多くのお笑いファンに惜しまれつつも、2025年3月31日をもって解散した人気お笑いコンビ・パンプキンポテトフライ。しかし、解散からわずか半年後の9月1日、ふたりは再結成を発表した。谷はその理由について、「何か離れて気づいたみたいな昔からあるきしょいやつあるじゃないですか、それです」とポスト。芸人を辞め、正社員として働いていた山名は、「カムバック」と芸名を改め舞台に戻ってきた。
実はその半年前、まさか再結成をするとは予想せず、編集部では『卒業』というタイトルのふたりの解散記念本を発売。学生時代に出会ったふたりが友達から相方になっていた12年間を“思い出”として聞いていた。そこで今回は「再結成を記念」して再び、ふたりのもとへ。終わらなかったパンプキンポテトフライの今とこれからを聞いた。
目次
再結成理由は話し飽きた
──解散から約半年での衝撃の再結成ということで……改めてお話を聞かせてください。
カムバック 恥ずかしながら戻ってまいりました。
谷拓哉(以下、谷) ちょっとあれっすね。自分らで解散して、自分らで再結成して、しかも『Quick Japan』さんには解散本まで作ってもらって、その上でまた来ていただいてあれなんすけど……ちょっともうしゃべるのめんどくさいっすね。
──それ、ラジオでも言ってましたが、勝手すぎます(笑)。
カムバック 特に『Quick Japan』さんには勝手かも。
谷 もうこの話いっぱいしゃべって飽きてるんすよ。「人なんて考え変わるから」で終わり! 話すこと一緒や! 『たっくんラジオ』の再結成回聴いてくれ!
──『パンプキンポテトフライの剣』でも再結成までの経緯はたっぷり話してましたもんね(笑)。再結成後の周囲の芸人さんからの反応はどんなものでしたか?
カムバック 会った人には「よかった」とか「おめでとう」とか言われることが多いですね。「早すぎるよ」とも言われますが……。
谷 「なんしてんそれ」みたいにイジってくれる人もいますね。野田(クリスタル/マヂカルラブリー)さんには「俺は許さないからな」って言われました。

元相方の活躍を「すごいな」と眺める日々
──3月の解散ライブでは湿っぽい話もほとんどせずにさらっとネタをやって終わっていました。あのとき芸人を辞める決断をしていた山名さん……あ、カムバックさん的にはどういう気持ちでしたか?
カムバック どうも、カムバックです(笑)。解散ライブに関してはほんまに楽しかっただけですね。まだラジオの収録が残っていたというのもあるけど、あのライブでは悲しさや寂しさより楽しさが勝った感じでした。
谷 僕は「山名がどうなんねやろ」ってことばっかり気になってました。めっちゃ泣いたり熱々になって握手求めてきたりすんのかなって。急に「写真撮ろうぜ」とか言ってきたらおもろいなとか。でもわりと普通でしたね。俺は芸人続けることが決まっていたので「なんか話せるエピソード残してくれや」ってがっかりしました。
カムバック いや、僕もこいつにがっかりしたんですよ! 「お前は芸人続けんねんからみんなにちゃんとがんばりますって言え」って言ったんですけど、「するかい」とかってちゃんと言わなくて。がっかりでした。
──お互いにがっかりする解散ライブ。
谷 山名の彼女を見られたのはうれしかったですけどね。やばいやつなんすよ。顔真っ白でガリガリで唇真っ赤っ赤で目が虚ろで。タバコ吸ってたらその子が急に近づいてきて「あ、俺終わったな」と思ったんですけど、山名の彼女で。怖ーと思って。ま、でもいい子ですよね。
カムバック いや、その「いい子」だけじゃ全然取り返せてないで。
──解散時のインタビューでは解散後の関係について「不仲解散ではないので友達に戻るわけでもない。ただ会わないだけになりそう」と言っていましたが、実際はどうでした?
谷 まんま言ってたとおりです。再結成するまで連絡も取ってなかったですし。
──カムバックさんはけっこう谷さんが出ている番組を観ていた、とラジオで話されていましたよね。
カムバック というか勝手に出てくるんですよね。僕も彼女もお笑いが好きなので観たい番組を観ていると普通に谷が出てくる。一応彼女も気を遣って「谷くんの出てる番組って……オッケー?」って聞かれましたが、「全然いいよ」って。僕も谷がひとりでどうするのか普通に気になるし。
──元相方としてモヤモヤした気持ちにはならなかったですか?
カムバック それよりは単純に「すごいな」って感じでした。出ている番組が今までライブで一緒になってきた仲間たちとかよりももう一個上のフェーズの番組に出ているなという感じでしたし。すごいメンバーの中にパンプキンポテトフライですらない「谷拓哉」として出てて、「こんなにステゴロでやってるやつあんまり最近の芸人でおらんな」と思ってました。
──じゃあ芸人への未練もなく「ひとりの友人がすごくなったな」という見方だったと。
カムバック そうですね。「自分がもしここにおったら」とか考えてもやっぱ無理やったんやろな、って思ってました。
──谷さん側からカムバックさんを思い出すことはあったんですか?
谷 再結成しようって言ったのは僕ですけど、それまではまったく思い出さなかったですね。こいつの仕事先(ホストクラブ)が芸人まみれの職場なんで、そいつらと会ったときに「山名どうすか?」みたいに聞くことはありましたけど、興味持って聞いてるというよりはただの会話の糸口として“使ってる”って感じでした。こいつのバイト先で働いてる芸人、僕が興味ない人多いんで。
カムバック それ言わんでええねん。
谷 まあでも心配されるとしたら僕なんで。山名は正社員で働き始めて芸人のときより金も増えたやろうし、心配にも値しないって感じでした。
結婚してたら再結成しようと思わなかった
──谷さんもピンでの仕事は順調で、九条ジョーさんとのユニットなどいろいろな選択肢があったと思います。
谷 まず九条とユニットをやったのがけっこう計算外だったんです。マジで「コンビはしばらくいいな」と思ってたんで。ネタも好きじゃないし山名みたいに『M-1(グランプリ)』出たいとかもないんで。ただ九条が「もうライブ決めてきた!」って言ってユニットが始まって、ふたりでの仕事とかも入ってき始めてどうしたもんかなと。
──後輩のピン芸人・まっすぐ加藤さんからも熱心にコンビ結成のアプローチを受けたそうですね。
谷 ある意味、僕の中では九条より加藤の存在が大きかったんすよ。吉本の全然知らん後輩なんですけどいきなり「コンビ組みたいです!」ってネタとか書いてきて。全然おもんないネタなんでネタ合わせとかまではいかないんですけど、「そこは俺だったらこう言うな」みたいな話をして普通に遊ぶようになって。その中で「コンビでやるならどうするか」って頭に変わっていきました。
──そのふたりではなく「山名さんと再結成」と思った一番の理由はなんだったんでしょう?
谷 そのときに「俺、売れたいとかほんまにないんやな」って思ったんです。めっちゃ売れたくてすぐ金欲しいなら九条とやるのがいいんですよ。知名度もあるし話題性もあるから。
──解散時は「次にやるならネタを書けるタイプのボケと組みたい」と言ってましたよね。
谷 九条もほんまにおもろいしええやつなんですよ。でも「加藤もありやな」とか思う時点で俺、楽しいとかのほうが優先なんすよね。もともとそう思ってましたけど俺ほんまにそうなんやなって。しょうもないネタしか持ってこない加藤も九条と同じくらい魅力的に思えて、めちゃくちゃできるわけではないけど楽しくやれそうなやつがええんかなと。それなら知らん後輩より友達のほうがええやんと。「じゃあ山名やん」って感じでした。
──そこで「ピンでええわ」ではなく「コンビでやるほうが楽しい」という気持ちに変わったのはなぜなんでしょう?
谷 ひとりでテレビの収録とか行ってもそこで一緒にやる芸人はピンの人もコンビの人もみんな普段は劇場とか単独ライブでネタやってるんです。賞レースとかでもネタで勝負して、その枝葉でテレビとかラジオとかYouTubeに出てる。その幹の部分がないと何言っても「軽いな」って思ったんすよね。
──芸人というよりテレビタレントになりすぎてしまうという。
谷 別にそれでもいいんすけど、「僕ら本業漫才なんで劇場来てくださいね」っていうものがない人ってなんかエロないな、安いなと感じたんです。でも僕はピンネタはやらないって決めていて「ネタやるならコンビだ」というのがあったんで。
──以前も「ネタがおもしろいというより人間としておもしろいと言われるほうがうれしい」とおっしゃってましたよね。でも人間としての説得力を出すためにはネタをやってることが大事だと。
谷 かもしんないすね。ネタやりたいって感じではなかったんですけど、出たい番組だけ出て言いたいこと言って帰って酒飲んで、って楽やけど魅力はめっちゃ減るなとは思いました。最初はそれでよかったんすけど数カ月経って自分を俯瞰で見たときに「こいつが言うこと誰も聞きたないやろな」と思って。
──それはあくまで谷さん自身の中での感じ方ですよね。外から見ているぶんには大活躍という印象しかなかったので。
カムバック ですよね。だから僕も再結成を持ちかけられたときにまず「大丈夫っすやん。全然やれてますやん。なんで?」って感じでした。
──じゃあ再結成の理由も「ネタをやりたいから」というわけではないんですか?
谷 ではないですね。もちろんネタはやりますけど、ネタがやりたいだけなら九条でもいいわけですし。なんやろな、たとえば居酒屋でよくしゃべりかけてくるおっさんがいるとして普段はワーッと明るく飲んでるだけだけど、ある日「俺、大学生の子供おんねん」って判明したらその瞬間、むっちゃ深み増しません? わかります?
──実はちゃんとした人なんだ、という。
谷 「ここでは楽しくやるためにアホのふりしてるんやな」とか深読みさせる奥行きが出るじゃないですか。自分にはそういうのがなさすぎるって思ったのかもしれないです。
──身を固めているほうが社会では信頼されやすい、みたいな。再結成のことを「よりを戻す」って言ったりしますが、ほんとに離婚と再婚みたいな話ですね(笑)。
谷 たしかに。だから俺、結婚とかしてたら再結成しようと思わなかったかもしれないです。

山名がバイトを辞めても食えるようにはしてあげたい
──パンプキンポテトフライというかたちに戻って一番やりたいことはなんですか?
谷 なんやろな。ほんま楽しくやりたいぐらいで。
カムバック 僕はネタもやりたいですけど、もう一回芸人ができるということ自体がうれしいんだなと思いました。僕もお金とかあんまり気にしたことなくて、芸人やってるってことがただただ楽しかったりするんですよ。それがもう一回できる時点でけっこうやりたかったことができてる感じですね。
──じゃあ本当に元に戻っただけ、という感じなんですね。
谷 ほんまそうですね。正直解散前と同じでいいんです。過剰に仲よくしようというわけでもないし。前にやってたときより楽しくなったら最高だな、ぐらいです。僕はコンビでやってたときよりこの半年のほうがおもんなかったんで。
──あんなに活躍が増えてもひとりだと楽しくなかったんですか。
谷 なんなんすかね。コンビの片方のやつとしてひとりの仕事受けるのと、最初から俺ひとりとして行くのってなんかニュアンス違ったんですよね。山名に「この仕事やばかってん」みたいなこと、「俺がスベりすぎた」とか「スタッフキモすぎた」とか話すことがないから全部現場だけで終わってしまうんです。誰にも迷惑かけないけど誰にも感謝されへんというか、それがほんまに「ただの仕事やん」って感じでおもんなかったんですよね。
──面倒なこともあるけどそれも深いところを共有しているからこそという……なんか聞けば聞くほど「夫婦」のエピソードですね(笑)。
谷 こんなんなん、夫婦って?
カムバック わからんよな。彼女とも違うやろうし。
──解散時は「(仕事が増えて)自分ひとりのことだけでも大変なのに山名の面倒まで見られない」という大変さも話していました。それは一度離れてみて変わりましたか?
谷 どうなんやろう。「こうしてほしい」みたいなのは解散時からも別になかったし今もないんすけど。ただ、今回は社会人として食えてた山名を僕が誘って戻したというのが今までと決定的に違いますね。だからバイト辞められるようにはしてあげたいなと思います。
──山名さんを引き戻した責任として。
谷 そうっすね。山名がテレビに出て売れるとかは僕も操作できないんで、単独ライブを年に1、2回打ってバイト辞めれらるくらいは稼いでとか。そのへんは今までだったら僕だるいからやらなかったですけど。バイト辞めても食えるようにはしてあげたい。
──それも「山名さんを扶養に入れる」みたいな話に聞こえますね(笑)。
カムバック 「お前は年収103万以下に抑えろ」って。誰がパートやねん(笑)。
──カムバックさんも平場など「ネタ以外のお笑いの場が怖い」というのが芸人を辞めるひとつの理由になったと言っていましたが、戻ってくるにあたってそのあたりの不安はなかったですか?
カムバック 僕もなんでかわかってないんですけど、再結成してから前ほど緊張しなくなってるんですよね。一回辞めたっていうのがでかいと思うんすよ。僕も芸人続けてて谷だけテレビ出てるとかだったら同じやったと思うんですけど、「こっちは一回辞めてるやつやねんからそら無理やろ」と思えるようになったというか。こないだライブ出たときに先輩が「お前、ブランクあって俺らのしゃべりのペースについてこられんかったやろ」ってイジってくれたんですけど、「僕、前からついてけてなかったですよ」って言えたんですよ。それ言えたのが自分でも変わったなって。
──そういう自分を受け入れられるようになったと。
カムバック そういえば谷からずっとそう言われてたなって。「できへんもんはできへんし人なんて変わらんねんから」って言われてたんですけど、自分ではそれを認められてなかったというか。そこが変わったのは芸人辞めたことが大きいのかなって思います。
──ラジオではホストクラブの正社員になってバイト時代と仕事内容が変わったと言ってました。その経験が生きた部分もありましたか?
カムバック 職場の人と8時間一緒にいて終わってからも飲みに行ったりするんですけど、芸人の世界とは違うものを見られたことは大きかったですね。おもろさの基準が違うというか、芸人やったら絶対やらんようなことでギャハギャハ笑ってるときもあるんですよ。ホストの人たちといたらこういうおもしろさや楽しさもあんのかなって思えて。
谷 しかもホストクラブってこの世で一番おもしろくないやつが集まるところやもんな(笑)。
カムバック そんなことない。いるから、おもろい人。
──クラスで絵のうまいキャラだった人が美大に入るとまわりも全員うまくて自信をなくすみたいな話がありますが、お笑いへのリスペクトが強いカムバックさんも芸人以外の世界に身を置くことで肩の力が抜けたりしたんですかね。
カムバック ホストの人って「『M-1』は無理だけど『キングオブコント』なら俺でもいけそう」とかマジで言いますからね(笑)。芸人でそんなこと言う人おらんから。

「カムバック」改名の由来はホストの源氏名
──再結成にあたって「カムバック」に改名した経緯も教えてください。
カムバック 事務所と再契約する際にいろいろ手続きがあるから「ついでに改名もする?」という話があって。そこで谷と同時に頭に浮かんだフレーズが「カムバック」だったんです。
──「山名カムバック」みたいな案もあったけど最終的に社長の「カムバックだけやろ」という鶴の一声でそうなったと聞きました。
谷 社長に名前もらったみたいになってる。ほんとにホストやん(笑)。
カムバック でもほんとにそれもあるんすよ。ホストって普通は「胡蝶 蘭」とか「志尊ゆう」とかホストっぽい源氏名をつけるんです。でも、ある日、うちの店に来たモデルとかもやってるすっごい雰囲気のある19歳の子が悩んだ挙句「『King Bergamot(キングベルガモット)』でお願いします」って言ったんです。
谷 だいぶやな。
カムバック だいぶやろ。それ聞いたときにスタッフの人が「ダメだよ、ふざけすぎだよ」ってめっちゃ止めてたんですよ。でも僕はむっちゃええやんと思ったんですよね。芸人ってそうじゃないですか。「瞬」みたいな普通の名前で埋もれてまうよりは「King Bergamot」やろと。それもちらついての「カムバック」です。
谷 19歳に感化されてたんや。にしては抑えたな、カムバックは。
カムバック だからあの子にはちょっと感謝やな。
山名が誘ったコンビから、谷が誘ったコンビへ

──再結成後の直近の目標はやっぱり『M-1』になるんですか?
カムバック 僕はどうせ戻ってきたからには「『M-1』出て優勝」っていうのが目標というか夢ではありますね。
谷 僕はまったく出る気なかったんですけど山名が出たいって言うので。
カムバック 再結成を決めたタイミングが8月でまだギリギリエントリーできたんです。僕らの芸歴だとあと3回しか出られないので、その貴重な3分の1を出ないっていうのはもったいないやろと。
谷 出るならちゃんとやろうとは思いますけど、『M-1』が目標というわけでもないかなあ。
──ほんとに楽しくできればそれでいいって感じなんですかね。
カムバック 楽しんでウケたいですね。再結成して楽しんでるだけのやつってけっこうやばいやろ。
谷 たしかにそれ嫌やな。楽しんでておもしろいは大前提。たぶん、僕はしばらくひとりの仕事もあって、山名もドッキリかなんかでピンで出るようになったりもするかもしれないですけど、ふたりでいるときに期待感のあるコンビではありたいですね。バラバラの仕事も多いけどふたりのラジオおもろいとか、ネタおもろいとか。仕事のためだけにおるコンビみたいにはなりたくない。せっかく友達とやるならふたりでしゃべってるときがいっちゃんおもろい、楽しいっていうのがいいですね、僕は。
──再結成して1カ月弱やってみて、お互いに「解散前と変わったな」と思うことはありますか?
谷 僕から見た山名はなんも変わってないんですけど、こいつは「変わったことにしたいんやろな」って思いますね。
──めっちゃ嫌な見方しますね(笑)。
カムバック これされるために帰ってきたからな!(笑)
谷 今も言ってましたけど、「俺は一回芸人辞めた人間やからなんも気にせえへん」ってよう言ってるんすよね。「できない自分を認められて緊張もしなくなりました」って。そうなりたいだけでまだ全然緊張してるやん、って横で見てて思いますね。
カムバック 内面でそう思ってるけど表面に出てくるほどではないんや。
谷 こないだもネタなしの企画ライブでマユリカさん、ビスケットブラザーズさん、ママタルトさんとかすごい人に囲まれてたやつがあったんです。今までだと山名が萎縮しそうなやつ。これどうなんねやろ、「俺行きます!」って前に出たりすんのかな、と思って見てたんすよ。そしたらマジで今までと一緒やった(笑)。
カムバック 出力は変わらないの。エンジンは変わってないから。
谷 なんも出えへんし、ちょっとスベったら5分黙るみたいな。いや一緒やんけ、って。だから「辞めてたんやからしゃあないやろ!」ってなりたいんやろなと思って。まあ山名はお笑い好きでリスペクトがありすぎるからそりゃ変わらんか、と思いましたけど。
──でもそこがカムバックさんのよさだと思うんですよね。お笑いが好きで前に出られないことに本気で葛藤してるという。
谷 開き直ってるわけじゃないんすよね。「俺なんもしないんで」じゃなくて「すいません」ってなってる。
──そういう繊細な部分を谷さんが深くえぐっていくのがパンプキンポテトフライというコンビならではの味なのかなと感じます。
谷 たしかにこれは高校の友達だからできることで、養成所組とかだったら無理でしょうね。たぶん俺がそういうイジりをしたら嫌味に聞こえすぎる。
カムバック でも谷も若干トゲトゲしさがなくなったというか、印象が柔らかくなったような気はします。ひとりでいろんな現場に行ってできんこととかあきらめたこととかもあったんでしょうね。僕から見ると雰囲気がちょっと昔に戻った感じがあるんですよね。
谷 へー、そうなんや。
カムバック 解散前は僕に対して「お前そんなんで病んでんなや」みたいな思いがあったと思うんですけど、そういうトガった部分が若干なくなってる感じで。それはぜひ今後ともそうしていただきたいなと(笑)。
谷 俺はマジでなんにも変わってないです。ただ解散前は山名に誘われてお笑い始めた関係だったのが、今は俺が誘って戻ってきた関係になったのはあるかもしれないですね。俺が「おもんないねん、おい!」とか言っても「でも君が呼んだよね」って(笑)。「必要としてるよね」って思って見てるから柔らかく見える。

──山名さんから谷さんを誘って始まったパンプキンポテトフライが、今度は谷さんから山名さんを誘って再結成することになった。たったそれだけのことがふたりにとってすごく大きな変化だったんですかね。
谷 解散前は「お前ちゃんとせえよ」って言ったら山名が「ほんまに解散されるかも」とか思ってしまったかもしれない。でも今は「でもそっちが呼びましたやん」って思えるから、僕は変わってないですけど山名が暮らしやすくはなったんじゃないですかね。
カムバック 別に過剰に仲よくしたいわけじゃないっていうのは僕も同じ意見なんで、また変わっても全然いいですしね。
谷 現状、山名がやりやすいならそれでいいと思います。どんどん調子乗っていただいて。
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2025年10月11日(土)14:45開場/15:00開演
会場:新宿バティオス
出演者
先鋒 観音日和 VS サイヤング
次鋒 6年黄組 VS サルベース
中堅 百獣マダム VS さすらいラビー
副将 金澤TKCファクトリー VS パーマ大佐
大将 パンプキンポテトフライ VS ストレッチーズ
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