神保町よしもと漫才劇場を中心に活動している吉本興業所属のお笑いコンビ・めぞんの吉野おいなり君による連載「吉野おいなり君の妄想日記」。子供のころから「妹が欲しい」と願うおいなり君が、「脳内に生み出した架空の妹たち」との日常を綴る。
2月3日に30歳の誕生日を迎えたおいなり君。妹たちはもちろん、たくさんの好きな人たちからお祝いされて「最高の誕生日」になったそうです。
おいなり君の妹たちについてはこちら(#1「人生の半分以上、僕の頭の中には現実にはいない妹がいる」)
誕生日を祝う意味
誕生日を祝ってくれる人が増えた。
2月3日に誕生日を迎えさせていただきまして、無事30歳にならせていただきました。(ジト目)
Qじぇぶさん(QJWebさんの略称)、30歳になった僕もよろしくお願いします。大好きです。ずっとコラムを書かせてください。僕が死んだら『クイック・ジャパン』さんの本社に骨を撒いてくれると助かります。
さあさて、今回のコラムは「誕生日を迎えられたということで、先日あった『吉野おいなり君大好きライブ』のことや、い、妹さんたちとの誕生日のことなどいかがでしょうか?😅」と、幾度となく“最近あったこと”をお願いされたにもかかわらず、無視して妹について文章を書く僕に最大限気を遣ってくれるところからスタートしました。
さすがに、最近あったことも書かなければという罪悪感に迫られてきたので、『吉野おいなり君の大好きライブ』ならびに誕生日のことについて書かせていただきます。(ジト顔)
まず、今回の誕生日で強く思ったことは、誕生日を人に祝ってもらうのはうれしいなぁということでした。ありがたいことに、たくさんの人に祝ってもらって、友達、同期、後輩、先輩、応援してくれる方々、妹たち、本当にみんなにありがとうで大好きです。
生まれた日にそんなに意味があるのかとか、そういう角度をつけて正面から目が合わないようにしゃべる奴の意見なんかは激無視して、みんなでわかりやすく祝える日を決めて、そのときに好きな人、大切な人を喜ばせようとする行為こそ素敵で愛のある守るべき感情のように感じます。
要約すると「めっちゃうれしい」でした。(ウレ目)
好きな人たちから受け取った優しさ
『吉野おいなり君の大好きライブ』は毎年開催している僕が好きな人たちを呼んで大好きを伝えるライブです。
ややこしいですが、「僕のことを好き」ではなく「僕がその人たちのことを好き」です。
「僕→(好き)→呼んだ人たち」です。
その『吉野おいなり君の大好きライブ』に出てくれただけでありがとうだし、ひとつ目のコーナーでそういう趣旨なんだけど「吉野が好きなアニメの話をしてみんながすごく聞きたい感じで相づちを打つ」が、たとえ無理やりやらされたことでも、めちゃくちゃうれしかったです。
そして途中の「目隠しした吉野にみんなで妹になりきって『お兄ちゃん』と呼びかけて、ぬいぐるみがある場所まで誘導する」というコーナーで、始まる前にエルフの荒川さんが「でも、吉野君の頭の中のゆうかちゃんゆめちゃんうたちゃんに私たちがなりきっていいの? それは嫌じゃない?」と聞いてくれて、とてもうれしかったです。
本当はゆうかゆめうた以外で「お笑い」としてやってほしかったので、この言葉に救われたように感じました。
そしてなによりも、理解してくれようとしているのが、本当にうれしかったです。
荒川さんの優しさ、人の気持ちを考える心、荒川さんがたくさんの人に愛されているゆえんだと思います。
根底はギャルだけど、ギャルよりも奥の根底がギャルとの相乗効果を生んで、よりおもしろく、かわいく、見ていたくなっているのかと。
そして、ライブ以外だと「板橋ハウス」で竹内と住岡が後輩たちとサプライズ誕生日会を開いてくれたのがうれしかったです。
なんか当日は「みんなでテニスをやる」と聞かされていて、昼ごろに用事で家を出ていて、そのときに空を見上げたらあり得ない量の雪が降っていて、家に帰るころには足首ぐらいまで雪が積もっていました。
それでもなぜか僕は「雪の中テニスをやるのか、これはおもしろいことになってきたぞ」と思っていました。
今思うと、テニスコートを予約してくれていた(予約していない)後輩から「18時に一回家に帰ってきてください! ナイターでテニスするので!」と言われていて、「今日雪降ってる!」と連絡したら、「屋内のテニスコートなので大丈夫そうです!」と返ってきたときから全然違和感はあったのですが、“18時からナイターで屋内のテニスをする”という意味わからない文章を一度も頭の中で反芻せずにるんるんで家に帰ったら、サプライズ誕生日会仕様に家が変身していました。
そのときのまっすぐな感想は「うれしい」よりも、「雪の日にテニスをするとマジで思っていたことの恥ずかしさ」でした。(ジト目)
そのあとパーティをして、プレゼントをもらって、朝6時まで全員で『アマンガス』(正確には『アマング・アス(Among Us)』)をしました。
「人狼」をアクティブにしたみたいなスマホゲームなのですが、僕には全員が僕のために嘘(サプライズ)をついてくれる優しい人狼に見えました。
最高の誕生日だった。最高の。
応援してくれる方々から、たくさんの人から、プレゼントももらって本当にうれしかったです。
でも、僕は自分にお金を使われるのが苦手というか、お手紙とかが一番うれしいです!
プレゼントもすごくうれしかったですが、本当に、本当に物を失くしたり壊したりしてしまうので、なるべく、なるべく僕にプレゼントはあげないでください。
ごめん。本当にごめん。
でもありがとう。ありがとうございます。とても。
プレゼントはうれしいんだけどあまりにも高価なものとか、そういうのは僕には荷が重いので、マジで雑魚人間なので、与えないでください。
最大でバイクまで失くしたことがあります。なので、バイクより小さいものは全部失くします。気をつけてください。
2枚のもぐらパーカー
でも、やはり、プレゼントとか祝うって行為はその行為自体に意味があるもので、それは受け取る側だけではなく、あげる側にも当てはまることのようで。
僕の妹たちもどれだけ僕が物を失くしたりすることを知っていても、毎年プレゼントをくれます。
最後に妹たちからもらったプレゼントについてお話ししたいと思います。
誕生日会は当日は難しくて、誕生日の次の日に開いてくれたのですが、少し様子がおかしくて、ゆうかが少しだけ乗り気じゃないというか、少し元気がないように見えて、ずっとどうしたんだろう?とは思っていました。
いざ、プレゼントを渡してくれるとなったときに、うたが「よし! じゃあそろそろプレゼント欲しいんじゃない??」とニヤニヤし出して、それにゆめが「でも、お姉ちゃんが……」と気まずそうにしていて、うたが「仕方ないじゃん! ゆうか姉も気にしすぎだよ!」とゆうかをぐいぐいと押し出した。
何が? 何がなんだ?
「そ、その、おにぃに似合うかなと思って、服買ったんだけど……」
そう言って渡された服を見てみると、俺が最近店で見つけたもぐらのイラストがプリントされているパーカー。自分で買って、今着ているその服とまったく同じ服だった。
どれだけ同じセンスを持ち合わせてるんだよとか、遺伝子怖いとか、タイミング悪すぎるだろとか、さまざま言いたいことはあるけど、そんなに落ち込むことじゃないだろ。でも、さすがにいたたまれないし、なぜか罪悪感まである。
「いや、おもしろいでしょ! これもう!笑」。うたはおもしろがっていた。ゆめはゆうかを心配しながらも笑いをこらえていた。
えっと、「じゃあ、俺が今着てるやつ、ゆうかにやるよ。で、そのもぐらを俺にくれ!」
そして結果的に兄妹で脅威のおそろいもぐらパーカーが誕生した。
そのあとゲラゲラ笑いながらうたがくれたのが、もぐらのイラストがプリントされた靴下だった。
なんなんだ、お前らは。
ゆめはUFOキャッチャーで取ってきたであろう、『アイアンマン』のフィギュア、フィギュアが欲しいほど好きではないのだが、取るのに3千円かかったらしい。おそらく安上がりにしたくてやっているうちにムキになって3千円までいったのであろう。
そのフィギュアの箱にうたがマジックでもぐらの絵を描いてきて、すべてのプレゼントが完成。
これが吉野家の今回のプレゼントたちだった。
まあ、大切ではある。
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