「第7世代」ブームに最も翻弄された四千頭身・後藤の現在(アンタウォッチマン!)

四千頭身・後藤拓実

テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『アンタウォッチマン!』(5月23日放送)

「四千頭身・後藤の今」を特集。2019年から興った「第7世代」ブームでは「皆勤賞」に近い活躍をしたゆえ、最もそれに翻弄された芸人が後藤ではないかと番組は考察する。宮下草薙の草薙は当時、歓声の量が段違いだったと証言。

後藤はファンから「ごたくん」と呼ばれ「ごたガール」なる熱烈なファンも多く存在したという。後藤は芸人に夢を与えるため、見栄を張り高級車アウディを購入し、タワーマンションに住んでいた。そんな当時のことを後藤は「四千頭身というより『第7世代』で呼ばれていた」と振り返る。

現在は駅徒歩1分のところに住んでいて、アウディは所有しているが車は徒歩10分の駐車場に置いてあるため、単純に電車のほうが早く、あまり乗っていないのだそう。「実家暮らし」という話もあったが、それは生放送で苦し紛れでついた嘘。タワマンから引っ越し、いい低層マンションに引っ越したことや、その家賃を収入が下回ったのは事実だという。今はお笑いのコア層に「おもしろいね」と評価されたい、と再びネタに力を入れていると後藤は語る。

そんな後藤の変化を相方たちは「明るくなった」と表現する。ブーム時は疲弊していて、相方ふたりに対して「嫌な奴」だったという。2018年4月から翌年3月まで放送された『オールナイトニッポン0(ZERO)』は、「本人も『俺のせいで終わった』って言ってるんですけど、ホント、お前のせいだよって(笑)」と都築。緊張感を作っちゃうからみんな空回っちゃう状態だったそう。なんとか雰囲気を変えようとスタッフも、プレステを持ってきて本番前にリラックスして後藤のテンションが上がるようにしていたという。後藤がそのエピソードに「え、そうなの?」と言っていたところに、いかに当時彼らの中でコミュニケーションが取れていなかったかがうかがえる。

「今のほうが関わりやすいし、まじめな話もできる。今のほうがやりやすいしおもしろい」と都築が言えば、石橋も「僕らのことでも笑ってくれる」とつづける。そんな相方たちの話を聞いて、「僕は嫌いですよ、ずっと」と腐す後藤。しかしザキヤマから「嫌いっていうほうがお笑いにしやすいみたいな、片意地を張っちゃってるんじゃないの?」と指摘されると、後藤「まぁ、そうですかね(笑)」。

四千頭身・都築拓紀
四千頭身・都築拓紀(撮影=青山裕企)
四千頭身・石橋遼大
四千頭身・石橋遼大(撮影=青山裕企)

やはりこの脱力感はあるけど、どこかギラギラしている感じと3人のバランスは唯一無二なものだから、もっともっと見たい。

『さんまのお笑い向上委員会』(5月27日放送)

番組よりもんじゃ焼き屋が気になるジャングルポケットおたけとか、「それある~」のギャグを持て余している錦鯉・長谷川とか、以前と同じ「カミソリ勝ち」のネタを仕込んできた真空ジェシカ・川北だとかをさんまが嬉々としてイジっていたため、収録開始して30分以上経ってようやく呼び込まれた向上ゲストのマヂカルラブリー。野田クリスタル「さすがに長い!」。

マヂラブは先週までひな壇のほうにいて、ひな壇には以前、向上ゲスト側にいた芸人もいることから「いつものメンバー」だと指摘をすると、さんま「あとの芸人、出えへんねん(笑)」。

野田は「打ち合わせでとりあえず揉めてくださいって」「さっきまでずっとしゃべってた奴と俺たち揉めなきゃいけないんですか!」と、逆に番組に対してクレームを言う。そんな野田に対し、我流でめちゃくちゃやっている姿がカッコよかったが、今は「ツッコミ役に回り過ぎてる」と真空ジェシカ・川北がクレーム。

「カミソリ勝ち」したままの川北に対し、「恥ずかしいんだよ、お前みたいな感じが」と野田。さんまは「恥ずかしいと思ったら芸人は終わり」と言うも、構わず野田は「こんな破天荒なことしようとしてるのに、ジャマしないように待ってるんですよ。恥ずかしいんですよ!(笑)」。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2023年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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