2006年に第1巻が刊行され、その後も続編が次々と発売された『銀魂 3年Z組銀八先生』。コミックのノベライズ作家である一方、吉本新喜劇などお笑いの脚本も手がける大崎は、どのように物語を作り上げていったのか。
10月10日(金)に発売される『Quick Japan』vol.180では、10月から放送開始するテレビアニメ『3年Z組銀八先生』を20ページで特集。さらに、SPECIAL EDITION版の表紙カバーも飾っている。
QJWebでは、原作小説『銀魂 3年Z組銀八先生』を手がけた小説家・大崎知仁のインタビューを一部転載する。
「絶対にスベれない」というプレッシャーがあった
──吉本新喜劇の脚本家としてご活躍中の大崎さんが、『銀魂 3年Z組銀八先生』シリーズを手がけることになった経緯と、当時の心情を教えてください。
大崎 ちょうど原作『銀魂』がテレビアニメ化されるタイミングで、お祭り的に盛り上げようという流れから、スピンオフ小説の企画が立ち上がったと当時伺いました。原作がギャグ色の強い作品ということもあり、お笑いに携わる作家が合うだろうという理由で、僕に声がかかったのかなと思います。
もちろん『銀魂』の存在は知っていましたが、本格的に読んだのはこのお話をいただいてから。純粋におもしろいと感じましたし、そんな作品に関われるのは素直にうれしかったですね。
ただ、お笑いはごまかしがきかないですし、「絶対にスベれない」というプレッシャーもあって。なので、うれしさと緊張が半々というのが当時の心境でした。

──原作がマンガ、しかも『銀魂』のようにテンポのあるギャグ作品となると、それを文章で立ち上げていく作業は、かなり難しかったのではないかと感じます。執筆作業はどのように進めていかれたのでしょうか?
大崎 まずは原作を繰り返し読み込み、「このキャラはこれが好き」「あのキャラとは相性が悪い」など、人物同士の関係性を自分なりに整理しながらメモしていきました。読みながら「このキャラにこう言わせたらおもしろいかも」と思いついたことがあれば、それもどんどんメモ。そうした基礎資料を溜めた上で本格的な執筆に入る、という流れです。
──“笑い”を文章で表現する上で、脚本作家の仕事との共通点や違いを感じることはありましたか?
大崎 正直かなり似ていると感じました。吉本新喜劇では、池乃めだかさんや島田珠代さん、内場勝則さんなど、すでにある“キャラ”を使っておもしろい話を作るのが基本なんです。『3年Z組銀八先生』も、(坂田)銀八や(志村)新八、神楽といったキャラを使って自由にお笑いを作ってください、という依頼だったので、勝手が違うとはあまり感じませんでした。
あえて違いを挙げるなら「言葉」でしょうか。新喜劇では関西弁ですが、本作では標準語。その違いが逆に新鮮で楽しかったです。

──なるほど。その違いも楽しみながら、自然体で取り組まれていたんですね。
大崎 空知先生からは「これはNG」といった制限が一切なかったので、かなり自由にやらせていただきました。普段書いている脚本の延長のような感覚で、ギャグパートはセリフとト書きだけで成立させる場面も多く、台本に近い感覚で執筆していました。とにかくテンポと熱量を最優先していましたね。
──たしかに「台本」という表現はとても腑に落ちます。それでいて、誰のセリフかすぐに伝わるあたりは、大崎さんだからこその巧みさだと感じました。
大崎 神楽の「〜アル」みたいに語尾に特徴があれば、名前を出さずとも誰のセリフかすぐに伝わります。それに『銀魂』ならではの「この流れならこのキャラがこう返すよね」というパターンもあるので、そこを活かせば「〇〇が言った」と発話者を説明せずとも成立します。逆に説明を挟むとテンポが崩れてしまうこともあるので、そのあたりは気をつけながら書いていました。
【続きは本誌でチェック!】あのキャラが見せる意外な一面とは?

学園モノに置き換えたことで苦労した点、シーンを支えてくれたキャラクターなど、ここでしか読めない制作秘話が詰まった『Quick Japan』vol.180。
ほか、テレビアニメで坂田銀八を演じる声優・杉田智和のインタビュー、第1話の絵コンテ初公開など、ファンにはたまらないコンテンツが盛りだくさん!
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