレーションゲームのような映像が映し出される一幕も。王道のアイドル像もしっかり見せてくれる、超特急の幅の広さを感じる。

メドレーの一部として披露された「ikki!!!!!i!!」はイントロから8号車のコールが響き渡る。メンバーが扇子を振る度に会場中の9色のペンライトも弾み、一気に会場のボルテージが上がった。

メドレーに続く「You Don’t Care」ではすっかりアダルトな雰囲気。さっきまでステージ上を縦横無尽に駆け回り、本気の変顔で笑わせた彼らから一変した、しなやかなダンスと真剣な表情にクラクラする。

さらに、「スピカ」は、ボーカルのふたりきりでのパフォーマンス。スポットライトに照らされたタカシが1番を歌い上げると、その表現力にこれでもかと引き込まれる。2番から現れたシューヤはまた違う色の甘い歌声とハイトーンで会場を虜にした。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

「Steal a Kiss」では、魔法にかけられたような驚きの瞬間も。「こっちだよ」というセリフとともにバックステージに照明が当たると、なんと、メインステージにいたはずの9人がそこにいる!

前回のツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2024-2025 “Joker”』から引き継いだ演出で披露された「JOKER FACE」では、仮面を外し食いちぎるハルの不敵な笑みがハイライトだろう。

「Countdown」では途中、音が消え、静寂の中でのダンスパフォーマンス。そろった足音とかけ声が生で聞こえ、シンプルな白い照明が黒い衣装に反射するさまもきれいだった。そんな、思わず瞬きを忘れ、息を呑むようなステージが次から次へと畳みかけられる。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

「超エンタテインメントを見せてもらった!」というのが、筆者が初めて超特急のライブを観た感想だった。メンバー9人のさまざまな表情と、個性が幾どおりにもかけ合わされた相乗効果の盛り上がりから、1秒たりとも目が離せなかった。笑いあり、涙あり、見どころ盛りだくさんでありながら、あっという間の3時間半だった。

メインステージには立体的な配置による巨大ディスプレイとセットがあり、楽曲と演出に合わせて、そこは、ドラゴンが住まう城にも、コンピューター世界にも、爽やかな風が吹き抜ける遊園地にも、果てしなく広がる星空にも様変わりする。そんな世界観に合わせてメンバーもいろいろな表情を見せてくれるから、どこまでも夢中にさせられた。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

リョウガ「僕の涙は東京ドームにおあずけです」

本編が終わると、アンコール後のMCでは、リョウガが切り出す。発表されたのは、2026年11月25日の東京ドーム公演。デビュー当時からの彼らの夢だったという東京ドーム公演の発表の瞬間に立ち会うことになった。全身で喜びを表現するメンバーや、深々とお辞儀をするメンバー、涙ぐむメンバーを、割れんばかりの歓声が温かく包み込んだ。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

一人ひとりが、8号車への感謝やメンバーへのリスペクト、東京ドームへの意気込みを口にする。

「手を取り合って来た」2桁号車のメンバーへの感謝と「居場所を作ってくれた」1桁号車のメンバーへの感謝を伝えたハル。「タカシくんを支えるために超特急に入りたいと思った」「この9人だったら、東京ドームを超えてもっと先の未来をも描ける」と話すシューヤ。晴れやかな表情で「待たせたな!」と言い、「東京ドームに立てるのが今の超特急のリアル。15年かかったけど、15年かけるべきだった」と締めるユーキ。感極まって、「ちょっとみんな1回抱きしめて……」とメンバーへの愛情を爆発させたカイ。そして、「ラスボスを倒しても超特急は終わらない。僕の涙は東京ドームにおあずけです」とまっすぐな瞳で語ったリョウガ。

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 REAL?』より(撮影=米山三郎、笹森健一)

夢の大舞台である東京ドームと、15周年のアニバーサリー、そして、その先の未来まで。やはり、超特急はダンスと歌で、8号車をどこまでも連れて行ってくれるのだろう。一曲一曲のパフォーマンスへの期待感と、グループの未来への期待感のどちらもが、ここまで膨らむのは、並大抵のことではない。

今回のツアーテーマ「REAL?」は、「真実とは?」「現実とは?」「それは本物か偽物か?」という問いを含むだけではなく、「超特急のリアルを証明し、さらにそのリアルを超越すべく更新していく」という決意の表れでもあったのではないだろうか……と考えさせられた。それはまさに、超特急にしか作り出せない「超エンタテインメント」だった。

この記事の画像(全18枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

日比楽那

(ひび・らな)2000年生まれ。ライター、編集者。映画や音楽などアート・エンタテインメント、ユースカルチャー、ジェンダー、ウェルビーイングなどを中心に、広く企画、インタビュー、ライティング等に携わる。