MAZZELが有明アリーナで魅せた“誰も置いていかないエンタテインメント”。23歳の誕生日を迎えたRAN「こんなに大きくなれたのは、このメンバーがいたから」

SKY-HIが主宰するマネジメント/レーベル「BMSG」に所属する8人組ダンス&ボーカルグループ「MAZZEL(マーゼル)」。
2023年5月にデビューし、2025年4月からは全国10都市を巡る全国ツアー『MAZZEL 2nd One Man Tour 2025 “Royal Straight Flush”』を開催。8月23日、24日には東京・有明アリーナで最終公演を実施し、最終日に行ったYouTubeでのライブ配信では同時視聴者数6万人を記録した。
ここでは有明アリーナ公演初日、8月23日のライブをレポートする。
目次
バースト寸前、熱気があふれていた有明アリーナ
場内に流れていた「Parade」ライブ音源の音が大きくなり、会場を埋めたオーディエンスが大きな歓声を上げた。単純に人数が増えたことだけでなく、以前と比べてライブを待ちわびるMUZE(MAZZELのファンネーム)の熱量が明らかに高くなっている。
カラフルな個性と才能が集結したMAZZEL。デビューから約2年が経ち、最近ではラジオ、ドラマ、映画など、個々の活動が活発化。また、YouTubeコンテンツ『MAZZEL ROOM(通称:まぜべや)』などからトークのおもしろさが拡散され、音楽以外の活動も入口となり、熱が拡大している。
彼らのプロデューサーを務めるSKY-HIは、「今は試験管に水が溜まっていて、あと一滴何かが加われば一気に溢れ出すような状態」(「【対談】SKY-HI × クリマン清水社長、サマーソニックと音楽の夢を語り合う」、『Rolling Stone Japan』掲載)と評していたが、開演時からMAZZELがバースト寸前であることを実感する熱気があふれていた。

息もつかせぬスピードで8人の武器を披露
暗転して8人のメンバーが順にダンスを決め、ビジョンにメンバー名が映る。個が立ちまくっているMAZZELに相応しいオープニングだ。1曲目は、1st EP『Royal Straight Flush』収録「J.O.K.E.R.」。ステージには宮殿や洋館をイメージさせるエレガントな階段があり、その上で8人が固まるとオーラが増大している。
階段を下りながら、それぞれがキレ味鋭い歌とラップを展開。RANのファルセット気味の歌が場内の温度を上げていく。SEITOがブレイキンの中で逆立ちを見せると、悲鳴のような歓声が聞こえてきた。8人それぞれの武器が息もつかせぬスピードで披露されていく。
半ば呆気に取られたような状態になるが、容赦なく「Counterattack」へ。KAIRYUの雄大な歌がアリーナに伸び、SEITOが「待たせたな、有明」と凄み、RYUKIのフリーキーなラップが決まり、NAOYAが地面に膝をつけて華麗に舞う。
RANが「最初から100%以上行くぜ」と挑発し、「Waterfall」へと導かれる。8人の見事な歌とダンスとラップが絡み合う。この序盤の3曲で、すでに今のMAZZELの最強ぶりと無限のポテンシャルを見せつけられたような気がした。
TAKUTO「What’s up! 有明アリーナ!」
NAOYA「会いたかった~!」
RYUKI「最高の思い出を作ろうぜ!」
HAYAYO「上のMUZEも準備できてますか?」
と、MUZEへの呼びかけもそれぞれならでは。
TAKUTOが「みんなで最高の一日にしたいんだけど、ついてこれますかー!」と叫ぶと大歓声が上がり、ハンドクラップが巻き起こった。続けて「みんなちょっと待って! トロッコが来たぞ!」というと、2名ずつ計4台のトロッコに乗り込み、アリーナエリアを移動しながら「Vivid」をパフォーマンス。
SEITOが「ほらMUZEに言わせようご馳走様!」と歌詞を変えると大喝采。トロッコでアリーナエリアを移動しながら、色とりどりの歌を披露した。

“カイセイ”が花道でらしさを発揮
自己紹介パートでHAYATOがうれしそうに「髪色変えました!」と言うと、NAOYAもくるんと回って「NAOも髪色変えました!」と申告。RANも髪色が変わっており、RANとNAOYAの髪色が被っているのでは、という話に。KAIRYUが「アリーナで被せんなや!」とツッコむが、SEITOが「自由なグループです! 空気なんて読みませんよ!」と開き直る。「読むときは読む」とフォローするメンバーもちらほら、やはり絶妙なバランスのグループだ。
NAOYAが「化粧が崩れてきて嫌な気持ちになってきたので、かわいいチャージしてきます!」と言ってステージから立ち去ろうとすると、SEITOは「化粧してる場合じゃない。ライブ終わったら、みんな俺みたいにオールバックになってる」と言い放つ。こんな対極ぶりもまた、MAZZELのユニークなところだ。
HAYATO「イヤモニの調子が悪い」、RAN「走り疲れた」、EIKI「甲子園決勝の録画観ないと」など、ほかのメンバーも“らしい”理由でステージ裏にはけて行く。すると、KAIRYUが「行ってこい! 段取りがあるのやろ!」と遠慮なくネタバレ。
残ったTAKUTOは「ダッシュを見せて!」と無茶振りされ、花道の先に待ち構えたRYUKIに向かってダッシュして、ハグ。RYUKIが「対戦しなくていいの?」と聞くと、今度は花道の先にKAIRYUが待機してSEITOがダッシュ。ハグする寸前でKAIRYUが逃げ、追いかけっこが始まった。花道でSEITOがKAIRYUに覆いかぶさって終了。SEITOが「気まずい! (YouTubeコンテンツの)『カイセイさんぽ』もう終わりや」と言うが、KAIRYUが「でも、また今度撮影するって聞いた」と答えるかけあいも、実に“カイセイ”らしかった。
個性が爆発していたユニット曲×3
ユニット曲では、よりいっそう8人の個性が爆発していた。NAOYAとHAYAYOのユニット曲「to me」。「ありのままの自分でいよう」というメッセージを宿した楽曲を、ふたりはパステルピンクのジャケットとティアラを着用してパフォーマンス。
お互い「今日もかわいいね」と言い合い、どっちが世界で一番かわいいかをMUZEに決めてもらうゲームが始まった。MUZEも参加することになり、結局MUZEが一番かわいいという結論が出たあと、ふたりは手をつないで階段を下りた。
KAIRYU、RAN、TAKUTOによる「I’m yours, You’re mine」では、極上のR&Bバラードを歌い上げる3人の歌唱力を堪能した。
SEITO、RYUKI、EIKIによるユニット曲「HERO SUIT」では、RYUKIが「生きてる中で嫌なこととかストレスがいっぱいあるでしょ? 俺らだってある。でも、そんなあなたの背中を押すために作った曲が『HERO SUIT』です。今日は全部忘れようぜ。しっかり俺らに声を貸してくれよな!」と言って、コール&レスポンスへ。恐ろしい破壊力だった。
新たなキラーチューン「DANGER」が誕生
SEITOが「デビュー2年、2年連続アリーナ立ってるぞ! 俺たちがありのままに音楽を届けられているのは、間違いなく目の前にいるあなたのおかげです! MUZEいつもありがとう! 愛してるぜ! ここからは俺らの覚悟と証明です」と宣言し、MAZZELが誕生したオーディションプロブラム『MISSIONx2』のテーマソング「MISSION」へ。
“始まりの歌”で倍速進化を見せつけたあとに披露された最新曲「DANGER」。これがまたすごかった。8人が客席に背を向けるとビジョンにMAZZELという文字が映し出され、和楽器の音色が響き渡る。サビの「DANGER」という伸びやかな歌に合わせてステージから大量の炎が上がった。
ラップしながらの低姿勢で移動して殺陣をする、という人間離れしたSEITOの動きはライブでも健在。TAKUYOのラップから、RYUKIがTAKUTOの体を受け止めて引きずる動きも鮮やかだ。MAZZELの必殺技がこれでもかと詰まった新たなキラーチューンの誕生を目撃したMUZEは、割れんばかりの歓声を送った。
続いてもキラーチューン「King Kila Game」。サイレンのような音がけたたましく鳴り、煌びやかなミラーボールが回り出す。スクエアなサングラスをかけたRYUKIがセンターでラップし、鋭すぎる切れ味のマイクリレーを経て、8人が重心をこれでもかと下げて「王様ダレだ?」と挑発。その迫力に圧倒された。
誕生日当日のRANへSKY-HIから贈られた言葉「MAZZELなら世界を変えられる」
8月23日はRANの誕生日ということで、SKY-HIがRANの地元・熊本県のキャラクター・くまモンと幼いころのRANの写真が載ったバースデーケーキを持って登場するサプライズも。
RANに絶対に似合うであろうデニムのトップスをSKY-HIがプレゼントし、みんなで記念撮影。MUZEからたくさんの「おめでとう!」という声が上がった。「RANとMAZZELなら世界を変えられると思うので、このあともがんばってください」とSKY-HIがエールを送ると、RANはこう話した。
「BMSGに携わることになったのは18歳のときです。20歳の誕生日を迎えるとき、『MISSIONx2』の大阪の合宿所でみんなに祝ってもらいました。そして、こんなかたちでMUZEのみんなの前で祝ってもらえる日がくるとは思っていませんでした。こんなに大きくなれたのも、社長を含めてBMSGのみなさん、関係者のみなさん、なによりメンバーがいるからです! これからもよろしくお願いします!」

リーダー・TAKUTO「MAZZELはこれからもかっこよく、かわいく、おもしろく」
ライブ終盤、リーダーであるTAKUTOがこんな話をした。
「3年前の今日、みんなでRANを祝った日を鮮明に覚えてます。有明アリーナをファンの方々で埋め尽くして、こんな素晴らしい事務所で素晴らしい仲間と素晴らしいスタッフさんと一緒に幸せな音楽活動を続けられているのは、当たり前のことではないと心に刻んでがんばっています。
最近、多方面でMAZZELが見つかっていると感じます。みんなが輪をつないでくれて、団結してくれているから僕たちも日に日に大きくなっていけているし、伸び伸びと自分たちの好きなことをやって、いろんなお仕事をさせてもらえているって改めて感じました。MAZZELはこれからもめちゃくちゃかっこよく、かわいく、おもしろく、いろんなジャンルでたくさんの人に届けていきます。今日は来てくれて、ありがとうございました!」
そうファンへの感謝を伝えると、8人で深々とおじぎをした。
するとEIKIは、「僕たちMAZZELチームは一丸となって、この2日間でマジで人生変えてやると思ってステージに立ちました。でも、MUZEの笑顔を見たらそんなことを忘れるくらいめっちゃ楽しくて、とにかく幸せな気持ちが勝っています。『Royal Straight Flush』は8人の個性と強みを活かして戦って、最強の切り札になっていくぞというテーマで作りました。個性って言葉がピンときてないあなたのことも、全部肯定して包み込んで世界に向けて戦っていきます」と宣言。
続けて、「前回のツアーのとき、自分に自信がなくて、そこで助けてくれたメンバーのことが大好きでたまらなくて書いた楽曲を、大好きなMUZEに向けて歌いたい」と言って、EIKIが歌詞を手がけた「Love Letter」へ。
手書きの歌詞がビジョンに映り、まっすぐな愛を歌い上げていく8人。KAIRYUが「君とならもう何も怖くない」と歌ったあと、EIKIが「ずっとこの8人で大好きなMUZEを幸せにできますように!」と願う声が会場に響き渡った。
誰も置いていかないMAZZELだけのエンタテインメント
再びトロッコに乗って「Our Life Is Always Right」を歌い、曲終わりで8人は並んで肩を組んだ。そのあと、RANがこう話した。
「大切な時間を僕らMAZZELに使ってくれて、ありがとうございました。みんなのおかげで最高の一日になりました! もうみんなMUZEでいいよね? 絶対に一人ひとり置いていかないし、これからも音楽を愛して一緒に歩んでいきます。何回も言うけど、僕らに出会ってくれてありがとう!」
そのあと、おそらく心の底からという意味を込めて「内底からありがとう」と言い、ほかのメンバーも「内底」を口にし始めたのもMAZZELらしく、微笑ましいワンシーンだった。
*
MAZZELのライブは実に楽しい。8人のスキルは全方位においてパワーアップし、同じグループのメンバーとは思えないほどバラバラな個性は俄然強力になり、よりカラフルになっていた。
サーカスを観ているような感覚やアトラクションに参加しているような感覚、びっくり箱を開けたような感覚を、この日、何度も感じた。
誰も置いていかないMAZZELだけのエンタテインメントに魅せられる人は、今後もっと増えるだろう。そう強く感じた素晴らしいライブだった。

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