藤原良による書籍『闇バイトの歴史』が太田出版から刊行される。
それは「案件」か、「犯罪」か?
タイパ社会に現れた全く新しい犯罪形態「トクリュウ」。その興隆の過程は、日本社会の構造変化そのものだった。
スキマ時間、リクルーター、兼業、アウトソーシング……脈々と続く、知られざる世界の「歴史」と「系譜」。いま、小遣い稼ぎと犯罪の境界線は限りなく細くなった。
末端がいくらつかまっても絶対に本体が尻尾を見せることはない。その構造と実態を詳細に追う。
著者プロフィール
藤原 良(ふじわら・りょう)
週刊・月刊誌や各種webでアウトロー分野の記事を多数執筆。マンガ原作も手がける。万物斉同の精神で取材・執筆にあたる。著書に『山口組対山口組』『三つの山口組』『M資金』(太田出版)、『菱の血判』(サイゾー)など
目次
はじめに
犯罪構造の転換期
■第一章 前史
──“トクリュウ”の源流 1989~2008
犯罪者たちの狩場/たかがサクラ、されどサクラ/飛ばしケータイの登場/詐欺のオートメーション化/犯罪に手を染める“市民”たち/犯罪者を生む土壌/ネットで集まったサクラたち
■第二章 様々な詐欺システムの盛衰 2008~2013
半グレたちの進出/陰りを見せたオレオレ詐欺/外国への拠点拡張
■第三章 トクリュウ誕生
──“呼び名なきトクリュウ”からの進化 2013~
トクリュウたり得る要素/犯罪者の新天地/待てない奴ら/コロナとトクリュウ二種類のトクリュウ
■第四章 闇バイトのリクルーティング 2022~
生きづらさを埋める手段/リスク多くして益少なし/怖いか?怖くないか?/仮装身分捜査官とトクリュウに狙われる女性・子ども/トクリュウと連携する外国人犯罪者/日本人犯罪者へのアウトソーシング/ある語学留学生の告白/日本独特の犯罪風土
■第五章 トクリュウへの対峙 2023~
暴力団とトクリュウ/警察とトクリュウ/国民の眼
おわりに
1990年代以降の特殊詐欺/匿名流動型犯罪関連略年表